番外編 500円おばぁちゃん
最近見かけなくなったが、私の家付近に突如として現れるおばぁちゃんの話をしようと思う。
あくる日、私は家を出発しパチンコ屋へ歩いていた。
私がどうしようもない人間だなというのは、一旦置いといて貰おう。
すると、後ろからか細い声がするのだ。
「おにぃちゃんやー、おにぃちゃんやー」
振り返ると、荷物を乗せた車椅子を押している老婆がこちらを向いていた。
自分の周りには、誰もいない。
間違いなく自分に声をかけてきていた。
道に迷ったとか、何か困っているのだろうか。
とりあえず、私は近寄って話を聞くことにした。
「おばぁちゃん、どうかしたの?」
気さくな感じで私は老婆に声をかけた。
「米が買えなくてねぇ。買って帰らないとじいちゃんに怒られるんだよ。500円くれないかねぇ」
私は思った。
知らねーよ!世の中そんなに甘くねーよ!なめてるのか!話しかけてくんな!
まぁ一瞬だがこんな感じに思った。
だが、忘れてはいけない。私はパチンコ屋に行くのだ。
良い事をしたら当たるはず!!
私の頭の中の何かが切り替わった。
「しょうがないなぁ。あげるよ。でもお金無いならじいちゃんとちゃんと話しなね。」
私は財布から500円を渡した。
老婆は感謝しているように見えた。
願掛けとして500円を渡したのだが、パチンコの結果は見事に惨敗だった。
それから3日後ぐらいだろうか。
家の付近を歩いていると、また後ろから声が聞こえる。
「おにぃちゃんやー。おにぃちゃんやー。」
振り返ると、あの老婆だった。
この前の感謝でも言ってくるのかなと思い、私は近寄っていった。
「どうしたの。おばぁちゃん。」
「米を買わないといけないんだけどお金が無くてねぇ。500円くれないかい。」
デジャブか!!
3日前に米を買ったんじゃないのか!!
初対面みたいな顔してるが、初対面じゃないぞ。ばぁちゃん!!
その時、私は感づいてしまった。
この老婆は、米を買うという理由をつけて500円を周りから貰ってるだけで、実際は買っていないだろうと。
「おばぁちゃん、私お金無いんだ。」
そう私は優しく伝えた。
すると、老婆は何も言葉を返してこなくなった。
金が無い人間は用無しだと言わんばかりに。
むしろ、私の目の前で道路越しに歩いているおじさんを呼び続けている。
無茶苦茶だ。その日は、もう老婆と会話する事はなかった。
また3日程経つと、あの老婆だ。
なんなんだ。笑
老婆の縄張りに私は住んでしまっているのか。
私は、老婆を華麗にスルーして歩いた。
その後も何度か人と話しているところを見かけたが、この頃は見かけなくなった。
500円おばぁちゃんは、今どこで500円を貰っているのだろうか。
あなたの周りにも現れるかもしれません。
ご注意を。笑




