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ダンジョンマスターへの道  作者: シキシ
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1話 オープニングセレモニー

気がつくと白い場所に立っていた。


何故此所にいるのかと考えるが、頭に靄がかかったような感覚があり、よく思い出せない。


俺は辺りを見回す。周りには何人もの人がおり俺と同じようにキョロキョロしている。


話を聞こうと近付こうとしたが、足が動かない。


なんで足が動かないんだ?


足を見てみるが特に普段変わりがないようにみえ……?


……足の(くるぶし)より下が見えなかった?


え、どういうこと?なんか踝より下にモコモコした雲?が付いてるんだけど!


俺は足を引っこ抜こうとするが、全然雲?から足が抜けない。


仕方ないので助けを求めようとしたが、何故か声がでない。

慌てて首に手を当てて必至に叫んでみたが一言も喋れない。


周りを見てみると、俺と同じように足を引っこ抜こうとする人や、声を出そうとしてる人がいた。

……無理やり足を引っこ抜こうとして、膝から倒れて起き上がれない人もいたのでひとまず動かないでおこう。腹筋には自信がないので。


しばらく周りを眺めていると、何処からともなく声が聞こえた。


『おはよう、またはこんにちは、はたまたこんばんは諸君。最初に言っておくが私は神ではない!』


…場が白けた。いや、誰も喋れないから白けただけだか。

謎の声はテンションが落ちたのかしくしくと泣いていた。


『ぐすん……そちらの世界ではこういうのがうけると聞いたからやってみたのに……今度あいつにあったら絶対泣かす。

……ん、んー。気を取り直して、今から君達には私のダンジョンに潜って、ダンジョンマスターたる私を倒して、新しいダンジョンマスターになってもらう。私のダンジョンは全100階層、モンスターもそこらじゅうにわんさか。

あー、(ちな)みに君達には拒否権はない。強制参加だ。

君達は既に死んでいて、君達の魂は私が握っているからな~。

さて、ここまでで質問はあるかな?質問がある人は~挙手。』


何言ってんだ?ダンジョン?まるで今、異世界にいるみたいじゃないか。

それに既に死んでる?…いや、死んだ覚えないし。


俺がそんなこと思っていると、俺の近くにいたスーツを着た女性が手を挙げた。


『はい、そこの君。質問は何かな?』


「あ、あー。や、やっと話せるようになったわね。貴方、何を馬鹿げたことをいっているの。いいからここから出しなさい。私には仕事があるんです。あのプロジェクトは私の今後の人生がかかってるの。こんなところで油売ってる暇なんてありません。」


女性は怒鳴るように謎の声話しかけた。


す、凄い強気だなぁ。こっちは足が動かないし、謎の声が許可しないと喋れないようにされてるみたいなのに。


謎の声は、女性が何が面白かったのか行きなり笑いだした。


『あははは、君。死んでまで仕事しようなんて面白いね。それに君には今後の()()なんてものはないのに。』


「な、何を笑っているのですか。早くここから出しなさい、訴えますよ。それに私は死んだ覚えなんてありません。」


女性が謎の声に怒声を上げると謎の声は唸り声を上げた。


『うーん、本来なら死の記憶は渡さない予定だったんだけど、どうしようかな。与えると今後、死の恐怖でダンジョンを進まなくなるかもしれないし…。

…よし!『()()()()』に新しい項目を追加する変わりに現実を見せるか。……まー、最悪全員狂っちゃうけどそれはそれでありか、な?』


え、本当に俺死んでるの?それに最後物騒な言葉が聞こえたんだけど!


女性は先程の威勢は何処へやらと、赤かった顔がみるみるうちに青く染まっていた。


「いえ、あの、やっぱりさっきのことはー」


『じゃあ皆に死の記憶を配るからね。おっと、その前に一時的に全員の言語機能を復旧させてっと。よし、皆~、狂わないように頑張ってね~。3、2、1、Q~』


謎の声が女性の声を遮り、楽しそうに何かをした。その瞬間、ここに地獄が誕生した。


「うぎゃーーー!!!痛い痛い痛い痛い痛いーーーー!!!!」

「助けてくれーー!!ああ、足がーーおれのあしがーーー!!!!!」

「熱い熱い熱い熱いーー!!!!だだだ、誰かおれにみずーーー!!!!!」

「さ、寒い、ちち、血がいっぱい出ててでで出てでててて!っあは、あはははは!!!」

「見て見て、蝶々蝶々。あはは、私の赤い蜜に蝶々がいっぱい。あははははは!」


あ、あ、あがぁぁぁあああーーー!!!ぐ、腕がうでがウデガーー!!!!痛い痛い痛い痛い痛い!!


ここは地獄だ。狂わなかったものは苦痛を叫び、狂ったものは笑い正気なものを狂わせていく。


何分、何時間、何日過ぎただろう。時間の感覚がなくなる。

ただ、全身に痛みが走る。ないはずの傷が見える。()()()()目を閉じていたはずなのに、傷が見える見える見える見える。こんな目なんて要らない。取ってしまおう。あは、あはは、


ぐちゅり


俺は目を抉りとった。


これで傷は見えない、あれ、痛い?…痛い痛い痛い痛い痛い!



耳に聞こえる怨嗟を聴くまいと、ついに鼓膜も破ろうとしたときふと痛みが和らいだ。


『はい、終了。痛覚麻痺と精神安定化、ついでに周りの血も綺麗にしておくか。いやー、なかなかの見世物だったよ。君たち役者の才能あるんじゃない?あれま、やっぱり何人かは狂ったままか、仕方ない放置しとくか。』


謎の声が何かを言うと、先程までの痛みが嘘のように消えていた。目が見えないがそれによる苦痛や不安までない。


「な、なななんてことしてくれー」


『おっと、忘れてた。言語機能を切ってっと。年を取ると物忘れがひどくて困るねー。あーやだやだ、さっさと死んでおきたいよ』


謎の声は怒鳴る男を無視して飄々とした調子で何かをした。また謎の声以外の声が聞こえなくなった。


『そろそろ説明を始めよっか。元々はスキルを渡してダンジョンに送ろうと思ってたけど予定が変わっちゃったからね。

まずはっと、君達にDPダンジョンポイントをあげちゃう。使い方は、ステータスと同じように頭に思い浮かべれば使えるから。そうだなー、君達の世界でいうゲームや小説みたいな感じかな~。

はい、ここまでで質問ある人は挙手!』


周りはシーンと静まり返っている。目か見えないから分からないが誰もてをあげていないのだろう。

……さっきの惨状を体験したら誰も意見なんて出来ない。あの痛みをもう味わいたくないから。


それに焦れたのか謎の声が急かしてきた。


『君達、本当に質問しなくていいの?此処から出たら私は君達にはほとんど干渉しないか……少ししか干渉しないからここで色々聞いとかないと困るのは君たちだからね。さっきのことを怖がってるなら安心しなよ。私も無闇に参加者(フォーリナー)を減らす気は無いからさ』


それを聞いた誰かが手を挙げたようだ。


『はい、君。発言をどうぞ』


「あ、あの。お、俺、いや、私の家族がどうなったかわかりませんか?たった一人の家族なんです。俺はあいつになー」


『あー、ごめん。そういう質問には答えられないから』


「な、何故ですか」


『最初に言ったでしょ、『私は神ではない』って。私は死んだ魂を異界の神のところから掻っ払ってきただけだから。いやー、君達のところの神様凄いね。お酒飲みながら、輪廻転生の仕事してるなんてさ。お陰で一樽のお酒で注意をそらせたよ』


…何やってんですか神様。ちゃんと仕事してくださいよ。


『話がそれたね。あ、言っておくけどさっきみたいな質問はもうだめだよ。ちゃんと今後の役に立つ質問をしてね。

……はい、そこのちっこい子』


「ステータスってどうやって出せばいいんですか?

あと、DP?のおすすめの使い道ありますか?僕、ゲームがあまり強くなかったので教えてくれ、…いただけると助かります」


『うん、君、いい子だね。いい子で素直な子は私好きだよ!

まず、ステータスは念じると頭の中に画面が出るから、DPの使用画面はステータスの画面を左にスライドさせるようなイメージをすれば画面が切り替わるからね。

DPの使い道はー、うーん。やっぱり自分で考えて。そこを助言しちゃうと、私が君を贔屓してるみたいになっちゃうから。

変わりに、全員のステータスをダンジョンように改造してあげよう。

えーと、確かこの辺の本に載っていたような。…あった。

レベル、HP、MP、ついでに空腹値、後は攻撃力、防御力、素早さ。うんこれくらいでいいかや。あまり色々あるとめんどくさいし。』


謎の声の話を聞き、ステータスを開こうとしたが開けなかった。

俺が首を捻っていると、また子供の声が聞こえた。


「あの、ステータスが開けなかったんですが、やっぱり僕には何の才能がなかったんですね。」


子供の泣きそうな声が聞こえる。謎の声もそれに焦ったのか慌てていい募ってきた。


『あー、ごめんごめん。言い方が不味かったね。君達は今魂だけで肉体がないからステータスを出せないんだ。ね、だから君が悪い訳じゃないから、泣かないで。そ、そうだ。本当は多くのDPが必要になるけど『鑑定』のスキルを君達に無料であげるから』


「ぐすっ、か『鑑定』ってなんですか?」


…地獄絵図は喜ぶのに、子供の涙には弱いのか?なんなんだこいつ。


謎の声は子供の注意をそらすためか丁寧に説明を始めた。


『『鑑定』はね、そこら辺にある道具の用途や材質、自分以外のモンスターのステータスを見ることができ・る・ん・だよ?あれ、これ今渡したら強力すぎない?あー、でもあげるって言っちゃったし…約束は()()()()守る主義だし~。うん、スキルにもレベル付けて熟練度やDPでレベルが上がるようにしとこ。』


子供のが泣き止んで満足したのか、謎の声はまたルールの説明を始めた。


『うーん、質問を待つのも面倒だな~。よし、質問タイム終わりー。最小限のことだけ説明しよっと。

こほん、君達がダンジョンである行動をしたとき、ステータスみたいに禁忌行動が頭の中に浮かぶようにしたから。まあ、これに関しては従ってもいいし、従わなくてもいいよ。ただの忠告みたいなものだからね。

あとは、()()()()()()()ダンジョンの外に出たら、体が灰になってから、レベルが1になったり、持ってるDPが半分になったりしてから甦るから注意してね。

最後だけど、君達はランダムに魔物に転生してもらうから。それに私を倒さない限り君達は死ぬことはないから。誰が私を倒すのか100階層で見てるからね。頑張ってね!』


何故か一気にルールを伝えてくる謎の声。果たして俺の運命はいかに…。


ってちょっとまてーー。なんで魔物に転生することになるんだよ。それに死ねない体ってどういうことだよ。

色々言いたい事があったが口から言葉がでない。


『あ、なんで魔物に転生?って顔してるね。簡単だよ、ほら、狂ってる人がいるから、人の姿じゃ不便かなって思った私のサービスだよ。大丈夫、モンスター候補の中には、人に近いゴブリンやオーク、コボルトなんかもいるからね。…まあ、中には昆虫系や植物系もいるけど。ほら、ドラゴンやデビル、エンジェルもいるからワンチャンあるって。

私の説明はここまで、後は現地、ダンジョンで試行錯誤しながら頑張って。転生させるからいいモンスターになることでも祈っててねー。祈りを聞く神様が居るかは分からないけど、ぷぷっ。3、2、1、Q~、じゃっあねーー。』


俺達が何も言えず、何も出来ずにいると周りが暗く気がした。


そして、俺達のダンジョンでの生活が始まった。

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