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プロローグ

 マリアの遺体を見つけた時も、悲しいとは感じなかった。

 弾痕は三発、彼女の胸に赤黒い孔を空けていた。手にはショットガンを握りしめている。戦おうとしたのだろうか? そうに決まっている。マリアはそういう女だ。そういう女だから伴侶に選び、この一年夫婦として生きてきた。

 川底をさらったが娘の遺体は見つからなかった。せめて遺品の一つでもあれば、一緒に埋めてやることも出来たのだが。

 風の強い冬の朝、マリアを埋葬した。彼女の体は軽かった。うろ覚えの祈りの言葉を捧げながら、エルウッドは真面目に教会に通わなかったことを悔やんだ。

 木材を十字に結び合わせただけの簡素な墓に花を手向け、エルウッドは荒野に出た。

 必ず復讐する。殺された妻と娘の仇を討つ。

 その時になって初めて、彼は自分が泣いていることに気が付いた。


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