6.たからもの?
リウウの家で休んだあと、さっそくくらい森を進んでいく3人。
しばらくすると大きな葉っぱの上でお昼寝をする、それはそれは大きな芋虫に出会いました。
芋虫は葉っぱに寝そべり、大きなあくびをひとつ。とても気持ちよさそうです。
「キラキラしてて、とてもきれいで大事な宝物しらない?」
初めに、サーが芋虫に宝物について聞いてみました。
虫が苦手なエミーはサーの後ろにぴったり張り付いています。
「たからもの?ぼくの宝物はこの葉っぱだよ。ふかふかして寝心地もいいし、食べたらとっても甘くて美味しいんだ」
芋虫の言葉に、エミーが思わず驚いた声をあげました。
「そんな葉っぱが宝物なわけないじゃない!キラキラしていないもの!」
「失礼なお嬢さんだな。きみにとっての宝物なんて知らないよ。この葉っぱがぼくにとっては大事なもの、それだけだ。キラキラしてないと宝物じゃないなんて、人間の基準をぼくに当てはめないでほしいね」
これだから人間は。
芋虫は大きな体をうねうねと動かして怒りました。
それを見て、エミーはサーの後ろにさらにひっこみました。リウウが芋虫に丁寧に謝ると、芋虫は何かを思いついたのかハッと森の向こう側をうねうねとした体で指します。
「この先に体の大きな生き物の住処がある。そこで宝物について聞いてみるといいよ」
芋虫はいままでの不機嫌を忘れたように、にっこりと笑いました。3人は芋虫と別れて大きな生き物を目指して進むことにしました。
しばらく歩くと、岩場にできた洞窟の前で真っ赤なツノを生やした大きな怪獣がいました。
大きな怪獣は、これまた大きな骨をぺろぺろと舐めているところでした。どうやら食事が終わったところのようです。自分の舌で磨き上げたピカピカの骨を見つめてうっとりとしています。
どうやら、芋虫はこの怪獣に3人を食べさせる気だったようです。気付いた時にはもう手遅れ。
こわがりなエミーは、怪獣を見ただけで驚いて大きな声で泣きはじめました。
「だれだ?おれに食われたいのか?」
エミーの泣き声に、怪獣がギロりと3人をにらみます。
サーがすかさず
「この森のたからものを探しているんだ」と食べられないように声をかけます。
「たからもの?おれの宝は洞窟いっぱいに溜め込んだ骨のコレクションだ。だが、森の宝は知らないな」
怪獣は喉をぐるぐると鳴らしながら、ぎらりと牙を見せて笑いました。
こわい顔とは違っていいやつなのかもしれません。
「そんなの宝物じゃないわ!いらないわよ!」
思わず声を上げたエミーに、怪獣はグワオとひと鳴き。サーとリウウもエミーの反応にぎょっとします。
「なんだ小娘。お前を食べて骨にしてもいいんだぞ。この美しさがわからないなんて、お前たちはどうかしてる。」
その言葉を聞いて、また怖くなったのかエミーはぽろぽろと涙を流しながら再びサーの後ろに隠れました。
「まったく、自分の宝物なんて自分だけが知っていればいいだろう。おれはいま腹がいっぱいなんだ。はやくどこかへ行ってしまえ!」
怪獣は大きな声でまた、グワオと鳴きました。その声にこれ以上ここにいたら食べられてしまうと思った3人。
すぐにその場を離れました。