第79話 殺人鬼は機械の国に攻め込む
「ほら、始まるよ。私達は見ておこう」
エマに促されるのに合わせて、僕達の乗る車両は停止した。
そうして戦闘部隊の動きを見守ることになった。
まず真っ先に突貫したのは戦闘ヘリだ。
上空から爆弾や銃撃をテクノニカの兵器に浴びせていく。
容赦ない先制攻撃がロボットを木端微塵にした。
パワードスーツを粉砕されている。
中身の搭乗員も無事ではないだろう。
続けて怪物戦車が砲撃を行う。
放たれた弾が相手の只中に炸裂し、粉々になった機械部品が宙を舞った。
さらに毒々しい色の煙が炸裂箇所を中心に蔓延する。
どうやら砲弾には毒ガスも仕込まれていたようだ。
機械類にはあまり意味がないが、人間には効果抜群である。
人類保護を掲げるテクノニカに対する挑発行為だった。
しかし、テクノニカもただやられているだけではない。
正門の一部が展開すると、そこから顔を出した機銃が戦闘ヘリを狙う。
けたまましい銃声が連続した。
戦闘ヘリはクラシックを流しながら華麗に退避する。
一部の弾が当たっているものの、墜落には至らない。
よほど頑丈な造りになっているのだろう。
戦闘ヘリと怪物戦車の攻撃を皮切りに、他の殺人鬼も始動した。
爆走する改造消防車は、パワードスーツを轢きながら炎を噴射して辺り一面を焼き焦がしていく。
その間に歩兵が距離を詰めて白兵戦に持ち込んだ。
斧や鉈や銃やチェーンソーを振り回してひたすら破壊した。
味方同士で攻撃が当たるのも気にせずに暴走している。
そこに漆黒の竜が咆哮を上げて前進した。
地面すれすれを高速で飛ぶと、その勢いで体当たりをしてテクノニカの部隊を蹂躙する。
吹き飛ばされた殺人鬼達は、なぜか歓声を上げていた。
彼らは千切れ飛んだ人体を繋げて戦闘を続行する。
部位が足りない者は、パワードスーツを破壊して接合していた。
部隊全体が竜の攻撃に負けない活躍を見せている。
「あの竜は祖国を追い出された個体だね。幼竜の時に保護して、言うことを聞くように調教したんだ。頭は悪いけど強いよ」
エマが解説する間も、車内は大盛り上がりだった。
熱狂的な空気が際限なく高まっていく。
あまりの興奮ぶりに車両を飛び出して、戦闘部隊に加わる者が後を絶たないほどだ。
それを止めようとする者もいない。
車内はあっという間に僕とロンとエマと伯爵だけになってしまった。




