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雲は無慈悲な夜の帝王④
「青年の家」本館の一階にある食堂は、体操服を着た生徒たちでごった返していた。お盆を持って列に並び、好きなおかずを取っていく。バイキング形式だから、取りすぎないようにしないと。
「久しぶりに運動したからお腹すいたー」
と言ってさくらはササミカツや千切りキャベツやカットされたオレンジを山ほど取っていた。
空いている席を見つけ、座る。
貸し切りなら、全生徒が席に着いたところで「いただきます」をして、一斉に食べ始めるのであろうが、今日はそうじゃない。私たちの学校のものではないジャージを着て食事している子たちもいるし、私服の、大学生っぽい人たちもいる。
班長のさくらの号令に合わせて、私たちは「いただきます」をした。
まずはひじきの煮物を一口食べた。おいしい。
「天体観測できるかなあ」
どこからかそんな声が聞こえてきた。
食堂の壁は一面だけガラス張りになっていて、みんな、時折、そっちへ視線をやって、外の天気をうかがい知ろうとしている。
私たちも例外ではなかった。
「雨、やんでる?」とさくら。
「音は聞こえない」と八重。
「大丈夫だって」
またすみれが自信ありげに胸を張っている。
私はどうしようもなく不安になった。




