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聖女と狂獣

作中に説明が成されて無い部分が在りますが、そこら辺は次話か次次話に説明を載せるつもりです。

 西暦2500年 1月1日 午後12時00分


 世界が重なり合い、この世界に収束した。


 世界が重なった時、人々は…いや、世界は時を止め、唯世界が重なっていくのを感じるしかなかった。


 そして世界が収束した時、頭の中に直接響く声が聴こえてきた。


 『皆さん、突然の事で驚かれていると思います。ですが皆さんにお伝えせねばならない事がございますので、お聴きください』


 『現在…皆さんの世界とは別の世界、皆さんの世界では並行世界パラレルワールドと言えば分かるでしょうか?その並行世界が非常事態イレギュラーによって、多くの並行世界が消滅しました』


 『本来世界とは自然消滅し、また新たな世界が産まれる。更にそこから世界は広がり、並行世界となって存在していく』


 『しかし非常事態により、そんな数多の世界を内包する宇宙の均衡バランスが崩れ、全ての世界、宇宙を巻き込んだ極大の消滅が起ころうとしました』


 『ですがそんな事をさせない為に、緊急避難処置を取ることにしました』


 『それが世界の統合です』


 『本来その世界の生物の魂は、その世界を廻り、輪廻転生を繰り返し、その世界で満足のいく死を遂げれば、別の世界へ移ることができる』


 『しかし、非常事態により消滅した世界の生物の魂は別の世界に転生をする事が出来ず、世界の在り方を歪め、宇宙を巻き込んだ消滅を引き起こす』


 『その為に、幾つかの無事だった世界に、消滅した世界の生物の魂を統合しました』


 『別の世界の生物の魂と言いましたが、統合したあなた達は良く解ると思います、統合した生物の魂……、それは別の世界のあなた達の魂だとゆう事が』


 『その魂達の中には、あなた達の世界には無い技術や力、存在等が在ります』


 『そんな…、元はこの世界に無い力を制御する為の能力ちからを、皆さんに与えます』


 『我々に出来るのはここ迄です』


 『この様な非常事態で無ければ、我々が世界に干渉する事は無いのです』


 『では、納得のいく生を歩まれますように』


 そして世界は動き出した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ???side


 西合暦2530年 3月9日


 〔国立廻醒(かいせい)高等学校〕


 入学式


 「え~、それでは、第三十回国立廻醒高等学校、新入生首席総代ーー神楽守桜花(かぐらもり おうか)


 「はい!」


 その女子生徒の声は、彼女の居る空間全てを包み込む様に、其処に居る人々に、懐かしい様な暖かい気持ちにさせる。


 女子生徒の姿は、身長160前後の小顔で、黒の長髪で黒い瞳の大和撫子でありながら、雰囲気が東洋の巫女では無く、西洋の修道女の様でもある。


 「初めまして、この度新入生総代を務めさせていただきます。神楽守桜花と申します。これから三年間、私達はこの学舎まなびやで友達を作り、仲間を作り、共に学び、共に競い合い、私達のこの身の内に在る力を制御し、今のこの世界(・・・・・・)で生きていく力を得て、私達の先を行く者達の後を継ぎ、私達の後から来る者達の道標に成れる様に、皆で助け合い頑張っていきたいと思います!以上です」


 彼女の答辞が終わると体育館をほぼ全ての人々の拍手が響いた。


 「え~、続きまして、校長先生によ………」


 ……………………、ZZzzzz……


 「それでは第三十回廻醒高等学校、入学式を終わります」


 …………、んっ……、終わったか?


 「ん~っ、入学式は何処も退屈だねぇ…」


 「おいおい、今まで寝てた奴が何言ってんだい」


 後ろから多分に笑いを含んだ突っ込みが入る


 「いやいや、最初は起きてたけど校長の話が長そうだから寝ただけで、校長の話がーー「よく来た、頑張れ!」ーーくらいなら起きてたって」


 そう言いながら教室に向かう為に立ち上がる男子生徒


 「ふっ…校長の話って……、入学式始まったばっかりじゃねぇか(笑)」


 後ろの席に座ってた女子生徒ーー長身の身体に小麦色の肌、暗緑色のショートヘアーで、顔は猫科の様に愛嬌の在る顔立ちで、何処か猫科の獰猛さを秘めた強い意思を感じるーーが男子生徒の後を追い席を立つ。


 「私は(あたしゃ)獅子崎冬子(ししざきとうこ)ってんだ、あんたの名前は?」


 獅子崎 冬子と名乗った女子生徒は、前を行く男子生徒に名前を聞く


 「俺?俺の名前は刻統千現(こくとうちとせ)だ…宜しく。成る程……ししざきねぇ………ーー〈ripper〉(リッパー)か…」


 〈ripper〉その言葉を口にした瞬間、獅子崎冬子の刻統千現に対する認識が変わった。


 面白い同級生から面白そうな獲物ゆうじん


 「へぇ…、あっち(・・・)でのあたしの通り名知ってんだ」


 「まぁな、あっちの界隈(・・)じゃ有名だからな」


 「それで…?私の事を知ってるあんたは何者なんだい?これでもあっちじゃ上の方の連中くらいしか、私の素顔しょうたい知らない筈なんだが…」


 刻統千現をじっくり見て、記憶と照らし合わせて告げる。


 「あんたは何処でも見たことが無いねぇ」


 「そりゃそうだ、俺が一方的に知ってるだけだし。まぁ知ってる事は、通り名とその由来くらいだがな」


 刻統千現は、教室に向かう足を止めることも、振り返ることも無く喋る。


 「大体…名前に獅子崎(・・・)なんて付けといて何言ってんだ、知ってる奴が聞けば薄々でも感づくぞ?」


 今の世界になり、この世界で生きる人々は特殊な力を得た。


 「薄々だろ…?大々的に広めるつもりは無いけど、私の事に気が付く奴はそうは居ないから大した問題じゃねぇ」


 校舎に入り廊下を歩く二人


 「今問題が有るとすればあんたくらいだ」


 「俺は何にも問題無いが?」


 階段で一階から二階、二階から三階に上がる


 「あんたが私の敵か味方か分からないからねぇ」


 視線に威圧を乗せて見る


 「今の所敵じゃないな」


 しかし全く反応せず、歩き続ける


 「味方でもないんだろ」


 無反応な刻統千現を見て、威圧するのを止める


 「敵になるか味方になるかは、そっちの対応しだいだ」


 三階の廊下を歩く


 「そうかい…、まっ…暫くは級友クラスメイトだな…」


 二人は同じ教室の前に着く


 「そうだな…」


 スライドドアを開けて、二人は中に入っていった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 刻統千現side


 「さて、今日から君達のクラス担任になる、成名せいめい五種葉武臣いくさばたけおみだ。教科毎に指導する教師は別に居るが、クラス行動何かをする時は私が君達の担当になる」


 教室で10分程待っていると、教室の前のドアを開けて一人の男が入って来て担任だと言った


 「さて、それでは今日から味方で在り、好敵手ライバルで在り、級友クラスメイトでも在る君達の自己紹介をして貰おうかな」


 自己紹介か…、まぁ適当でいいだろ…


 「さて、それでは廊下側の前から順に後ろに行ってまた前から、この順に自己紹介をしろ」


 俺の席は廊下側の一番後ろだから七番目か…



 ーーー


 ーーーー



 「………です。宜しく」


 おっと次は俺か…


 「あ~、成名は刻統千現、好きな物は動物全般、嫌いな物は神様関係全部、趣味は寝ること、座右の銘は『必要為らば神から奪え』だ、これから宜しく」


 自己紹介を終え席に着く…


 「えっと…、僕………」


 何やら複数の視線ーー若干の警戒心と敵意、憎しみと悲しみを含んだーーを感じる、正確には自己紹介の途中から感じていた


 何者かの意識が此方から逸れた隙に相手の確認をする、その中の一人に…


 ……あれは入学式で挨拶してた…、確か…神楽守だったか…


 一先ず気付かれずに確認を終える


 「……まぁ、どうでもいいな」


 何かして来たらそん時相手すれば良い


 「ん…次は獅子崎か…」


 左隣の席に獅子崎が座っている、その前の席まで自己紹介が進んでいた


 「おっし…!あたしの番だね。私の成名は獅子崎冬子ってんだ、好きな物は強い奴、嫌いな物は口だけの弱い奴、趣味は試合観戦、好きな言葉は『素手戦闘ステゴロ!』だ。私は強い奴を探しにこの学校に来たんだ、強い奴を知ってる人が居たら教えてくれ!」


 噂に違わぬ戦闘中毒バトルジャンキーだな…


 暫く面倒事は避ける方向で…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 神楽守桜花side


 今の方…、何故あんなことを言ったのでしょう……


 「あ~、成名せいめいは刻統千現、好きな物は動物全般、嫌いな物は神様関係全部、趣味は寝ること、座右の銘は『必要為らば神から奪え』だ、これから宜しく」


 刻統千現さん、必要為らば神から奪えばいい等と…、私達が今こうして居られるのはこの世界を見守ってくださる神々のお陰だと言うのに…


 いえ…諦めては駄目です。きちんと話し合えばわかってもらえます。神様は尊ぶべき存在であり、この世界を…私達を日々見守って下さっているのだと


 彼の為にも、近いうちに話し合える機会を作りたいですね…、そう言えば…確かこの学校には教会が在りましたね


 今度、彼に教会で話を聞いてみましょう


 ……でも…、どうやって彼をさそうかですね……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 刻統千現side


 神楽守の奴、何か悩んでんな…、もう目の前の奴自己紹介終わるぞ


 「ん…?おーい…、次の奴自己紹介しろ~…」


 「…あっ!は…はい!」


 何やってんだあいつ…?


 「えっと…、私の成名は神楽守桜花と言います。好きなことは御祈りで、嫌いなことは不正や暴力です。趣味は家事や舞です。それと…もし宜しければ一緒に、この世界を見守って下さる神様に御祈りをしませんか?もしして頂ける方は、気軽に声を掛けて下さい。…宜しくお願いします」


 ……何か今一瞬、目が合った気がしたが…、まぁどうでもいいか…


 第一神に祈るとか……無いな…、それなら悪魔に契約持ち掛けるな


 「さてと…、この後何があったっけ…?」


 思い出そうとしていると、左の席の獅子崎から話掛けられる


 「学生証の発行の為の実力測定だろ。楽しみだぜ!」


 あぁ、そう言えばそんなん有ったな…


 「めんどくせ…」


 「あたしはあんたに結構期待してんだ、どんなもんの力が在るのか見せてくれよ」


 こいつは楽しそうだな…


 「さあな…、そん時の気分によるな」


 どうすっかな~…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 獅子崎冬子side


 いや~まさか入学初日に私の素顔しょうたいがバレるとはね…


 刻統千現こくとうちとせーー妙に落ち着いた雰囲気してるが…、私の勘が言ってる、こいつとは本気で敵対するな…死ぬぞってね


 好奇心で軽く挑発して(つついて)も、全然反応しないし、一寸やそっとの事じゃ相手にもされんかも知れん


 教室で隣の席に着いて接点を増やす。


 するとあいつは自己紹介で…


 「あ~、成名は刻統千現、好きな物は動物全般、嫌いな物は神様関係全部、趣味は寝ること、座右の銘は『必要為らば神から奪え』だ、これから宜しく」


 なんて事を言った


 昔はどうだったか知らんが、今の世界になってからは、神様に対する認識が明らかに強くなってる筈だ。


 知り合いの連中に聞いても、宗教関係は全体的に増えたらしいし、そんな中で〝神から奪え〟なんて言ったら…


 やっぱり…、周りの連中の反感を買ってる、過激な連中に目を付けられると厄介だってのに…、当事者は心底どうでも良さそうにしてるし…


 まぁ私が気にしても仕方ないんだけどね


 それよりも実力測定だね、あいつの力がどんなもんか今から楽しみだぜ!

次話で主人公が暴れます

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