8 新たな任務(※半分説明回…のはず)
「はい、その通りです♪」
ええええええ?!!!!!!駄女神様が素直に答えちゃったよ!!!
俺は慌てて変身を解いて、精神力を振り絞って、冷静な表情に変える。
「おっしゃる通り、冒険者の卓也とシルビアです。」
駄女神様に受け答えさせたら何を話すかわかったものじゃない。
なんとか噛まずに話をすることができた。
「では、あなた方が伝説の『仮面の勇者』と『女神の司徒』なのですね?!」
サブマスターが安心したような表情で口を開く。
「伝説については何とも申し上げにくいですが、確かにおっしゃるように我々は『仮面の勇者』と『女神の司徒』です。
よろしければ巷に伝わっている伝説について教えていただけますか?」
俺は努めて冷静に語るように心掛ける。
「わかりました。五〇年ほど前に智慧の女神・ミネルバさまが神託を降ろされたのです。
その内容をお伝えします。」
サブマスターが淡々と話を始める。
この世界が遠からず『魔王軍の闊歩』などにより危機に陥る時が来るだろう。
その時に世界の維持の女神・シルビアの司徒、『仮面の勇者たち』が現れて世界を救うであろうという話だった。
「へえ、ミネルバちゃんがそんな予言を…。」
「なるほど!!智慧の女神がそんな予言を残しておられたのですね!!」
駄女神様がとんでもない失言をしかかったので、俺は慌てて口をふさいで言葉を被せる。
ギルマスもサブマスも一瞬変な顔をしたものの『ミネルバちゃん』をおそらく自分たちの『聞き間違いだと思ってくれたのだろう。
すぐに話の続きをしてくれた。
「しかし、『伝説の仮面の勇者』が現れたということは、この怪物どもは単なる変異モンスターなどではなく…。」
「ええ、彼らは自分達を『魔王軍の怪人』と名乗っていました。
また、魔王が『正義の味方の出現』を予言していたとも語っています。」
ギルマスの話に俺がさらに答えていく。
「なんだって?!!彼らは魔王軍を名乗っていたのか?!!!
それではこの件は至急、変異モンスター事件ではなく、『魔王軍の侵略事件』としてギルド本部のみならず、世界各国に周知する必要があるな!」
「ええ、マスターのおっしゃる通りです。
そして、ここにあった魔石から推測するに変異兵士たちがオーガロードなみ、いわゆる怪人たちがドラゴンやそれ以上に匹敵するくらい強いのですね…。
これではスパーク氏のような各国の最高クラスの冒険者か、卓也さんのような『仮面の勇者』にしか対応はできませんね…。」
ギルマスとサブマスが顔を見合わせる。
俺たちは一度ギルド支部に戻り、まずは報酬を受け取った。
変異コボルドが『魔王軍の尖兵』だったと判明したことで、追加報酬に金貨一〇〇枚。
そして、魔石だけで金貨二〇〇枚、合わせて三〇〇枚!!を受け取った。
今日だけで『三〇〇〇万円の報酬』なんですが?!!
「それから後日渡すことになる、今日の魔王旗下のゴブリン軍団殲滅の達成報酬が今日の金額以上になると思う。何しろ、街の騎士団を壊滅させた怪物どもを殲滅したうえに、騎士団を無事に救ってくれたのだから。」
ギルマスの言葉に俺は固まってしまう。
俺がバイトで稼いだ金額の何千倍のお金を仮面のおかげで稼いじゃったよ?!!
「さて、追加報酬は詳しく計算した後、後日渡すことになるのだが、これからが本題だ。
魔王軍の調査と必要に応じて怪人たちの討伐をお願いしたい。
これはおそらく各国王室からの正規任務としてお願いすることになると思う。
現時点で我が国の冒険者で変異モンスターを倒したことがあるのは君たちとスパーク君しかいないのだよ!!」
うん、だんだん話が大きくなってくるよね。ところで、スパークも変異モンスターを倒したことがあるんだ。
変異モンスター、つまり魔王軍の追加情報が入り次第、俺たちへの指名依頼が入るということになり、俺たちはさらに装備を整えるために武器・防具屋へ寄ることにした。
魔王軍との戦いに本格的にかかわらざるを得ない感じなので、武器や防具をケチっている場合ではないと考えたのだ。
「卓也、その前に卓也と仮面がレベルアップしているはずだよ。
まずはそこを確認しようよ。」
シルビアに言われ、宿屋に戻って自分たちの状態を確認し、それに合わせて装備を整えることになった。
部屋に戻って仮面をかぶると、変身まではしなかったもののレベルアップの効果音が俺の脳内に鳴り響いた。
『おめでとうございます!!卓也さんご本人と仮面がさらにレベルアップしました。
卓也さんご本人のレベルと技能とかは昨日確認されるのをお忘れだったようですが、今度こそ駄女神様に確認してもらってください♪』
いやいや!!駄女神扱いはダメじゃん!!
『またまた仮面の能力が当社比約1.2倍に強化されました!!
さらにロケットパンチとか、ロケットパンチとか、ロケットパンチの技能が大きく強化されてますから♪』
ロケットパンチしか強化されてないの?!!それから、ダブルロケットパンチとか全然聞いてなかったんだけど?!!
『敵を欺くにはまず味方からと申します♪』
今まで敵を欺く必要なんてぜんぜんなかったよね?!!
それ以上に俺を欺く必要性がまったくわからないんだけど?!!!
『そうそう、ロケットパンチのみならず、ロケットキックも大きくパワーアップしておきましたから、ご心配なく♪』
ロケットキックはそもそも使ってないじゃん!!というか、最後の敵以外に使ったら移動できない時に攻撃されそうだよね?!!!
『そうなんですよ♪ロケットキックは最後の敵用の『必殺技』なんです♪』
ねえ、どうしてこのナビゲーターは屁理屈ばかり言ってくるの?!!
あと、『変身の種類がいくつかある』のも聞いてなかったんだけど?!!
『ごめんなさい。『その場の思い付き』でいろんな変身方法を創ったので、それまで説明できなかったのです。』
あの変身、『その場で創った』の?!!ノリだけで書く小説じゃないんだよ?!!
『実はこの仮面には『空気を読む』機能が付いておりまして、その場の敵や舞台の『エネルギーを吸収』することで、通常以外の変身をすることができるんです。
したがって、あの場では『世紀末勇者』がふさわしい変身となったわけです。』
…すごく言い訳がましいよな気がするけど、何とか納得します。
『また、次回のレベルアップでいよいよ乗り物が呼べるようになります。
こちらは予め準備・組み立てをしておく必要がありますので、今のうちに決めておいてください。』
準備はいいけど、『組み立て』てなに?!…もぐーら号とか足こぎ白鳥さん号あたりだよな…。
『乗り物の候補としましては以下のものになります。』
◎ユニコーン号
スピード:A
攻撃力:B
耐久力:B
カッコよさ:B+
◎にゃんバス号
スピード:B
輸送力:A
もふ度:A
かわいさ:A
◎もぐるんです号
スピード:C (※ただし地中潜航可能)
室内ゴージャス度:A+
オリジナリティ:A
会話能力:A
◎足こぎ白鳥さん号
スピード:A (※ただし、空に海に大活躍だ♪♪)
芸術度:A+
ホスピタリティ:A+
室内ロマンチック度:A (※恋人と同乗をお奨めします♪)
(※ナビゲーター一押し♪)
ちょっと待てい!!!この突っこみどころしかない説明はなに?!!
評価基準がバラバラ過ぎるし、ユニコーン号以外は『不安しか感じない』のだけれど?!!!
ということで、召喚できる乗り物はユニコーン号でお願いします。
『えええええええええ?!!!!!足こぎ白鳥さん号を一押ししてるじゃないですか!!』
いやいや!!『足こぎ』なんだから、ホスピタリティや室内ロマンチック度が高くてもダメじゃん!!!
『ちっ!仕方ないですね…。では、次回のレベルアップ時にユニコーン号が呼べるようにセットしておきますね。
では、駄女神様に鑑定してもらってください。』
ということで、俺と駄女神様の能力をお互いに鑑定し合ったのだが…。
市川 卓也 男 人間 19歳
『召喚勇者』 『仮面勇者』 空手黒帯の浪人生 イケメンよりのフツメン
レベル 36 (※元の世界に戻ったらプロ格闘家になれるかも?!)
HP 一般格闘家並み。
MP レベル以上に根性あり。
攻撃力: 同レベルの格闘家並み
防御力: 同レベルの格闘家並み
素早さ: 同レベルの格闘家並み
知力 : 同レベルの格闘家並み…ごほん、ごほん!かなり頭はいい方かと…。
精神力: 苦労人だけあって、同レベルの格闘家よりかなり多い
【称号】 『仮面勇者』
【特記事項】
五枚ある勇者の仮面の所持者の一人。
◎某県の空手黒帯の浪人生。空手黒帯だったが、それなりチート養成ギブスを使ったトレーニングと実戦を経て、一流冒険者並みの戦闘力がある。
変身後はドラゴン(並)を単体で問題なく倒せるくらい強い。
シルビア 女 女神 永遠の17歳 (見た目は10代後半)
『世界の維持・管理の女神』 『見た目』は銀髪の超絶美少女神
レベル 326 (※女神としては『それなり』 )
HP 女神としては『それなり』
MP 女神としては『それなり』
攻撃力: その辺の女性並み
防御力: その辺の女性並み(※女神結界があるので、ドラゴンブレスもへっちゃら)
素早さ: その辺の女性並み(※呪文を唱える時と、ご飯に駆けつける時はすごく速い)
知力 : 女神だけあって高いはずなのですが…。天然。
精神力: 厚顔無…げふん、げふん、女神なので『それなり』
【称号】 『世界の維持・管理の女神』
【特記事項】
『世界の維持・管理の女神』『駄女…げふん、げふん!!』
◎世界の維持・管理をつかさどる女神。銀髪ゆる系の美少女神。自身の退屈を何とかするために卓也を召喚し、スーパーアイテム 『勇者の仮面』の一枚を卓也に託す。
ドジで天然で世間知らず。卓也の『妹的存在』。
ええと…。鑑定結果も突っ込みどころ満載なのですが…。
鑑定結果を告げたら、駄女神様がめちゃくちゃ落ち込んだので、励ますのに三〇分以上かかりました…。やれやれ…。