最終話 隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら――
後書きにちょっとした(?)発表があります
「――めでたしめでたし」
紙芝居を読み終えると興奮して手を叩く四人の子供達。
怜と桜彩、陸翔と蕾華はそれぞれ一男一女に恵まれた。
子供達も皆仲が良く、両親達を含めて家族同然の付き合いをしている。
そんな中、今度の幼稚園で行う紙芝居の先行上映会を怜と桜彩、陸翔と蕾華の子供達に向けて行ったのだが、評価は上々といったところか。
「おもしろかった~っ!」
「うん! もういっかいよんでーっ!」
「ウサギさんかわいかった~っ! ねえ、アタシもかいてみたい!」
「あ、わたしも! ねえおかあさん、おえかきしよ~っ!」
それぞれ思い思いの感想を告げながらはしゃぐ子供達。
それを見て二組の両親は頬を緩めて微笑み合う。
「うん。今回の出来も良かったな」
「ああ。みんな楽しそうにしてるもんな」
「だよねだよね! それじゃあ本番もこのままで行こっ!」
「うん! 頑張ろう!」
数日後に行われる大勢の園児達を対象にした本番に向けて、四人で頑張ろうと決意を新たに拳を合わせる。
怜と桜彩は幼稚園に努めているわけではないが、幼稚園で飼っている動物の様子を診る以外にもこうして活動に参加することは多々ある。
「でもやっぱりサーヤの絵、本当に上手だよね」
紙芝居を並べながら蕾華が言う。
あの時、高校二年生のゴールデンウィークからずっと、自作紙芝居の絵は桜彩が担当している。
一応怜達他の三人も試したことは何度かあるのだが、その度に自分の実力の無さと桜彩との差を痛感させられてしまった。
「うん! ねえおかあさん、おえかきしよ!」
「あ、アタシもいっしょにやりたい!」
女の子二人が桜彩の手を引っ張ってお絵描きをねだる。
「えーっ、もういっかいよんでよーっ!」
「そうだそうだ! ねえ、もういっかい~っ!」
対照的に男の子二人は紙芝居のアンコールをねだってくる。
そんな二人に女の子二人は頬をムッと膨らませた。
「いまよんでもらったじゃん! つぎはおえかき!」
「そうだよ! いっしょにおえかきしようよ~っ!」
「なにいってんだよ! おえかきならいつだってできるじゃん!」
「そうだそうだ! ねえ、もういっかい!」
女の子と男の子、それぞれ自分の主張を譲らない。
そこで少し離れた場所でチン、という音が聞こえて来た。
その場を離れて怜はそれを取りに向かう。
戻って来ると、子供達はまだ次に何をやるかで言い合っていた。
「かみしばいーっ!」
「おえかきっ!」
「おっ、それじゃあ四人共、おやつは食べないんだな?」
怜が持つ皿の上には焼きあがったマドレーヌがたくさん。
そこから出来立ての美味しそうな香りが漂っていく。
子供達の強い主張が止まり、視線が泳ぐ。
「うーっ……た、たべる……」
「う、うん……」
「たべたいたべたい!」
「お、オレも!」
四人共両親に似て食べることが大好きな為、やはりおやつの誘惑には勝てなかったようだ。
そんな子供達を見て両親四人で再びクスリと笑い合う。
「はいはい。それじゃあ喧嘩なんかしちゃダメだよ」
「そうだよ。サーヤママの言う通り、喧嘩なんかしたら食べられないんだからね」
「ほら、みんな手を洗ってきなさい」
「「「「はーい!」」」」
陸翔が手を洗うように伝えると、四人一斉に手洗い場へと駆け出していく。
子供達の背中を眺めながら、残った四人でクスリと笑ってしまう。
「ふふっ。なんだかんだで仲良いよね」
「ああ。今のだって別に喧嘩ってわけでもないしな」
「うんうん。昔のアタシ達みたいだよね」
「昔ってか今のオレ達もあんまり変わってないよな」
あはは、と皆で笑い合う。
学生時代から続く四人の友情は変わることなく続いている。
怜と桜彩、陸翔と蕾華が夫婦という関係に変わったものの、それでも親友という関係は不滅だ。
「本当に仲良いよね」
「そうだな。願わくば俺達のようにこの先もずっと変わらない友情を持っていて欲しいものだよ」
「だよね。まあ出来ればそれぞれの間で結婚してくれれば言うこと無いんだけど」
「まあ本人達の気持ち次第だけどな。オレ達が無理強いするのは良くないし」
それこそ自分達と同じように。
そんなことを話していると、ドタドタと走る音が聞こえて来た。
「あらってきたーっ!」
「おやつーっ!」
「ちょっとふたりともはやいよーっ!」
「まってーっ!」
我先にと戻って来る子供達。
アイスティーと共におやつタイム。
出来立てのマドレーヌの熱さに苦戦しながらも美味しそうに頬張り合う。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なお、結果として約二十年後の世界において、四人の子供達はそれぞれ相手の兄妹をパートナーとして幸せな家庭を築いていくのだが、それはまた別のお話。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後も幼稚園で過ごし、怜と桜彩の作った肉巻きで夕食。
八人全員の大好物は、多めに作ったのだが瞬く間に胃袋へと姿を消した。
食べ終えた後もウサギ達としばらく遊んでいたのだが、やがて疲れたのか子供達は眠ってしまう。
「それじゃあな」
「さようなら」
「おう。また今度な」
「まったねーっ!」
怜と桜彩は子供達を車に乗せ、虹夢幼稚園を後にする。
自宅へ到着し、子供達を背負う。
背中で眠る子供の温かな体温と少しばかりの重みを感じながら、怜と桜彩はお互いに見つめ合ってクスリと笑い合い、ポケットから鍵を取り出す。
かつて隣で肩を並べる相手と贈り合った、同じ家の鍵が付いたキーホルダーと共に。
「おかえり、桜彩」
「うん、ただいま。怜もおかえり」
「ただいま」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
かつてのあの日。
引っ越してきた桜彩のスケッチを怜が受け止めた出会いから全てが始まった。
そしてこれからも隣に立つこの大切な相手と共に――
そう、
隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら、実は甘えたがりな彼女との
甘々な半同棲生活が始まって――
甘々な同棲生活が始まって――
甘々な夫婦生活が始まって――
そして、幸せな家庭を築いていく――
【隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら、実は甘えたがりな彼女との甘々な半同棲生活が始まった ~fin~】
【後書き①】
良い最終回だった はい、本当にここで、怜と桜彩の物語は終了となります。
これまでに何度か述べましたが、この物語は当初第二章終了後、100話程度で完結する予定でした。
しかし書いている最中にもっと書きたいストーリーが頭の中に浮かんできてしまい、結果として好意の自覚までに300話、恋人同士となるまでに400話、そして完結まで500話を超える長編となってしまいました。
この長すぎる物語を途中で切らずにここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
よろしければ感想等頂けたら嬉しいです。
『長すぎなんだよ』とかでも構いません。
面白かったと思っていただけたらブックマーク、各エピソードの応援、☆での評価、レビュー等頂ける嬉しいです。
【後書き②】
先述の通り、この物語は当初は約100話で完結する予定でした。
しかし、色々と話を膨らませた結果、正直自分でも助長に感じるくらいやり過ぎた感が出てしまいました。
最初の方は楽しく読んでくださっていた読者様の中にも、なかなか進展しない関係に食傷気味となってしまった方、途中で離脱してしまった方も多くいると思われます。
そこで、本日(2026.04.30 12:00)本編が無事完結することに先立ちまして、当初のプロットである約100話での完結版に多少アレンジを加えて投稿しております。
アレンジと言っても、第一章後編で姉が訪れるシーンとエピローグが少し違うだけですが。
https://ncode.syosetu.com/n8079mb/
【後書き③】
この話が完結に向かっている時に、なんとなく次の物語は何を書こうかな、などと言う考えが頭に浮かんできました。
そのような中、例として
・優しい姉的な幼馴染ヒロイン
・ちょっと天然の妹系幼馴染ヒロインとの同居生活
・奏をモチーフにしたノクターン小説
・趣向を変えて戦記ファンタジー
・一段落した充電期間(新作作らず)
等、色々なことを考えていたのですが、結果として本作の登場キャラクターである美都と怜をモチーフとしたラブコメを書くことに決めました。あくまでもキャラのモチーフであり、美都と怜とは一切の関係がありませんのでそこはご承知おきください。
よろしければそちらの方も読んでいただけたら嬉しいです。
『義理チョコキングと頑張り屋さん ~心優しい二人が寄り添っていく、幸せに包まれた半同棲生活~』
https://ncode.syosetu.com/n5178mc/
それでは、ここまで本当にありがとうございました(バランスやじろべー)




