第15話
本日二回目の更新です。
ご注意下さいm(_ _)m
「どうして……? お城で一回しか会ったことのない方なのに、お慕いしようがありませんわっ」
「彼の方からアナタ達二人は相思相愛だから結婚を許して欲しいと言われたから、そうなのだと思っていたのに」
(相思相愛だなんて、会ったばかりのわたくし達にはあるはずはないのに、どう言うつもりなの……?)
「ローラ、いい? あのヴァイース公爵家が関わっているのなら逃げられないかもしれないわ」
「そんな……」
「でもアナタが泣くほど嫌なら、アナタが不幸にしかならないなら、私が逃げる術を探します」
「お姉さま……っ!」
「だから、誰にもこの話はしてはいけませんよ。お父様にもお母様にも。サースはどうかしらね? 可愛い妹の為なら動いてくれるかしら。……子爵家を継がねばならないから無理かしら? 後で確認しましょう」
途中から小声でブツブツ言っているのでわたくしには聞こえませんでしたが、わたくしの頭を撫でる手を止めずにいるお姉さまがとても凛々しく、頼もしく思えました。
「約束します。誰にも言いません」
「えぇ。この事は手紙にも書いては駄目よ?」
「はい」
フッと気が抜けたようにお姉さまが笑いました。
「さ、今日はもう寝てしまいなさい」
「でも、あの……。お姉さま、一緒に寝てくださいませんか?」
「もちろんいいわよ。久しぶりにお姉様と一緒に寝ましょう」
「ありがとう、ございます」
お義兄さまと一悶着ありつつも、寝る前にはお姉さまと一緒にベッドに入りました。後でちゃんとお義兄さまに謝らないと。
誰かと一緒に寝るのは久しぶりです。それこそお姉さまがお嫁に行ってしまわれてから一人で寝るようになったので、だいたい三年前ぐらいでしょうか。わたくし一人だと大きく感じるのに二人で寝ると狭いと思ってしまうのは不思議ですね。
その晩、わたくしは胸の内を吐き出せたスッキリ感とお姉さまが傍に居てくれる安堵感にグッスリと深い眠りの中へ誘われていきました。
* * *
「どう言う事ですの?」
「申し訳ございません……!」
「謝罪が欲しい訳ではありませんわ。どう言う事なのかと説明を求めているのです」
「この度は私どもの不手際で……」
「ヨーグさんは黙っていて下さい。私はそちらの方に聞いているのです」
大の大人が二人、縮こまっている姿は見るに堪えません。ですが怒り心頭に発したお姉さまは恐ろしくて、わたくしでも口を挟めません……!
翌日、何か言いたそうなお義兄さま達を屋敷へ残してベルと従者の方を含めた四人でヨーグさんのお店にやってきました。
シンプルでスッキリとした佇まいのお店は中へ入ると色々な国の雑貨や家具や布があり、見ているだけでも楽しめそうです。小さな小物から大きな家具まで何でも揃っていると評判なので、小さなショッピングモールみたいな感じでしょうか。
「いらっしゃいませ。おや、オーランティアお嬢様じゃありませんか! お元気そうでなによりです。フローラルお嬢様も大きくなられましたね」
「えぇ。お久しぶりです。ヨーグさんもお元気そうで私も嬉しいですわ」
「お久しぶりです、ヨーグさん」
従者の方よりも一回りも二回りも大きな体躯で、商人にしては些か珍しくムキムキに盛り上がる筋肉を纏っているのがヨーグさんです。着ている物が商人の物でなければ、見た目だけで騎士や傭兵に間違われてしまう事でしょう。わたくしなんか片手で潰されてしまいそうですね。
わたくし達の姿を見ると破顔して迎えてくれました。聞きたい事があると言うと、奥の商談に使われる部屋へ案内してくれました。初めて入ったその場所に使われている家具を見て、その細工の見事さに目を奪われてしまいました。
「素敵……」
「おや。フローラルお嬢様は家具に興味がおありで?」
「一見何でもないように見えますが、この細やかな細工は一つ一つ丁寧に職人の方の手で造られているという事はわたくしでも分かりますわ」
「はっはっは! こりゃ参った。慧眼恐れ入るぜ。家具の価値が分かる女がいるなんてな。……どうだい、成人したら俺の嫁に来ないか?」
「ヨーグ、お嬢様を揶揄うのはやめなさいっ!」
ガラリと言葉使いが変わってビックリしてしまいました。先ほどの丁寧な物言いよりもこちらの方が良いと思ってしまうのは、きっと後ろへ撫でつけたこげ茶色の髪と金色に輝く瞳がマッチしているからでしょうか?
「冗談さ。……今は、な」
「っ!」
「悪りぃな。こっちの方が話しやすいから畏まらないでくれると有難いのだが」
「ちょっとヨーグ!」
「えぇ。構いませんわ」
「お嬢さん方も良いと言ってるだろ、ベル。んで? ガーベル家の至宝達が揃ってどうしたんだ?」
わたくしへ流し目を送ってウィンクをしました。大人の色気と言うヤツでしょうか。変に体が熱くなってドキドキしてしまいました。
何処まで本気なのかは分かりませんが、それよりもヨーグさんの前だとベルが呼び捨てで呼んでいて、親密そうな雰囲気に驚きました。今は横へ置いておきましょう。後でたくさんベルに話を聞く事にします。
お姉さまが話を進めると眉間をこれでもかと寄せたヨーグさんが、対応してくれた新人さんを連れてくるように言いました。
長くなりそうなのでキリの良い所で切りました。
次回もよろしくお願いします♪




