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空がきこえる
昨日は大変だった。
学校へ行ったはいいが、まず、自分の机がどれなのかも分からなかった。途方に暮れていると、角田さんという女子がやって来て教えてくれたから助かった。
自己に関する記憶は失ったが、常識や知識は失っていないので、授業を理解することは容易かった。
しかし、問題は休み時間だった。誰も僕には近寄ろうとしなかった。むしろ避けられているような感じさえ受けた。僕と同じように記憶を失っている音根さんの周りには、人が集まっていたのに、僕のところへは人っ子一人来やしなかった。
どうやら、僕には友達がいないようだ。
記憶を失う前の僕は、一人でいることが好きだったのかもしれない。
でも、僕は違う。
友達も欲しいし、青春もしたい。
今からでも遅くはない。よし。頑張るぞ。
決意新たに、僕は朝の校門を通り抜けた。




