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さて・・・・・
「考えても無駄よ。この量じゃ避けきれないでしょ」
「・・・・・。」
「まあいいわ。諦めなさい・・・くらえっ!!」
無数の魔弾が飛んでくる。
あと数秒でも長く食い止めるにはどうすれば・・。
これだけ魔弾がある・・・ということは一発毎の威力は低いんじゃないか?
ならスライディングで前の魔球を通り抜けてサキュバスの後ろに立てれば・・。
ただ、スライディングをしても多少は掠るなり当たるなりするし、間に合わなければ後ろの魔球にやられる。
魔球が迫っている、もう時間はない、行くしかない!!
思いっきり地面を蹴って走り出す。
「甘いんじゃない?」
更に魔球が出現した。
特に下に多く。
読まれた!?
くそっどうする?
俺は慌ててその場に止まり、窓ガラスへと飛び込んだ。
「なっ、馬鹿な」
勢いで飛び込んでしまったがこっちは屋外側だ。
教室方面に飛び込めばよかったと後悔したがもう遅い。
俺の体は地面に向けて落下し始めた。
「くそっ!!」
必死に窓枠に手を伸ばし、何とか落ちずに済んだ。
だが掴んだ衝撃で激痛が走った。
「せっかくかわしたのに、状況は悪化しただけね。」
「どうかなっ」
窓枠を引っ張って中に戻る。
攻撃が当たらない程度に加減してきたけどもう無理。
ぶっ倒してやる。
右手で手刀を作る。
ナイフが無い今、武器はこのくらいしかない。
「そんなもので勝てる気?」
サキュバスが詠唱を始める。
うまくかわして反撃してやる。
・・・・・ん?
詠唱が妙に長い。
魔球の詠唱はしたのかどうかわからないくらい早かったのに。
上位でそんなに詠唱が長いというのはすなわち・・・・かなりの威力!
「くらいなさい!!」
黒い光の奔流が解き放たれる。
今度は焦らず、教室側に飛び込む。
「いいわ、教室ごと粉々にしてあげるわ!!強制転移が間に合わないほどの強烈な術でね!!」
再び詠唱を始めるサキュバス。
「死ね!!人間!!」
「とうぉーーーー!!」
先ほどより強烈な黒き光の奔流が放たれた瞬間、俺はドアの上にあるガラスを突き破って、サキュバスに飛びかかった。