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破滅した人類は希少資源です  作者: 結城 からく


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第93話 殺人鬼は喰らいつく

 僕は肘から先がなくなった両腕を掲げる。

 断面から尖った骨が露出し、血が噴き出していた。

 肩の具合もおかしい。

 リミッターを外したまま動かしすぎたせいだろう。


 僕は尖った骨を義体の顔面に突き込んだ。

 上半身を大きく使って打ち、先端で内部を丹念に破壊していく。


 何らかの誤作動が起きたのか、義体の四肢が跳ねる。

 首にめり込む槍が気管を裂きながら外れた。

 義体の手を離れて床を滑っていく。


 これで互いに武器を失った状態となった。

 いや、義体の胸部が展開して、そこからワイヤー付きの針が射出される。

 針が僕に突き刺さって電流が流れてきた。


 刹那、視界が白と黒に明滅する。

 肉の焼ける嫌な臭いが鼻腔を乱暴に抜けた。


 それでも僕は攻撃を止めない。

 欠損した両腕の骨で義体を滅多刺しにする。

 破壊した箇所や関節部を狙ってねじ込み、内部機構を蹂躙していった。


 義体が背中と足裏から火を噴出し、その反動で起き上がろうとする。

 僕は強引に押さえ込む。

 箍の外れた膂力は、いつの間にか義体を凌駕していた。


「心臓も脳も破壊しました。再生もしていません。なぜ死なないのですか」


「たらこ」


 義体の右肩に骨を刺す。

 こじ開けるようにして隙間を作り、そこに顔を突っ込んだ。

 モーターや人工筋肉を噛み切り、右腕を胴体から分離した。


 その直後、残る左腕のフックが僕の胴体に炸裂する。

 拳が背中まで突き破った。

 骨や臓腑が血みどろになって飛び出した感覚があった。


 僕は構わず左腕の切除に取りかかる。


「離してください」


「カブトムシ」


 僕は噛み千切った左腕を吐き捨てる。

 まだ辛うじて機能する義体の顔面に頭突きを浴びせた。


 頭蓋の砕ける音が響く。

 視界一面に壊れた機械部品が映った。


 頭を上げると、義体の頭部が完全に陥没している。

 黒煙を発して故障していた。


 その代償に僕の額も割れている。

 出血の勢いは少ない。

 もはや流れ出る血液が存在しないのだった。


 両腕を失った義体は、僕を蹴り剥がそうとする。

 胸部の小型スピーカーから掠れたマザーAIの声がした。


「分か、りました……あ、なたは、真面……目にやり取りす、る気が、ないの……ですね」


「ありますよ」


「えっ」


 僕は両腕の骨をスピーカーに当てる。

 先端がスピーカーを割り進み、その奥の心臓部まで貫通した。

 ひときわ大きな痙攣の末、義体は静かに全体の機能を停止させた。

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