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【第十章前編 クリスマス】隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら、実は甘えたがりな彼女との甘々な半同棲生活が始まった  作者: バランスやじろべー
第五章前編 クールさんとダイエット

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第245話 クールさんとストレッチ

「それじゃあ始めていくか」


「うんっ。よーし、良い汗流すぞーっ!」


 軽い準備運動を終えた怜の言葉に桜彩が張り切って声を上げる。


「ストレッチの内容は俺が決めて良いんだよな?」


「うん。怜なら私よりも詳しいだろうしね」


「分かった。せっかくなら二人でペアストレッチをやっていくか。桜彩もそれで良いか?」


「うん。それじゃあ怜、指示をお願いね」


 普段は一人でやっているのだが、せっかく桜彩という運動相手がいるのであれば普段は出来ない事にチャレンジしても良いかもしれない。

 そんな怜の提案に桜彩もにっこりと頷く。


「じゃあまずは二人で背中合わせになろう」


「えっと、こう?」


 桜彩が反転して背中を寄せてくると、怜も同じように背を向ける。


「そうそう。それで手を上に伸ばして万歳をする」


「……こ、これであってる?」


 桜彩と背中合わせになり互いに手を上に伸ばす。

 所々密着した背中から、桜彩の温かい体温が感じられてドキッとしてしまう怜。

 そんな動揺を振り払うように、次のステップへと進んでいく。


「次は俺が手首を持つから、そのまま俺の背中に乗っちゃってくれ」


「うん。私が怜の上に乗れば良いんだよね?」


「……あ、ああ。そう」


 言葉だけを聞けば少しばかり誤解を招きそうだ。

 とはいえここにいるのは自分と桜彩の二人だけ。

 ならば誤解も何もないだろうと怜は勢いよく頭を横に振って自らの頭から邪念を振り払う。


「それじゃあ引っ張るぞ。遠慮しないで体重掛けて良いからな」


「うんっ。思いっきり乗っちゃうよ!」


「…………」


 そんな桜彩の言葉に再び動揺しながらも、怜は桜彩の両手首を持って、お辞儀をするような前傾姿勢をとる。

 すると当然ながら桜彩が怜の上に乗って来る体となる。


「手首、大丈夫か? 痛くない?」


「う、うんっ……! て、手首は平気だよ!」


 怜の背中に背筋を伸ばしたまま完全に乗ってしまう桜彩。

 怜に掴まれている手首に関してはそんなに痛くはないのだが、伸ばされている背筋が少しばかり痛い。


「それじゃあ大きく深呼吸して。暴れると危ないから」


「う、うん……。すーっ、はーっ、すーっ、はーっ」


 怜の言葉通りに深呼吸をする桜彩。

 すると気持ち体が楽になってきた気がしないでもない。


「あ、少し楽になってきたかも。背中とかが痛いけど気持ち良いっていうか」


「いつも伸ばしていないところが伸ばされるからな」


「うん。なんか体がポキポキッて鳴ってるみたい」


「キャビテーションだな。それじゃあ桜彩、一旦降ろすぞ」


 そう言って怜は前傾だった姿勢をゆっくりと元通りに戻していく。

 やがて足が床に着いたところで怜が手を放すと、桜彩が一度大きく息を吐く。


「それじゃあ次は私が怜を持ち上げるね」


「ああ、お願い。でも無理はするなよ。身長差もあるし」


 桜彩も同年代の女子の中では比較的高身長ではあるものの、怜の方も同年代の男子の中では高身長だ。

 ゆえに二人の間にはそれなりに身長差というものが存在する。

 加えて怜は見た目よりもかなり筋肉質で体重もある。


「分かった。無理はしないで頑張ってみるよ。それじゃあ持ち上げるね」


 そう言って今度は桜彩が怜の手首を持って怜を背中に背負うようにして持ち上げる。


「桜彩、大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ。それじゃあしばらくこのままでいるね」


「分かった」


 桜彩の上で体を伸ばされる怜。

 先ほどの桜彩と同じように、体中が伸ばされて気持ちが良い。

 そのまましばらく桜彩に体を持ち上げ続けてもらう。


「良しと。それじゃあまた役割を交代するか」


「うん。降ろすね」


「ああ。…………それじゃあ、せえのっ!」


 再び怜が桜彩を背中へと持ち上げる。


「どうだ?」


「うん。二回目だからかな、怜の上に乗るの、さっきよりも気持ち良いかも。んっ……ふぅっ……うんっ、気持ち良い! もっとしてもらって良い!?」


「あ、ああ……」


 そんなある意味きわどい桜彩の言葉にドキドキとしながら、怜は桜彩とストレッチを続けていく。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「それじゃあ次は、股関節かな」


「股関節かあ。確かに鍛える機会なんてあんまりないもんね」


「ああ。それじゃあまずは俺からだな?」


 そう言って大きく股を開いて座る怜。


「わあっ、凄いね! そんなに開けるんだ」


「まあな。俺は良くストレッチしてるし」


 まるで体操選手のようにほぼ百八十度開いた怜の股関節を見た桜彩が驚きの声を上げる。


「それじゃあ桜彩、これから俺が足を閉じていくから、俺の前に座ってふくらはぎ辺りを両足で閉じないように押さえてくれ」


「うん、分かった」


 そう言って桜彩が怜の正面に座って足を開き、その足の裏を怜のふくらはぎ辺りへと当てる。


「それじゃあ閉じていくから」


「うんっ」


 足を閉じようとすると、怜の言った通り桜彩も両足に力を込めて抵抗して来る。


「ん-っ!」


「させないからねっ!」


 頑張って足を閉じようとする怜と、笑いながらそれを防ごうとする桜彩。

 そんな攻防すら楽しく感じてしまう。


「それじゃあ交代だな」


「うんっ」


 しばらくしたところで怜が交代を告げると、正面に座っている桜彩が先ほどの怜と同様に足を開く。

 とはいえさすがに怜のように百八十度開くことは出来ない。


「うーん……さすがに怜のようにはいかないなあ……」


「まあそれは仕方がないだろ」


 残念そうに呟く桜彩に苦笑する怜。

 これでも怜は日頃から鍛えている為にかなり体が柔らかい。

 いきなりそのレベルまでは無理だろう。


「まあとりあえず桜彩のスタートラインはここからだな。それじゃあ今度は俺が桜彩が足を閉じるのを防ぐからな」


「うん」


 そう言って怜が桜彩のふくらはぎへと足を延ばす為に正面を向く。


「ッ……………!」


 そんな怜の目に入って来た桜彩の姿。

 ただでさえ魅力的な桜彩が、薄手で体のラインが出るウェアを着て、自分の前で足を広げている。

 今更ながらその事実に気が付いて、一瞬怜の動きが止まってしまう。


「怜? どうしたの?」


「い、いや、なんでもない。それじゃあやっていくか」


「うんっ、お願い」


 怜の心の葛藤に全く気が付いていない桜彩が無邪気な笑顔を怜へと向ける。


(…………落ち着け、これは単なるストレッチ。やましいことを考える方が桜彩に対して失礼だ)


 そう心の動揺を落ち着けるようにして、桜彩のふくらはぎへと足を延ばす。

 足の裏が桜彩のふくらはぎへ触れるとそこから桜彩の温かい体温と柔らかな感触が伝わってくる。


「それじゃあ閉じるね。……ん-っ!」


「少し痛みが出てきたら止めるのがポイントだからな」


「分かった。痛くなったら言うからね。…………んっ」


 しばらくすると桜彩の両太ももがプルプルと震えてくる。

 どうやらそろそろ限界のようだ。


「ふう……ちょっと痛くなってきたからストップして」


「分かった。それじゃあ交代だな」


「うん。任せて。…………それじゃあまた抑えるよ。えいっ!」


「ん-っ、負けるか!」


 そのまま交互に股関節のストレッチを何度か続けていく。

 一段落したところで桜彩がクスッと笑いかけてくる。


「ふふっ。こうして怜とストレッチするの、楽しい」


「ああ。俺もこうして桜彩と一緒にストレッチ出来て嬉しいよ」


「うんっ。これから毎日やって行こうね」

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