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1.サーとエミー
サーはひとりぼっちの小鬼の子。
くらいくらい森の中でひとりぼっち。
サーの周りにはこわいかいじゅうしかいません。
ずっとひとりぼっちで生きてきたので、まっくらな森の中も、かいじゅうのこわい声もへっちゃらです。
こわいなんて、
さみしいなんて、
考えたこともありません。
エミーは泣き虫女の子。
少しのことでもぽろぽろ、ぽろぽろ。
大粒の涙を流して泣いてしまいます。
いじわるな友だちに泣き虫をからかわれては、また泣いてしまうの繰り返し。
エミーはそんな自分が好きじゃありません。