表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破滅した人類は希少資源です  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/100

第53話 殺人鬼は懸念する

 ウェアから指定された集合場所に向かう。

 そこは屋外の広場だった。

 移動用らしき三台のバスが停まっており、近くには首輪をつけた人々が集まっている。


 整列する彼らは、今回の業務に参加する者達だろう。

 既に武装しているが、ほとんどが拳銃か散弾銃のみを所持していた。

 酷い者は棍棒やナイフだけだった。


(下級クリアランス持ちか、それ未満の国民候補しかいないようだ)


 今回の部隊は使い捨てなのだ。

 目的地のゴブリンを消耗させるのが狙いと思われる。


 並ぶ者達に無表情が多いのは、薬物を強制投与されたからだろう。

 業務を拒むとそのような措置を取られる。

 恐怖や不安は感じなくなる代わりに、危険察知能力が衰える。

 戦場ではまず死んでしまうに違いない。


(他人任せにはできない状態だな)


 外交官になってからは、頼りになる味方がそばにいた。

 テクノニカでは孤立無援に近い。

 周りは肉の盾であると考えるべきだろう。

 非情な考えだが、名前も知らない人間を助けられるほどの余裕はない。


 その後、集まった面々に対してウェアから簡潔な説明が行われた。

 しかし詳細を露骨に省かれており、真面目に伝える気がないのが明白だった。

 ここで大半が死ぬため、懇切丁寧な説明は不要と判断されたらしい。


 それでも異議を唱える者はいない。

 発言した時点で死が確定するからだ。


 満足そうに説明を終えたウェアに従って、僕達はバスに乗って出発する。

 ちなみに運転手はいない。

 人工知能による自動操縦だった。

 ハンドルも無いので、この車両を奪って逃げることはできない。


 三台のバスはテクノニカの道路を進んでいく。

 均一的な白い建物の間を一定の速度で走る。


 車内は絶望に満ちた空気だった。

 途中、銃で自殺しようとする者がいたが、首輪から電気を流されて気絶した。

 装備を没収された上で座席に拘束されている。


 僕はその一部始終を冷めた目で傍観していた。


(これが人工知能の掲げる理想社会か)


 人間は過酷な環境で狂うことがあるが、それは機械も同じらしい。

 耐え切れず歪んでいく。

 きっと本人も気付かぬ間に逸脱しているのだ。


(いや、そんなことはいい。今は業務に集中しよう)


 今から向かうゴブリンの縄張りは、元々テクノニカの施設だったらしい。

 ゴブリンの蹂躙によって占拠されているのだという。

 電気系統が徹底して破壊されたせいで、人工知能が侵入する余地がないそうだ。


 ゴブリン達は知恵が回る。

 テクノニカの弱点を理解しているのだ。

 原始的な暮らしを徹底することで、機械や人工知能を封じている。


 そこに攻撃を仕掛けて取り戻すのが今回の目的だった。

 同行するロボットが施設に接続し、電力の供給と人工知能の送信を担う。

 これによって施設の機能を復旧させて、前線の防衛拠点にするのだ。


 もっとも、僕達はそこまで期待されていない。

 装備や人員の質から分かる通り、あくまでも先遣隊だった。

 本命の部隊は後ほど送り込まれるのだろう。

 そうして僕達の築いた成果を横取りしていくのだ。


(別に手柄がほしいわけではない。勝手にやらせておけばいい)


 僕にとっては、テクノニカからの離脱が最優先だ。

 やはりノルティアスが肌に合う。


 ただし、この国からの脱出は困難を極める。

 その中でも国外調査はまたとない機会であった。

 同じチャンスが次にいつ訪れるか分からない。

 ここで決行するしかないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >ゴブリン達は知恵が回る。 >テクノニカの弱点を理解しているのだ。 >原始的な暮らしを徹底することで、機械や人工知能を封じている。 ある意味で生物も「自然…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ