新居生活
どちらかを選択。選択肢があるだけマシだとその時は思った。
結局、私は彼女と知り合いになったおじさんと会う事にした。
会うと気さくなおじさんだった。
話はトントン拍子に進み、そのおじさんの家にお世話になる事になった。
そのおじさんは、タッパも無く喧嘩も弱かったが、街をネチネチ歩き、肩で風を切り、目があったら罵倒浴びせる人だった。
小学生の子供と妻がいる3人家族に何故か俺もいるという不思議な状態になった。
おじさんも奥さんも優しい人で、いつまでも泊まっていけばいいと言ってくれた。
その人の家には、年がら年中、不良が集まってきていた。
集まってくるのは、ソフトパンチやリーゼントだったり、ちょっと時代錯誤な人達だった。
会ってそうそうに私に、”何かあったら俺の名前出していいぞ”と言われたのがかなり記憶に残っている。
言われた時は内心、あなた様のお名前の効果なんて期待できないわ。と思っていた。実際に使う事は無かった。
おじさんの家は、1階の2dkで川の字になって寝るスタイルだった。
とても裕福とは言えなかったが、飯と缶ビールだけは常時食べれたり飲めたりする環境だった。
ある日、おじさんとスロットを打ちに行く事になった。おじさんの金で打った台は007の台だった。
よくわからないながらも快勝だった。
機嫌を良くしたおじさんは、小遣いとして1万円俺にくれた。
その次の日から俺はギャンブル依存になった。
勝てる勝てる。ビギナーズラックってここまで凄いのかと思うほど勝った。行く度に勝った。
そのおかげでカップラーメン以外も食べれるようになった。
そこから2ヶ月程、居候して計3ヶ月の期間が経った時、家出が終了する出来事が起きた。
おじさんが引っ越すとの事で、俺にそろそろ帰っていいんじゃないか?と言ってきたのだ。
その頃には、帰る家がないという状況では無かった。一度捕まって母の家に帰れたからだ。
おじさんにずっと甘えているのも申し訳なく、母の家に帰る事を決断をした。
およそ半年から1年ぐらいの家出だったと思うが、これにて家出は終了した。
母の家に帰り、謝り、そして再度高校に通う事にした。