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破滅した人類は希少資源です  作者: 結城 からく


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第52話 殺人鬼は準備を進める

 話を終えた僕は、無数のロッカーと棚が並ぶ部屋に移動した。

 ここは装備室だ。

 業務のための武器や防具を揃える場所である。

 ライセンスごとに使える物が決まっているが、中級なら不自由することはないだろう。


 まず手に取ったのは補助スーツと呼ばれる物だ。

 肌に密着するインナーで、衝撃吸収や止血効果を持つ。

 ただ、再生能力を持つ僕にはあまり必要ない。

 ゴブリンを相手にどこまで効果があるのか分からないものの、着て損はないだろう。

 補助スーツの上に普通の衣服を着て、さらに防刃性能を持つ上着を羽織っておく。


 次に手に取ったのはナイフだ。

 特別な機能は無いが、頑丈で切れ味が良い。


 実際、僕は特殊業務では何度も使っている。

 不意打ちに使えるので、相性が良いのだ。

 様々な形状やサイズが用意されているので、何本か上着の内側に隠し持つことにする。

 なんだかんだで今回も世話になる予感がした。


 腰には自動拳銃を吊るしておく。

 テクノニカで製造された武器である。

 人工知能のプログラムの関係で大型兵器は開発できないが、個人携帯できる範疇では問題ないらしい。

 治安維持の延長線として認められているのだろう。


 単発式のグレネードランチャーも持っていく。

 射程はそれほど長くないが、着弾と同時に爆発する代物だ。

 上手く当てればゴブリン達を一掃できる。

 二種の火器については、予備の弾を上着やズボンのポケットに詰め込んだ。


 これで僕の武装は以上だ。

 業務の危険度を考えると不足だが、持ちすぎて動きづらい方が問題である。

 いざという時は、仲間の武器を借りてもいい。

 僕は素手でも戦えるように鍛えているので、よほどのことがない限り困らないと思う。


 他にも精神安定剤や鎮静剤、麻酔などが用意されているが、どれも使わないので触れずに放っておく。

 戦闘時、五感が鈍ると死に直結する。

 どうせ大抵の傷は再生するのだから、我慢すべきだろう。


 最後に首輪をつけた。

 通信機という建前だが、テクノニカに現在地を送信したり、盗聴や自爆の機能が搭載されている。

 裏切りが判明した場合、即座に爆殺されることになるのだ。


 こんなものは装着したくないが、特殊業務の最中は必須だった。

 無理に外そうとすれば人工知能に処分される。

 テクノニカから脱出するには、まずこの首輪をどうにかしなくてはならない。


 すべての装備を整えた僕は部屋を出た。

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