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八十分間異世界半周  作者: 仙葉康大
第五章
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やはり俺の青春ソロプレイは間違っていない。③

 果てしない夕焼け空。


 俺と音根は歩道橋をわたっていた。


「りりり林間学校楽しみだね」

「よかったな」


 皮肉ではなく、本当にそう思った。

 音根は俺の一歩引いたようなもの言いに何か感じたのか、こんなことを言ってきた。


「も、もしかして、ふふ深入くんは楽しみじゃない?」

「俺はサボるよ」

「え?」


 音根の顔が固まった。


「じょ、冗談?」

「違う」

「どどどどうして?」

「前に言ったろ。海より山より家だって」


 何より林間学校は、ソロプレイに適していない。複数プレイが前提のクソゲーだ。やるかよ、そんなもん。


 歩道橋を降りても、音根はまだ言ってくる。


「でででも」

「お前だって友達がいなかったら、林間学校を休みたいって思ったんじゃないか?」


 俺がそう言うと、音根は開きかけた口を閉じた。そのまま無言のまま歩き続ける。街路樹が西日の中にそのこずえを揺らしていた。道路の点字ブロックが途切れたところで、不意に、音根が言った。


「なら私もサボる」


 珍しくつっかえずに言葉を発した。


「お前、何言って――」

「ふふ深入くんが林間学校行かないって言うなら、わわわ私もサボるもん」


 早足になっていく音根に合わせて俺も歩く速度を速める。


「そんな子供みたいな理屈が通用すると思ってるのか?」


 音根は止まらない。


 困った。


 今度の林間学校、音根は何としてでも行くべきなのだ。せっかく友達ができたのだから。あの三人と一緒なら二泊三日、楽しい思いをできるはずだ。


 音根の幸せと俺の幸せ。天秤にかけるまでもなかった。


 俺はその場に立ち止まった。コンビニの駐車場の前だった。

 音根が振り返る。その不安げな目の先にいるのは、他でもない俺だった。


「分かったよ。行くよ」


 声が届いた瞬間、音根の顔に笑みが咲いた。

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