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自分というもの
誰かが踏んでいった道――
その“誰か”が自分の崇拝する人間であった場合。崇拝までいかずとも納得させられた相手の場合……その相手のことを尊敬しているのは、言葉の節々また姿かたちからお腹いっぱいな程にわかるのだが、見ているこちらは思うわけだよ。
『この人の作品を読まずに、この人が度々登場させてくる人の作品を読めばいいのでは?』
自分の言葉って難しいものだ。
例え、自分の言葉を使っていたとしても、「ほらこの人の言う通り」と「この人と同じことを思っている私に間違いはない」――そんなことが毎度のように出てくれば、安心感よりも疑念が生まれてしまう。
それは私の性格の問題が大きいのかもしれないが……
しかし、「あれ?」と読者に不安を与えるものにもなるだろう。
『私は、この人の言葉をきく必要はあるんだろうか?』




