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11:37

作者: 風来末
掲載日:2022/10/17

発癌性があるからコンビニ弁当は食べるなと母から言われていたが


11:37


残業帰りのいま 他に選択肢はない


やわらか若鶏の唐揚弁当


エビスビール350ml


明日の朝食にパン


物色していると携帯が鳴る


私の携帯ではなく食パンの横で携帯が鳴っている


『Hello』


着信表示


『木村 』とか 『杉山』だったら取らなかっただろうけど


私は思わず携帯を手にしてしまった


『ハロー』


電話の向こうで声がする


私と同じくらい?20代前半くらい?


『ハロー』


私が無言なのでもう一度聞こえる


「誰?」


『わたしは携帯の持ち主』


「・・・コンビニに忘れてますよ 店のひとに預けますから」


『待って』


「なに?」


『わたしはいまから自殺する』


「?」


『止めてくれない?』


窓の外で信号が変わるのが見えた


歩き出すスーツの男はスマホをいじっている


「意味がわかりません」


『0時に薬を飲む』


レジを見るとバイトの女の子


胸のプレートには『ナカムラ』


『そこから歩いて5分のところ 鍵は掛けてない』


「ちょっと 待って」


『携帯の中に1枚 写真がある 203号室 店を出て見まわせば すぐ目にはいる建物』


「だから ちょっと待って!」


『止めて』


電話は切れた


「どうかしました?」


目の前に立っている店員 声で気付いてギョッとする


キョトンとした顔で私をみるナカムラ


「死ぬって」


「なんですか?」


「この電話の持ち主 0時に薬 飲むって」


11:49


「自殺するから止めに来てって ここに場所が・・・」


私は画像を検索しながら言った


一覧の左隅に小さくマンションがある


拡大しようとする


ナカムラが手を伸ばす


携帯を取り上げて歩き出すナカムラ


さっき立ったいたレジの前にもどる


「ちょっ・・・」


店の中にはナカムラと私だけ


「携帯 貸して」


ナカムラの前に立って私は言った


「貸して」


手を出しながら言った


ナカムラは私の目を見つめた


次の瞬間


ナカムラは携帯を放り投げる


真後ろにあったフライヤーの油の中


沈む携帯


油は冷めていたようで ぽちゃん と音がしただけだった


私は言葉がでない


「温めますか?」


手に持ったままの弁当


11:51


言葉がでない


「死にたければ そうさせてあげればいいですよ」


ナカムラはトングで携帯をつまんで取り出しゴミ箱に捨てた


「本人が決めることだよ」


ナカムラは私の手から唐揚げ弁当をひったくりレンジに入れる


「携帯はもうないし あなたが忘れれば何もなかったことになる」


11:56


「あなたは、唐揚げ弁当を食べながらビールを飲めばいい」


「・・・・・」


レンジから取り出した弁当を袋に詰めるナカムラ


「857円になります」


仕方なく千円札を渡す


「目の前で死のうとしてたら止めるかもしれないけど」


釣り銭をトレイに置くナカムラ


「ありがとうございました」


ナカムラの目は無表情だ


「イタズラだと思ってるの?」


客が店にはいってくる


「わかりません 」


「平気なの?気にならない?」


「嫌いなんですよ 簡単に死ぬとかいう人」


11:59


他の客がレジにきて私は追われるように店をでる


私は人を見殺しにしたんだろうか?


ウチに向かって歩き出す


0:03


公園に人の気配を感じたが誰もいない


また歩き出す

























































































 

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