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八十分間異世界半周
シホタース山脈を出発してから、十分が経とうとしていた。
腕時計は止まることなく時を刻んでいる。異世界に来ても壊れないとは、俺たちの世界の技術も捨てたものではない。
竜が鳴いた。
「はーい、了解」
エルーがたたずまいを正し、一礼した。
「申し訳ありません、お客様。これより当竜は進路を変更し、ツアイ砂漠へ向かいます。緊急着陸の恐れもございますが、お二人の安全は保障いたしますので、ご安心ください」
「何かトラブルか?」
「キシシ」
エルーが口に手を当てて笑った。
「うん、シックがね、うんちだって」




