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【第十章前編 クリスマス】隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら、実は甘えたがりな彼女との甘々な半同棲生活が始まった  作者: バランスやじろべー
第七章中編① 旅行の始まり

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第369話 部屋割りは二人一緒に

 確かに夕食は美味しかった。

 牧場で買ってきたという豚肉と夏野菜のオイスター炒め。

 夏バテの防止にもなりそうで、とてもご飯が進んだ。

 それは良かった、それに関しては。

 問題は食事中に、美玖の宣言通りに四人から色々と聞かれたことだ。

 当然ながら隠すことなどできるはずもなく、全て話すこととなった。

 そして食後のアイスまで食べ終えたところ、次のイベントはお風呂。

 このコテージの浴室はかなり広いこともあり、女性四人が一緒に入ることも可能だ。

 そこまでは良い、そこまでは。

 問題は風呂に入る準備をしようとした時のこと。


「それじゃあオレ達が先に入るぜ」


 怜と陸翔の男性陣二人が先に入ることになった。

 風呂に向かう為、怜は持ってきた着替えやタオルを準備しようとするが、持ってきたバッグが見当たらない。


「あれ、そういえば俺の荷物は?」


「あ、私のもないよ」


 コテージに到着した時、荷物はリビングに置いていた。

 その後、桜彩と共に買い物から戻って来た時にはもう既に荷物はリビングからなくなっていた。

 首を傾げる怜と桜彩に、蕾華はニヤニヤと笑いながら


「あ、二人が買い物に行ってくれてる間にもう部屋に運んでおいたよ」


「あ、そうなんだ。サンキュ」


「ありがとう」


 確かに荷物はリビングに置いておくよりも寝室に置いておいた方が良いだろう。

 買い物から戻って来た時に、そこまで頭を働かせるべきだった。


「それで、俺の部屋はどこ?」


 このコテージの寝室は三室。

 そのどこに荷物を運び込んだのだろうか。


「お前の部屋は、ほら、そっち」


「そっか。分かった」


 陸翔が指差した二階の一番奥の部屋へと歩き出そうとする怜。


「私の部屋も教えて」


 そんな桜彩に蕾華はニヤニヤとした笑みを崩さないまま


「あ、サーヤの部屋も一緒だよ」


 爆弾発言を投下した。

 蕾華の言葉が耳に届いた怜の、部屋へと向かう足が止まる。


「「……………………え?」」


 怜と桜彩が二人揃って目を点にして固まってしまう。

 今、蕾華が何を言ったのかよく理解できていない。


「あの、蕾華さん……。今、何て言ったの……?」


「サーヤの部屋。れーくんと同じ部屋だからね」


 どうやら聞き間違いではなかったらしい。

 つまりそれは怜と桜彩が同じ部屋で一緒に夜を過ごすということで。


「お……同じお部屋…………!?」


「ちょ、ちょっと待った! おかしいだろ、それ!」


「そ、そうだよ! わ、私と怜が、そんな……」


 蕾華の言葉の意味を理解して、二人で共に慌てて蕾華へと問い詰める。

 しかし蕾華は涼しい顔をして


「え? なんで?」


「なんでって、そ、そりゃあ……な、なあ……?」


「う、うん……」


 どう答えれば良いのか悩んだまま桜彩へと顔を向けると、桜彩も困ったように言いよどむ。

 なんでも何もないだろう。


「別に良いじゃん。二人共同じ部屋に泊まるのが嫌ってわけじゃないでしょ?」


「そ、それは……そう、だけど……」


「う、うん…………」


 もちろん桜彩と一緒の部屋に泊まるのが嫌だということはない、と言うかむしろ嬉しい。

 以前この四人で怜の部屋に泊まった時に、また同じように泊まりたい、と思っていた。


「ならなんも問題ないじゃん。この前だって同じベッドで寝たんだしさ」


「そ、そうだけど、あの時は蕾華も陸翔も同じ部屋にいただろ……」


「今回だって隣の部屋にいるぞ。なあ?」


「うんうん。ほら、何の問題もないよね?」


 陸翔と蕾華が揃って答える。

 いや、同じ部屋と隣の部屋では天と地ほどの差があるだろう。

 そんな怜の心情を察したのか、蕾華が桜彩の両肩をガシッと掴む。


「ね、サーヤ! 何も問題ないよね!?」


「え、えっと……そ、そうなのかな……?」


「うんうん! それにさ、アタシだってりっくんと同室だし! だからサーヤとれーくんが同室でも何も問題ないよね!」


「う、うん……。確かにそうかも……」


 一方で陸翔の方も怜の元へと歩いて来てそっと耳打ちしてくる。


「怜だって別に構わねえだろ? 何か間違いが起こるってわけでもないし」


「ま、まあ、な……」


「それにな、さっき蕾華が言ったように、もう既に同じベッドで寝たことがあるじゃねえか。それに比べれば同室なんて何の問題もねえだろ?」


「そ、そうかもしれないけど……」


 確かに同じベッドで一緒に寝ることに比べれば、二人きりとはいえ同じ部屋の別のベッドに寝る方が難易度は低いかもしれない。


「っていうかよ、ぶっちゃけてお前だってさやっちと一緒の部屋でってのは嬉しいだろ?」


「それは、まあ、嬉しいけど……」


 もちろん嬉しくないわけがない。


「だったらそれで良いじゃねえか」


「ま、まあ、確かに……」


 怜の返事を聞いて陸翔は満足げに頷く。

 そして蕾華と桜彩の方へと視線を向けると、二人の方もちょうどこちらの方へと視線を向けて来る。


「えっと……それじゃあ桜彩、俺と同室ってことで良いか……?」


「う、うん……。その、よろしく……」


 二人揃って真っ赤な顔のまま小さく頭を下げる。

 それを見た親友二人とシスターズは顔を見合わせて小さくガッツポーズをした。


「それじゃあ俺は着替えを取ってくるから」


「う、うん。私も一応タオルとか取り出しておこうかな」


 桜彩と二人揃って自分たちの泊る部屋へと向かう。

 そして扉を開けて、中に入ろうと――

 ――したところ、中の光景に二人揃って固まってしまう。

 目に映るのはランプなどの調度品。

 そして寝具、つまるところベッド。

 それがたったの一つだけ。

 固まった二人を見て階下から蕾華が声を掛けてくる。


「あ、そうだ。その部屋大きいベッドが一つだけだからね」


「「え…………?」」


 蕾華の言葉に怜と桜彩の動きが止まる。

 今、蕾華はなんと言ったのか。

 何かとんでもないことが聞こえたような気がしたのだが。


「えっと、蕾華、今なんて言った?」


「れーくんとサーヤの部屋、ベッドが一つだけだから」


「……………………」


「……………………」


 思わず隣の桜彩と顔を見合わせてしまう。

 そして数秒後


「「え……えええええええええええええっ!?」」


 コテージ内に二人の声が響き渡った。

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