シンクロ
掲載日:2015/01/08
旧友がマイホームを手に入れたのであいさつに行くと、障子戸の升目すべてが破れていた。ははあ、いつのまにかおめでたでもあったのか。何年黙ったまんまだ。水臭いなぁ。
「子どもなんかいないよ。金がかかるのに産めるかよ」
彼は目を丸くしたあと肩をすくめた。ははっ、前より太ってやがるんでユーモラスだ。
「でも、それならどうして」
部屋の内側に障子紙がすべて破き抜かれているこの状態は何だ?
「いやあ、安かったわけだね。毎晩毎晩、これさ」
そういってすね毛だらけの足を出す。ぴんと伸ばしたかと思うとくの字に曲げたりくねくねひねったり。
「まさか、あれ全部か?」
「息もピタリで高さもある。美脚だし、見事なもんだよ」
ペアだそうで、隅から隅まで使うスペクタクルなところが特に良いらしい。たまに張り替えて音の臨場感も楽しんでいるのだとか。
ははっと笑ったあと、受け皿すらないコーヒーカップを前にお互いため息をつく。
おしまい
ふらっと、瀨川です。
他サイトの同タイトル企画に瀨川潮♭名義で出展した超短編の旧作品です。
幽霊に足はないとかいわれたりしますが、これは足だけのようですね。障子戸の向こう側がどうなっているのかは……幽霊もしくはおばけの水着姿が見たければ、そっと覗いてみてください(




