第20話 時空クリスタル
「普通はこのくらいの大きさで、七色に煌めく透明な宝石です」
「宝石か。あまり詳しくなくてな」
あー。村長さん、役に立たない系なの?
残念ながら、時空クリスタルは知らないみたい。
「お父さん。ちょっといい?」
あれ、エリさん。お父さんって、えっ。村長さんの娘なの?
「あ、エリ。今、客人とお話をしていてな」
「こんにちわ」
「エリさん、村長さんの娘なの?」
「はい。で、何を話していたの?」
エリさんにも、時空クリスタルの話をしてみた。
「見たことないわね。お母さんの宝石箱にあるかしら」
「そうだな。この村にあるとすると、あいつの宝石箱か」
「奥さんにお願いしてもらえませんか」
「それは無理だな。もう、この世にはいないから」
そうか。エリさんのお母さんは亡くなっているんだ。
村長さんがひとりで育てたのかな。
「エリ。母さんの宝石箱、もっておいで」
「はーい」
パタパタと走っていく。
「娘さんでしたか」
「ええ。娘からいろいろと聞いています」
うわ、どこまで話しているのエリさん。
いきなり父親登場って、どんな顔したらいいのかな。
「母親を早くなくしたのもあって。結婚が遅れてしまってね」
「まだ20歳ですよね」
「この村では18歳までに結婚するのが普通なんでな」
そんなに早いのか。
なら、エリさんが遅いというのは分かるな。
「持ってきたわ。母さんの宝石箱。開けるわね」
底にある穴にピンを刺すと、カチャリと音がして箱が開いた。
なかを覗き込むといろいろな色の宝石や装飾品が入っている。
「クリスタルはあるけど、七色に煌めくのはないわね」
「やっぱり、ないか」
残念。この村には無さそうだ。
「この辺であるとしたら、お屋形様のところかな」
「お屋形様?」
お屋形様というのは、このあたり一帯を仕切っているボスの様な存在で、この地に移住したときのリーダーの家系だ。
いまは、三代目になっている。
「珍しい宝石がみつかるとお屋形様にもっていくというのが昔からのしきたりだからな」
「なら、あるかもしれませんね」
明日、エリさんと一緒にお屋形様を訪ねてみることにした。




