表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八十分間異世界半周  作者: 仙葉康大
第四章
10/45

ノーパンツ・ノーライフ④

 お風呂から上がったあと、寝るまでは自由な時間だ。やらなければならないこと、宿題とか予習とかは夕食までに済ませてある。


 本棚の前に立つ。

 今日は何の本を読もうかな。

 あ、そうだった。私は手と手を軽く合わせる。深入くんから本を借りるんだった。


 姿見で身だしなみを確認する。パジャマのボタンはちゃんととまっている。よし。あとは行くだけ。

それから十五分ほど部屋の中を歩き回った後、私は廊下に出た。隣の部屋のドアをノックする。


「はい」


 深入くんの声はいつもより少しだけ高いような気がした。


「は、ははは入っていい?」

「音根か?」


 扉が開いた。


「どうした?」

「あああああの、ラ、ラララライトノベル借りて読んでみたいって今朝言ってたでしょ。だ、だから、その、き、来ちゃった」


 そのとき、部屋の中と外、その境界線で至近距離で話をしていたものだから、ふと、目が合ってしまった。


 とうに湯冷めしたはずの体が一気に火照りを取り戻した。


「まあ何だ。中に入るか?」

「う、うん」

「いや、待て。ダメだ。ダメに決まってる。馬鹿か俺は」

「え? い、いい入れてくれないの?」

「悪いが、(ぶつ)の受け渡しは廊下で行う。いいな?」


 私がうなずく間もなく、深入くんはドアを閉めてしまった。拒絶の音が私の鼓膜を震わせた。


 部屋に入れてくれるものとばかり思っていた。


 私は一人で舞い上がっていたみたいだ。兄妹になったとはいえ、私たちに血のつながりはない。普通の兄妹のようにお互いの部屋を行き来するなど、許されないのかもしれない。


 数分後、深入くんはラノベを三冊、持ってきてくれた。


「気に入らなかったら、途中で読むのやめていいからな」

「ああありがとう」


 にじんできた涙を悟られないように、私はうつむいたままその場をあとにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ