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【第十章前編 クリスマス】隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら、実は甘えたがりな彼女との甘々な半同棲生活が始まった  作者: バランスやじろべー
第五章後編 ダブルデートと恋心の自覚

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【番外編】第294話 プレゼント選び① ~何を選ぼう~

 これは番外編となります。

 時系列では第271話の後になります。

 書いてはみたものの、怜にプレゼントを渡す前に投稿するわけにもいかず、このタイミングで番外編としての投稿となりました。

「それじゃあサーヤ、早速行こうか」


「うん。よろしくね」


「まっかせてー!」


 放課後に突入すると、桜彩は蕾華と共に足早に教室を出て行った。

 本日は桜彩の買い物に蕾華が付き合うことになっている。

 前日怜にその旨と夕食はいらないということを伝えている為、遅くなっても問題は無い。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「いらっしゃいませー」


 まず到着したのはリュミエール。

 入口の扉を開けるとアンティークベルの心地良い音色が耳に届き、次いで望がいつも通りに元気に来店の挨拶をしてくれる。


「あら? 今日は二人だけ? 珍しいわね」


 少しばかり驚いたような表情で問いかけてくる望。

 桜彩も蕾華も普段は怜や陸翔と共に訪れている為、こうして女子二人で訪れるのは初めてだ。


「ご注文はお決まりですか?」


 ショーケース内を確認すると、いつも通り何種類ものケーキが置かれている。

 相変わらずどれも美味しそうで目移りしてしまう。


「はい。店内でお願いします。私はショートケーキとダージリンのアイスをセットで」


「アタシは季節のシュークリームとダージリンのアイスをお願いします」


 そう言えばここには何度も訪れているものの、まだ定番であるショートケーキを頼んだことがなかった為に桜彩はそれを注文する。

 蕾華の方は季節のフルーツが使われたシュークリームだ。


「ショートケーキとダージリンのアイスのセット。季節のシュークリームとダージリンのアイスのセットでお間違いないですね?」


「はい」


「お会計は別々でよろしいでしょうか?」


「あ、いえ。一緒にお願いします」


 慌てて桜彩がそう答える。


「かしこまりました。それでは――」


 代金を支払うと望がお茶とケーキの準備を始める。

 それを見ながら少しばかり申し訳なさそうな顔をした蕾華が


「でも本当におごってもらっちゃって良いの?」


 と問いかけてくる。


「うん。今回は私の相談に乗ってもらうわけだから、このくらいはさせて」


 今回の目的は、桜彩が相談事があると言って蕾華を誘ったことによるものだ。

 その為ささやかながらお礼をしたいという思いもある。


「別に気にしないで良いのに」


「私にとってはそれくらい重要だから」


「んー……。まあそれは分かるけどね」


 今日の目的を考えると、桜彩がそれだけ重く考えているのは理解出来る。


「だったら素直に受け取って。その代わり、この後は頼りにしてるからね」


「分かった。出来る限り力になるから」


「うん」


 そう言っている間に望みがお茶とケーキの準備を終わらせたので、二人は商品を受け取って席へと移動した。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「いただきます」


「いただきまーす」


 早速二人でケーキに口を付ける。

 一口目からその味が口いっぱいに広がって、みるみるうちに幸せな気分が広がっていく。

 これまでにショートケーキは何度も食べたことがあるが、一口食べただけでそれらとは違うことが良く分かる。


「やっぱりここのケーキ、本当に美味しいなあ」


 うっとりとした表情でケーキを味わう桜彩。


「シュークリームも美味しいよ。甘過ぎず酸っぱ過ぎず。クリームの甘みとフルーツの酸味のバランスが丁度良いなあ」


 お互いのスイーツを交換したりして、しばしの間ケーキを楽しむ二人。

 そしてアイスティーで口の中の甘さをリセットして、桜彩が相談事を切り出す。


「それで、この後なんだけど……」


「れーくんへの誕プレだよね?」


「うん。何が良いかなあ……」


 本日の桜彩の相談事。

 それは怜への誕生日プレゼントにいったい何を贈ったら良いかというものだ。

 蕾華も陸翔も怜と誕生日プレゼントを贈り合わないことは以前に怜から聞いてはいたが、桜彩としては自分の誕生日に素敵なエプロンを貰っている。

 当然ながらお返しが必要だ。

 いや、自分の誕生日に貰っていなかったとしても、日頃の感謝から怜へプレゼントを贈っていただろうが。

 とはいえ何を贈っていいのか全く想像がつかない。

 その為怜の親友で長く付き合いのある蕾華に白羽の矢を立てた。


「何が良いのかなあ。最近ネットで調べたんだけど、あんまり参考にならなくて」


「れーくんって今時の高校生とは価値観違うからね」


 蕾華の言う通り、怜の価値観は世間一般的な男子高校生とは違っている。

 だからこそネットをはじめとする情報源はあまり役には立たない。


「ってかさ、相談に乗るっていっておいてなんだけど、最近はアタシよりもサーヤの方がれーくんと一緒にいることが多いでしょ? サーヤの視点から何か無いの?」


 ここ数か月は親友である蕾華よりも桜彩の方が圧倒的に怜の側にいる。

 何しろ放課後以降は入浴と睡眠時間以外常に一緒に生活をしているようなものなのだ。

 それこそ本当の恋人同士以上の関係を続けている。


「うーん……。でも怜の場合、あんまり物欲無いからね……」


「確かにね」


 二人揃って首を捻る。

 二人の言う通り怜は基本的に物欲が少ない。

 欲しいものは確かにあるが、とはいえそこまで執着はしていない。


「これまでサーヤがれーくんに贈ったのって、キーホルダーとネックレスだよね」


「うん。でもあれは理由があったからだしね」


 怜がトラウマを乗り越えた時、友情の証であるキーホルダーをお互いに贈り合った。

 初めてのデートの記念でネックレスを贈り合った。

 二つとも二人にとって大きな意味を持つ物であり、それを選ぶに足る理由がちゃんとあった。

 今回のように誕生日プレゼントとして選ぶには、それに決めるだけの理由が足りない。


「……となると、日常的に使う物かなあ。例えば料理が好きだから調理器具とか……」


 特に欲しいものが無ければ日常で使う物が一番かもしれない。

 実際に桜彩も怜にエプロンを貰った時はとても嬉しかった。


「うーん……。でもれーくんの場合、そういうのは自分でこだわるからなあ……」


「あ、確かにそうだよね」


 包丁などを買うにしても、怜の場合は本人がちゃんと選んでいる。

 やはり普段使いするからには自分に合った物を、ということだ。


「スポーツ用品とかもそうだしね」


 シューズやウェアに関しては基本的に着用して使いやすさを重視している。

 一度購入した物と同じ物に関してはネットで注文することもあるが。


「うーん……難しいなあ……」


「こうしてみると確かにね。でもれーくんならサーヤからのプレゼントならなんでも喜んでくれそうだけど」


 それこそ変なものでなければたとえなんであろうと喜んではくれるだろう。

 とはいえ


「でも、やっぱり怜に贈るからには本当に素敵な物を贈りたいなあって」


 自分の誕生日に貰ったプレゼントの猫のエプロン。

 サプライズで誕生日を祝ってもらったことに加え、更なるサプライズプレゼントが待っていた。

 あれは自分にとって本当に必要な物で、とても素敵な物だった。

 あの時の感動を決して忘れることは無いだろう。

 だからこそ、怜には同じ気持ちを味わってほしい。


「うん。サーヤならそう言うって分かってるよ」


 当然それは蕾華も良く分かっている。

 だからこそプレゼント選びは本当に難航しているのだが。


「そうだよね……。うーん…………」


「こうしてみると本当に悩むよね……」

次回投稿は月曜日を予定しています

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