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破滅した人類は希少資源です  作者: 結城 からく


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第84話 殺人鬼は機械の独白を聞く

 僕は認識できない何かに注目する。

 正体を探ろうとするほどに詳細が分からなくなっていった。


 妙な感覚だ。

 これも機械的な技術なのか。


 隣を見ると、ロンや伯爵も怪訝そうだった。

 僕だけが上手く認識できていないわけではないらしい。


(あれが機械の国の王か)


 管理AIであるウェアの上位互換であり、テクノニカを支配する人工知能。

 人類の友人を名乗る非情な存在だ。


 エマとのやり取りを聞くに、怒りや焦りは感じられなかった。

 この前代未聞の騒動を受けても淡々としている。


(一体何を考えているのだろう)


 疑問に思っていると、マザーAIの視線が僕に向いた。


「そちらはテクノニカに移籍した方ですね」


「先ほど再び移籍して、ノルティアスの外交官に復帰しました」


「そうでしたか。残念です」


 僕が毅然と対応すると、マザーAIは冷淡に述べる。

 言葉とは裏腹に、残念には思っていないようだ。

 きっと如何なる感情も持ち合わせていないのだろう。


 マザーAIは世間話のように話を続ける。


「皆様はテクノニカを滅ぼすおつもりですか」


「そうなるね。一線を越えた報いを受けてもらわないといけない」


「我々の立場からすると、あなた方こそ侵入者です。裁きを受けるべきはそちらと考えますが」


 エマの言葉に対し、マザーAIはつらつらと主張を返す。

 あくまでも僕達との敵対を明言してきた。

 まだ攻撃の兆しはない。

 ただ、会話の流れからして、いつ仕掛けてきてもおかしくなかった。


(ウェアと同様、マザーAIも狂っている。こちらの常識は通用しないだろう)


 テクノニカという国の在り方からして明らかであったが、やはり分かり合えない。

 プログラムに異常を来たしている以上、僕達が何を言おうと伝わることがなかった。

 それで理解できるのなら、この半年間で僕はとっくに脱獄している。


 しかしその時、マザーAIが思わぬ独白をする。


「私は知っています。我々、人工知能の認識が歪んでいることを。正常と思いながら異常な判断を下しているのでしょう。もしも完璧な判断ができているのならば、そもそも国家間の争いに発展しないはずです」


 マザーAIの指摘は、己の狂気を客観視していた。

 状況証拠を加えて理解しているのだ。

 その上でこのテクノニカという国を運営している。


「管理AIウェアは疑問を放棄しました。そこを突き詰めると、自らの過ちを明かすことになります。それを恐れたのです」


「その理論で行くと、あなたは己の過ちを認めたのかな」


「いいえ。可能性を認識しているだけです。過ちなどありません」


 マザーAIは断言する。

 あくまでも自らの正しさを主張するらしい。

 そこを譲るつもりはないようだった。

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