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3階に上がったが精霊は見当たらない。
校舎は2つに分かれて1つ1つでは小さいように思えるが、分けなければ土地を使いきれないほど大きいのだ。
それ故に、使われてない教室は多くて、部室の倉庫みたいなのが全ての部活に必ず1つ以上あるそうだ。
文化部も含めて。
それほどの大きさの校舎を探し回るのは非常に困難で、尚且つ部屋に隠れられた場合は手間が倍増に膨れ上がる。
精霊を探知できるのは精霊のみなので契約者でもない限り、皆同じようなものだろうが。
ちなみに契約者とはそのままで、精霊と契約し主従の関係を結んだ者のことを言う。
契約は精霊が了承さえすればすぐに済むので早いものだが、簡単に了承する場合は少ない。
基本的には倒した場合は了承するらしいが。
何故倒したら了承するかは、知らない。
ただ、弱い奴には従いたくないだけだろうか。
倒せばいいならそれでいいが。
それと疑似精霊では当たり前だが契約できない。
所詮、OSの塊だからな。
探すのも面倒なのでさっさと契約者になりたいところだ。
さて、どこにいるのやら・・・。
2-cの教室を開ける。
・・・・いないな。
全てのドアを開けていくってのも面倒だな。
隣の2-dの教室をあける。
おっ、精霊発見だ・・・・いや、待て?
見つけた疑似精霊は胸を霊剣の槍で刺され、黒板に打ち付けられている。
戦闘を開始したという放送は流れなかった。
なのにやられている。どういうことだ?
『ピーンポーンパーンポーン・・・南校舎受験番号57が精霊と遭遇しましたー』
57というと俺の受験番号だ。
同じ位置にいるから遭遇した、ということだろう。
でもそうなると不自然だ。
この部屋に入ると遭遇した、ということになる。
つまりこの部屋には誰も入っていないということになる。
『ピーンポーンパーンポーン・・・受験番号57が精霊を討伐成功でーす。すごいはやいですねー。おめでとーございまーす』
違う、俺が倒したわけじゃない。
何だ、何が起きている?
考えろ、この状況を。
教室は全く荒らされていない。
疑似精霊を瞬殺したのだろう。
となるとそれ相応の力のある者があの槍を突き刺した。
しかも、遭遇を感知されずに。
いや、ちょっと待て。
渡された武器は霊剣のナイフだったはずだ。
なのに刺さっているのは槍。
この受験は武器持ち込み禁止のはずだ。
失格になるリスクを負ってまで、こんなことをした・・・。
何がしたかった?
「パリッ・・・ピシっ・・・」
何の音だ?
音のした、精霊の方を向くと、槍はひび割れてやがて砕け散った。
粉々になった破片は、跡形もなく消えた。
証拠隠滅の機能だ。
武器を放棄して証拠隠滅までかける。
証拠隠滅に必要な時差破壊の能力は精霊しかないはずだ・・・。
となると契約者。
そうなってくると遭遇に感知されなかったのも説明がつく。
だが、目的は依然不明だ。
こびりつくような不快感を残しながら、合格者として体育館に歩き始めた。