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厨二病の見た夢は黒歴史の断片に残っている  作者: 四月一日八月一日
1/3

黒歴史の断片を編纂した結果

厨二病で夢見た夢の断片は記憶の底で波打つ


押入れの奥にて埃にまみれ


紙に染み込む湿気と黴の匂い


思い起こされし記憶は


黒歴史




    『白竜伝説』



 無限に広がる空間。そこには無数の塵。絶えずぶつかり合いながら、様々なカタチとなった。そして、それは三つのモノを創り出した。

一つは光。一つは闇。一つは命。

光は命を育み、闇は命を蝕むモノとなっていった。


光は白き竜の姿、闇は蠢く触手。

人の目には、そう見えた。

長い戦いの末、邪悪となった闇を封印するコトが出来た。

光―白竜は、七つの竜を生み出した。


これが、よく広く伝わる伝説の一部。


  一章 伝説の眠る国


 ルナール王国。世界で最も古い国として幾つもの言い伝えがある。

その中で有名なのは、白竜伝説。

全ての始まりで、光と闇の戦いの歴史でもあった。


ルナール国には、二人の王女がいた。

二人はお転婆で有名だったが、剣術や魔術を習い鍛錬していた。

すべてが平和だった。

しかし、大地の果てと呼ばれる場所で、魔族を見たという噂が、王国にも届くようになった。二人の王女、レラとレナが十五最の時であった。

王は、二人と女剣士ティールを呼び出した。

「魔族や魔物の噂は、もう知っているな? よいか、今から話すことは、すべて真実だ。心して聞け。白竜神が、子供を人間に授けるというコトは知っていると思うが―。

レナ、お前は十五年前に……」

王は、遠くを見つめた。

「ええ、まあ。なんとなく」

レナは答える。開けた窓から吹き込む風が、レナの珍しい空色の髪を揺らした。

「あの時、光に包まれた、いつの間にか、レラの隣で眠っていた。私と王妃は、その時、天空に、白竜神を見た。そして、言葉を聞いた」

『この子は、白竜の子。時が来れば、運命に導かれて旅立つでしょう。その時、その娘も伴に。この大地を賭けた、最後の戦いに。それは、この子にとって試練の始まり。その時まで、どうかお願いします』


「それでは、レナ様は白竜の神子?」

ティールが言った。

王は、無言で頷いた。

「レナが? 伝説の?」

レラが、不思議そうにレナを見た。

「やはり、私は―」

「うむ。この地は、光が降り立ったという最初の場所。いえば、この土地には、伝説が眠っている。その伝説が目を覚まそうとしている」

と、王。

「で、でわ―。戦いが始まるのですね」

「近いうちに、な。レナ、これだけは言っておく。私達は、お前を本当の子として、育てた。それは、今も変わっていない」

「ありがとう。そう言ってくれて、嬉しい」

「レナ、レラ。私は、ティールに話があるので席を外してくれ」


ばたん。二人の王女は、王の部屋をあとにした。


王は、側近剣士でもあるティールに向かい

「ティールよ。近いうちに、あの二人は魔族との戦うことになる。その時、力になってくれ。きっと、大きな戦いになる。二人を、護ってくれ」

「はっ。我が力の限り」


 その頃、二人は中庭のいた。

「レナ。私は、気にしない。だって、レナはレナだし。血が繋がっていなくても、変わらないよ」

「大丈夫。すべては運命だから」

レナは、北の空を見つめた。レラも、その視線の先を見た。

「大地の果てがある方の空、暗いね」

レラが言った。

「うん。それに、嵐が来るわ。風が強くなったし、雨も降り出す。どことなく、嫌な予感がする。―遠雷も聞こえる」

レナが、空を見上げると、雨が落ち始めた。


「レラ様。レナ様。雨が、そばえ始めました。時期に激しく降るでしょうから、中へお入りください」

ティールが、やってきて言った。

城内へ戻る前、もう一度レナは、暗く染まっていく空を見上げた。


―この土地には、伝説が眠っている。その伝説が目覚める時、戦いが始まる。

光と闇の戦いが―

レナは、心の中で呟いた。


    二章  闇からの使者


 雷鳴ともに激しい雨が降り出した。

「すごい天候ですね」

ティールが言った。

「ほんと。この季節にしては、滝の様な。まったく外とが見えない」

レラが、窓辺に近寄る。

「―ただの嵐では、ないみたいね。どこか、邪気を感じる」

レナは、呟いた。

「レナ様?」

「いえ。なんでもない。思い過ごしよ」

レナは答えて、部屋を出ようとする。

「何処か行くの?」

「神殿。新しい魔法でも、習得してくる」

「こんなに遅くにですか?」

レナは、問には答えず部屋を出た。

「レナは、いったい何を考えているのだろう」



  神殿


「……大地とか風。光よ誘え破邪の力。魔を振り払い討ち取る力を。契約に基づいて我に力を授けたまえ」

レナを中心に光が集まった。

「―こんな、ところかな。とにかく、破邪系の魔法を身に付けないと。これからの戦いは、乗り越えられない。―私の運命は、光とともにあるのか」

レナは、祭壇を見つめる。

「光の源。白竜神。私の本当の母親でもあるのかぁ」

呟いて、神殿を後にする。


翌々日の夜になっても、滝のような雨は止む気配がなかった。

レナは、眠れず何度も寝返りを繰り返していた。ふと、レナは起き上がって、ベッドの脇にかけていたマントを羽織る。護身用の真剣を手に窓辺へと歩み寄った、


大きな破壊音とともに、風雨が部屋へ入り込む


「何者!」

レナは剣を抜いた。

「フッフッフ。見つけたぞ、白竜の神子」

バルコニーから、闇色のマントを纏った男が入ってきた。

「な、なんなのよ、あなた。こんな遅くに。礼儀を知らないの」

レナが怒鳴った

扉のノック音がし、開かれる。

「レナ様。大丈夫ですか。―何者だ、貴様」

ティールは、切先を男に向け、レナと男の間に入った。

続いて、城の騎士たちも入ってくる。

「邪魔だ。魔竜牙斬」

男が剣を振るっただけで、その場にいた騎士達は崩れる。

「なんて、威力だ」

ティールは、剣を構え直し呟く。

「レナ! なんなのよ、アナタ」

レラも、剣を手に男に言った。

「クックック。我が名は、ヴィガル。魔竜の王なり。白竜の神子の血を貰い受けに来た」

マントをはためかせて言う。

「―魔竜? 私の血?」

「そう。邪竜王復活のためにな」

「なんだって」

ティールが言う。

「レナを生贄に?」

レラが、驚いて、レナを見た。

「そういうこと」

ヴィガルは剣を手に、レナに切りかかった。


がきぃぃーーっん


大きな金属音がする。


「邪魔をするな」

「黙れ。闇の者の思い通りには、させない。さあ、お二人共、お逃げください。ここは、私が」

「ティール」

レナが、叫んだ。

他の騎士がレナを部屋から出そうとする。

「邪魔だ。暗黒死剣斬」

黒い波動が、ティールを襲う。

「うわあ」

ティールは、剣で防ごうとしたが飛ばされてしまった。

「ティール」

二人は、騎士を振り払って駆け寄った。


「レナ、回復魔法、お願い」

レラが、剣を構え言う。

レナは、ティールに駆け寄り、魔法をかける。

「だめ、効かない。ただの闇魔法なのに?」

レナが戸惑っていると

「うわああ」

レラは、あっさり吹っ飛ばされる。騎士達も、立ち上がれない。

「あとは、お前だけ」

ヴィガルは、レナに歩み寄った。

「舐めないでよ。炎の獣・荒れ狂う猛牙」

レナが、思いっきり力を込めた攻撃魔法を放つ

ヴィガルは、一瞬ひるむ

「だあぁあ」

レラが、隙をついて剣を振るった。


「おのれぇえ」

ヴィガルが、数歩退く。

「え、嘘。何、信じられない」

レラは、自分の剣を見つめた。

そして、ヴィガルを見た。

「仮面の下が、こんなに美形だなんて」

と、レナ。

「さすが、伴に育ちし者。なるほど。ならば、ここで葬ってやる」

ヴィガルは、両手を掲げる。

黒い波動が集まる、

次の瞬間。

二人に、衝撃が

「え、ティール?」

二人の前に、崩れ落ちる女剣士がいた。

「ち、余計な真似を」

ヴィガルが、払い除ける。

「く、この」

レラが斬りかかる。しかし、あっさり退けられる。

「もう、あとが無いぞ」

ヴィガルが、再びレナを見た。

レナは瞳を閉じて、立ち上がった。

「どうした、命乞いか?」


「久遠の時よりありし、光の槍。聖なる力を秘めし槍。我が武器となりて、我が力となれ

ホーリーランス」

レナの掲げた両手に、光り輝く槍が生まれた。

「な、なんだと」

ヴィガルは、驚きながら剣を握りなおす


「行けっー! 光の槍よ」

レナは、思いっきり力を込めて槍を投げた。

ヴィガルは、剣で光の槍を受け止めたが

「ぐわああ」

と、叫び声をあげ剣を落とした。

「や、やった」

レナは、座り込む。

「レナ。ティール」

レラが、よろめきながら来た。


部屋の外が騒がしくなり、騎士達が入ってくる

「お前たち、無事か」

王が、入って来る。

「はい。大丈夫だけど。ティールが」


「くっくく。今のは効いたな。今日のところは退いてやる。いずれ、その白竜の血を貰いに来る。すべてに決着をつけるために」

そう言って、ヴィガルは闇に消えた。


「私の血……」

レナは、ヴィガルが消えた空間を見て呟いた。

そして、はっとしたように

「ティール」

と、倒れているティールのもとへ

「―お二人共、ご無事で」

二人の無事を確認した彼女は、口から血を吐く

「よ、かった。このさき、も。どうか―」

かすかな笑みを浮かべ、崩れ落ちた。

城の神官達が駆け寄り、回復魔法を幾つか試したが、ティールが再び目覚めることはなかった。


魔族の襲来で、犠牲を出してしまった王城は、深い悲しみと憤りの中にあった。


夜は、静かにふけていった。




   三章 旅立ち



 レナは、暁の空を眺めていた。


あのあと


「お父様。いえ、ルナール王と、お呼びしたほうが」

「いや。もう少し、お前の父親でいさせてくれ」

「―それでは、お父様。私は、城を出ます」

「どういうことだ」

「私、旅に出ます」

「レナ、どうして?」

と、レラ

「自分の運命を探そうと思って。そのほうが、良いと―」

レナは、唇を噛んで

「私が城にいれば、犠牲が出ます。旅に出て、自分本来の使命を見つけなくては。各地にある、七竜の神殿を巡れば、解るかもしれませんし」

言い切ると、涙がこぼれた。

「レナ?」

「……。解った。止めても行くのであろう。ならば、いま少し父であらしてほしい」


 

 その夜、レナは夢を見ていた。

自分は、白い竜で闇色の竜と戦う夢を。

闇竜と、激しくぶつかりあえば、七つの光が消えていく。

すべてが、闇に飲まれていく。

恐ろしくて目を閉じた。


気がつくと、白い竜が、自分の前にいた。

「我が娘よ。何を怯え戸惑っているのです。貴女は私の娘。それに、全てを成すことの出来る神の血を引いているのですから。さあ、涙を拭いて。しっかりと気を持つのです。大丈夫、貴女は一人ではないのだから。伴に育ったレラや、世界に散らばりし七つの竜達もいます。何時、私のところへ、辿り着く時まで。私達は、貴女を見守っています」


「お母様」

レナが目を覚ましたのは、襲撃の翌日の夕方だった。


城の中は、慌ただしく人が行き交っていた。

レナは着替えて、神殿に向かった。


神殿には、レラがいた。

「レナ、もういいの?」

レナは頷くと、ティールの棺の前にたち

「ありがとう」

と、言った。

「レラ。私、旅に出る」

レラに向き直り、言う。

「え。どうして? 一人で?」

「この国の王女である、貴女を巻き込むわけにはいかないから」

「はあ。何言っているのよ。今まで、ずっと一緒だったじゃない。私、レナのコトしっていて、力になりたいの。だから、一緒に行く」

「でも、貴女は」

「なんてことない。生きて帰ってくれば、いい。生きて」

「レラ。お父様が、なんていうか」

「これは、私の宿命でもあるのだから。私も、一緒に行かなければいけないの」


「―解っておる。だから、生きて帰って来てくれ。それが約束だ」

父王は、二人に言った。

二人は、顔を見合わせて、頷いた。




 かくして、伝説が目覚めた事によって、今再び、光と闇の戦いが始まった。

二人は、大地の竜イリアを始めとする、七竜・風・天・氷・炎・水・光の竜と出会う。


レナは、運命を伴に過ごす者サイラスに、助けられ仲間と伴に、大いなる戦いへ。

光と闇の最後の戦い―後に、聖戦と呼ばれる事となる出来事、五竜神王ダークデス=ノゥシングと、大地を賭けた戦い。消えゆく大地を護るべく、闇の中心で繰り広げられた戦い。

その話は、全ての伝説の終わりであって、また始まりの伝説となるもの。



 今は、その伝説の冒頭ですらなかった。






『物語の断片』


 白竜伝説

混沌 あらゆるものが揺蕩う空間

一筋の光

世界を創り上げしモノ

その光が、まるで白き竜


 それが、世に伝わる神話



 大陸に、とある国があった。

二人の王女がいた。

姉王女の名は、レラ。

妹王女は、レナ。

二人は、剣に魔法を日々修練していた。

深窓の王女とは、かけ離れていた。

お転婆王女。

隣国の同い年の王女は、深窓の王女で物静か。

武芸や魔導とは、関係なく、静かに民の為に出来ることを考えている。

対極的だと、両国の民だけでならず、近隣の国では、冒険者さながらの鍛錬をしている、二人の姉妹王女の話をしていた。


 それには、理由があった。

妹王女のレナは、白竜の神子だとされた。

伝説によると、月食の夜に白竜が、空を舞う日に生まれた娘は、白竜が産み落とした子であるとされ、その子は人間の腹に宿る命に混ざり合う。

だから、生まれし子供は、白竜の神子なのだと

その子供には、特別な力がある。

闇の眷属、特に魔族の一派は、白竜の神子を手に入れて、世界征服をしようと企んでいた。

だから、神子は無意識に自己防衛の為に、剣術や魔術を身につける。

だれより、強く。

それが、白竜の神子であるレナの日常だった。


 


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