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破滅した人類は希少資源です  作者: 結城 からく


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第59話 殺人鬼は施設を見つける

 路地から路地へと進むうちに、目的の施設が見えてきた。

 そこは箱型の大きな建物だった。

 隣接するのは工場だろうか。


 目を凝らすと、各所を武装したゴブリンが巡回しているのが確認できる。

 屋上にもいるので、迂闊に身を晒せば見つかりそうだ。


 一部のゴブリンは特殊な個体だった。

 他種族の特徴が色濃く出ているのか、背丈や肌の色が異なったり、翼や鱗を持つ者が点在している。

 ああいった個体は特に能力が高いと聞いていた。

 そういったゴブリンが配備されるほど、この施設は重要視されているようだ。


 僕は物陰からその光景を訝しむ。


(ただの防衛ではない。どこかの勢力と戦っているのだろう)


 ここはテクノニカの端で、ゴブリンの国にとっても辺境にあたる。

 他に隣接する領土と言えば、無法の荒野のみだった。

 干渉してくる国など滅多にないはずである。


 もっとも、今は関係ない。

 頭の端に留めておく程度でいい。

 重要なのは、ゴブリン達の警備のみだ。

 彼らが特に警戒しているのはよく分かった。


 どうしたものかと考えていると、ウェアの音声が首輪から聞こえてくる。


「N303、あなたはどうやって施設に入るつもりですか?」


「警備の目を掻い潜って侵入します」


 真正面から攻め込むのは無謀すぎる。

 いくら僕が強くなったと言っても、無策で突っ込めば死ぬ。

 何らかの策が必要になってくるだろう。


 すると、首輪から光が放射されて、僕の目の前に立体映像を映し出す。

 その中の一カ所が明滅した。

 建物四階の奥にある部屋である。


 映像を消したウェアは僕に指示を出す。


「制御室に向かってください。そこで電力供給とデータ送信ができます」


 ここは素直に従うべきだ。

 業務の達成が最優先とされている。

 あまり迂遠なことをしていると処分されかねない。


 それに施設の機能が回復すれば、それを人工知能が操作できるようにある。

 ゴブリンを翻弄することも可能だろう。

 自然と僕の生存率は高まることになるはずだ。


 僕は空を見上げた。

 夕闇に染まりつつあり、もうすぐで夜が訪れる。


「日没までは周囲を探索して、侵入経路を考えます。それでいいですか」


「構いません。あなたの活躍に期待します」


 ウェアは淡々と述べた。

 さすがにこれくらいの理解はあるらしい。


 僕は荷物を持ちながら移動する。

 ゴブリン達の警備に気を付けながら施設周辺を探っていく。


 侵入は彼らが寝静まった時間帯を狙う。

 それでも完全に無防備なタイミングは無い。

 深夜でも巡回するゴブリンはいるだろうが仕方なかった。


 僕に退路は残されていない。

 この不利な状況下でやり遂げるしかないのだった。

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