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第11話 どんどん集まる証拠

 さてさて、ロゼラインが潜入捜査にいそしんでいる間、私も分身を飛ばし証拠集めを頑張ったわ。


 ロゼラインの弟のエルフリードが几帳面な性格と聞いたので、記録の一つも残しているのではないかと、彼の私室に忍び込み日記なるものを盗み読み。


 まあ、素直なバカというのはこういうのを言うのかしら。


 母親や王太子からのネガティブな評価をそのまま信じて、姉のロゼラインに対する辛口表現。


 国のトップを補佐する妃に求められる資質を全くわかってらっしゃらない。


 近衛隊と警務隊の小競り合いをロゼラインが毅然と処理したのも、そのせいで王太子のとりまきである自分の顔がつぶれたなどとほざき腐る。


 ハア、救いようがないわね。


 でも、王太子から受け取った毒を母親に託した記述を目にした時には、ついつい歓喜の声を上げちゃったわ。


「キタキタキターッ! ここよ、ここ! ついに見つけたわ、毒を王太子から受け取って母親に渡した記述!」


 この日記だけで犯罪を証明するのは難しいけど、別の証拠をもとに公爵夫人と弟が逮捕されればダメ押しの証拠となるわ。家宅捜索の時に見落とされないよう、どこに置いてあっても分かるよう私の肉球印を押しておきましょう。



 ◇ ◇ ◇


 ところ変わってロゼラインの方だけど、ある日いきなりサルビアが訪ねてきて、仲直りをしたいって言ってきた。


 ミカことロゼラインはサルビアの部屋に招待され、彼女の手ずからそそがれたレモネードをふるまわれたの。


「急に言われても戸惑うのはわかるわ。でも、ほんとうにあの時のことはすまなかったと思っているわ。仲直りの印に一緒にレモネードでも飲もうと思って用意させたのよ。さあ、どうぞ」


 バレバレよね。


 隙を見て王太子の婚約者であったロゼラインをも毒殺しようとした女ですもの。

 使用人を一人殺すのに躊躇しないわ。


 実は今のロゼラインは万が一の時のために、毒を見分ける能力も精霊に与えられている。それで、毒が混入されていることを知り、そこまでやるのかとあきれるロゼライン。


 彼女のためらう様子を見て、サルビアは自分と彼女のグラスを取り換えて見せる念の入れよう。


 毒はレモネードがつくられた段階で入れており、どちらのグラスにも混入されている。サルビア自身は自国領で採れた花の毒に体を慣らしているので死ぬことはないが、慣れてない人間が摂取すれば死に至らしめることができる。今回は少し時間がたってから心臓が止まるように量を調節したのでただの心臓発作にしか見えないように調整されていた。


 まったくよくできた計画だこと、相手が毒では死なない人造人間(ホムンクルス)でなければの話だけどね。


 えいっ、ままよっ、と、ロゼラインはレモネードを飲み干し、そしてサルビアの部屋を後にした。


 やったわ!


 サルビアがロゼラインを殺したのと同じ毒を人造人間(ホムンクルス)の中に取り込むことができた!


 あとはそれを抽出して魔法省で分析してもらえば動かぬ証拠となる!


 ちょうど同じころ、魔法省が頼んでいた凄腕の魔導士の都合がついて、分析を頼むことができたの。


 レーツエルさんって名前の人なんだけどね。


 ロゼラインが変装したミカが盛られた毒とレーツエルさんの分析結果が動かぬ証拠となり、ついに関係者の逮捕及び裁判が開かれることと相成ったわ。

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