プロローグ
ゆっくり更新かと思いますが頑張ります。
ただ、風を待っている。
波のない海原で。
長い坂道を駆け上がった先にある広い庭園で。
古ぼけてさび付いた風見鶏の前で。
ずっとずっと昔、おじいちゃんが生まれるよりもずっと前の話だ。
世界から、風が消えたのは。
ずっと昔には、この世界には風というものが吹いていたのだという。
そう言われても正直ピンとこなかった。だって見たことがないんだから。
手をパタパタしたら感じる涼しいアレが風だっていうことは知っている。
それくらいのもの。
アレが世界中に吹いていたってどういうことなんだろう?
くすぐったいのかな。心地良いのかな。
でも本で読んだところによると風が強く吹いた日には、海は荒れて木は倒されて、当然歩くこともままならなかったらしい。
おっかなすぎる。でも見てみたいなぁ。そもそも見えるものなのかな・・?
手をパタパタしたときは何にも見えないけどどうなんだろう。
本で見たときは3本の曲線が描かれていたな。あれがぶつかってきたら痛そうだ。
あ、あれがぶつかって木が倒れてるのかな。
考え出すとどんどん思考の海に沈んでいく。
そんな時間が好きだった。
波のない海原で。
長い坂道を駆け上がった先にある広い庭園で。
古ぼけてさび付いた風見鶏の前で。
僕はずっと。
ずっと、見たことのない風に想いを馳せていた。
先の展開については正直あまり決めていません。
風のように気の向くままに、好きに書いてみようと思っています。
駄文ですが、お目通しいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。