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白鳥 達也は自分の手元を見つめていた。
手のひらに乗っているのは、先ほど教師から生徒全員に渡されたナイフ。
物騒なものだが、人間を傷つける力は無い。
何故なら、渡されたナイフは全て霊剣と呼ばれるものだったからだ。
刀身が無く、人を傷つけることはできないが、精霊と戦うことはできる。といった代物だ。
もちろんどこにでもあるものではない。
専門の職人しか作れず値も張る。
おそらくこれ1本で家が買えるだろう。
それと受け取ったのはもう一つ。
精霊陣といわれる防護のアイテムだ。
全ての攻撃を防ぎ、衝撃だけにするアイテム。
万能かと思われがちだが、限界値があり、ダメージを受けると精霊陣専用の回復装置のようなものがある。
回復をせずにダメージを受けすぎると破損する。
しかも霊剣のナイフの10倍の価値はする。
そんな希少なナイフと精霊陣を使って何をするのかと言うと・・・
「ただいまより、入学資格を手にするための、精霊討伐を始めますッ!!」
というわけだ。
精霊討伐といっても本物の精霊を狩るのではなく、人工的に作り出された疑似精霊の討伐である。
疑似とはいえ、実力自体は折紙付きで、エリート中のエリートでも討伐が難しいと言われている。
毎年1000人ほどが受験に来るが受かるのは70人程度らしい。
ちなみに今年の受験者は、998人と平年並みである。
討伐が難しい理由は2つある。
疑似精霊自体が強いことと、数が限られていることだ。
疑似精霊は100体。
全部倒せたとしても入学できるのは100人のみというわけだ。
それ故に仲間割れが起きる。
エリート中のエリートの更にエリートはまず数を減らしに来る。
霊剣は使えないので、素手で倒したり、疑似精霊の攻撃の盾にしたりして。
一定量の攻撃を受けると(精霊陣の耐久値が30%以下)、開始位置・・・この体育館に戻されて失格。
運よく逃れて助かった者も、疑似精霊自体に勝てず落ちる場合も多い。
この受験は、襲ってくる奴らを軽く返り討ちにできる力がないと、合格できない。
俺にその実力があるとは到底思えない。
だが、俺は合格してみせる。絶対に。
「みなさん、準備はいいですか?それではスタートですッ!!」