やはり俺の青春ソロプレイは間違っていない。③
果てしない夕焼け空。
俺と音根は歩道橋をわたっていた。
「りりり林間学校楽しみだね」
「よかったな」
皮肉ではなく、本当にそう思った。
音根は俺の一歩引いたようなもの言いに何か感じたのか、こんなことを言ってきた。
「も、もしかして、ふふ深入くんは楽しみじゃない?」
「俺はサボるよ」
「え?」
音根の顔が固まった。
「じょ、冗談?」
「違う」
「どどどどうして?」
「前に言ったろ。海より山より家だって」
何より林間学校は、ソロプレイに適していない。複数プレイが前提のクソゲーだ。やるかよ、そんなもん。
歩道橋を降りても、音根はまだ言ってくる。
「でででも」
「お前だって友達がいなかったら、林間学校を休みたいって思ったんじゃないか?」
俺がそう言うと、音根は開きかけた口を閉じた。そのまま無言のまま歩き続ける。街路樹が西日の中にその梢を揺らしていた。道路の点字ブロックが途切れたところで、不意に、音根が言った。
「なら私もサボる」
珍しくつっかえずに言葉を発した。
「お前、何言って――」
「ふふ深入くんが林間学校行かないって言うなら、わわわ私もサボるもん」
早足になっていく音根に合わせて俺も歩く速度を速める。
「そんな子供みたいな理屈が通用すると思ってるのか?」
音根は止まらない。
困った。
今度の林間学校、音根は何としてでも行くべきなのだ。せっかく友達ができたのだから。あの三人と一緒なら二泊三日、楽しい思いをできるはずだ。
音根の幸せと俺の幸せ。天秤にかけるまでもなかった。
俺はその場に立ち止まった。コンビニの駐車場の前だった。
音根が振り返る。その不安げな目の先にいるのは、他でもない俺だった。
「分かったよ。行くよ」
声が届いた瞬間、音根の顔に笑みが咲いた。




