41/45
熟考という概念が存在しない退屈な世界③
「三人ってばいきなり泣き出すんだよ、変だよね」
その日の夜、学校であったことをママに話していたら、ママはうつむきがちになっていき、「ちょっとトイレ」と言って席を立った。
私はテレビを見ながら、スマホをいじりながら、ママが戻ってくるのを待つことにした。
けれど、十分経っても二十分経っても、ママは戻ってこなかった。
トイレへ行ってみると、ドアからすすり泣きが聞こえてきた。
「どうしたの? ママ」
「ごめんなさい。何でもないの」
「でも泣いてるじゃん」
「本当に大丈夫だから」
ますます意味が分からない。
そのとき、私は突然、ひらめいた。
「もしかして便秘なの?」
中から笑い声が聞こえた。
「違うわよ」
「ふーん」
ってことは、やっぱり泣くのが流行ってたりするのかも。私も泣いた方がいいのかも。
ま、涙なんてそう簡単に出ないんだけどね。
だって私、なんにも悲しくないんだもん。




