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女神ってこんな感じでいいの?

彼女のまとう、ひらひらとした羽衣のような布地は向こう側の空間が透けて見えるほどに薄い。ときおり、部屋にあるシャンデリアから放たれる、心地の良い光がその布の繊維をすり抜け、微かに布地を桃色に見せるトリックアートのような効果をもたらしている。

何度見ても、彼女の姿は高校のときに倫理の授業で学習した『西洋の神』という単元で、繰り返し見た中世の絵画に描かれたまさしく女神の姿だ。


彼女を女神たらしめているのは、衣服だけにとどまらない。

俺は、女神と自称した彼女の顔をちらりと見た。


「あら。そんなに私を見て。『カエデくん』ったら欲しがりなんだからぁ」

「......は、はい? いやそれより何で俺の名前を」


疑問を投げかけてから『無粋』という言葉が脳裏を駆けた。何のソースもないが、仏や神などの人智を超えた類の生物であるこの人は、神と信じるに相応しい、人間離れした佇まい......は持ち合わせてないかもだが、人間離れした確かな美貌を備えている。理系大学生らしく『何が女神だ! 科学的にそんなのいるわけねーだろ!』との台本通りのセリフを吐くには、彼女はあまりにも女神かつ女神並びに女神すぎた。


「あらぁ、その発言は無粋ですよ。何と言っても、め・が・み。ですからね」

「心読まれてるねコレ」


全てを見透かしたようなーーー実際に俺の心を読んでいるのかもしれないーーー彼女の細められた蒼い瞳に乾杯。

と、穏やかな表情だった女神の顔が、突然真面目なモノに変化する。


「では、本題に入りましょう」


女神がそう言うと、部屋全体がみしみしと音を立て始め、さらにその造りが原型の無いほどに変化し始めたのだった。

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