*第一話*
*夕沙side*
入学して
やっと2ヶ月が経った。
私は宝陽高校2年の
柏木 夕沙
特別に
仲いい子なんていない。
笹以外は。
「笹ー!!」
「…ちょっ!!
その呼び方やめろって!!」
「いいじゃん。」
「俺、お前みたく
いい名前もらってねーし
恥ずかしいの…っ///」
「ははっ!!
可愛い(笑)
でも笹っていい名前だと
思うけどな♪」
桐原 笹は
同じクラスの
隣の席。
自分の名前を嫌っている。
私はいい名前だと
思うけど…。
「夕沙。お前
ダチいい加減作れよな」
「…無理だよ。」
そして私は
自分自身を嫌っている。
私は病気で3ヶ月遅れて
この高校に入学した。
もう既に
グループが出来ていて
私はずっと一人だった。
で、
そんな時喋りかけてくれたのが
そう、笹だった。
「笹、感謝してるよ。」
「な///熱あんじゃねぇ!?/////」
「ないよ。」
いつも
素直じゃなくて
素直だった。
私は密かに、
笹に憧れていたのかも。
「夕沙、お前さぁ…。
こんな男とつるんでて
青春台無しとか思わねぇの?」
「なんで思うの?
笹といるの楽しいし…。
何!?笹、私といて
そう思ってたの!!?」
「いや。
そうじゃねぇ…けどさ
夕沙女じゃん?」
「うん」
「女子と卒業アルバムとか
載りたいでしょ…。
俺と載るなんていやだろ?」
「…。」
*笹side*
突然黙りこくった夕沙。
まさか図星…!?
「ゆ…夕沙?」
ちょっと顔を覗いてみたり…
…って、えぇ…っ!!?
「うぅ…。」
な…泣いてるー!!!;;
「笹は私と載るの嫌なんだ…。
私はそんなこと考えたこともない!!
笹といたいもん…っ。」
「ごごごごめんって!!
思ってないよ、そんなこと。
一応聞いといただけ。
一緒にいよ。」
「私、笹しかいないんだよ~…っ」
ぎゅ…っ
俺は知らないうちに
夕沙を抱きしめていた。
*夕沙side*
私は怖かったの。
笹がいつか
離れちゃうんじゃないかって。
ふいに抱きしめられた。
顔面タコ状態(笑)
「/////笹!?」
「待って。
もうちょっと黙ってて。」
こんな静かな状況に
二人とも恥ずかしくなって
顔を下を向けながら
蒸発しそうなくらい、
赤くなっていた。
こんなこと
この2ヶ月で
初めてのことだった。