表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

第9話

「あ、あれ!咲夜じゃない?きゃー。咲夜ーーー!」


あかりちゃんのテンションはガチ上がり。


咲夜さんはHYEIのマネージャーで元NoeLノエルのメンバー。


「あー。咲夜、本当に綺麗な顔してるよね。マネージャーになるなんてさ、惜しい。」


あかりちゃん、元咲夜担だもんね。


もう夕方になっていた。入り待ちのファンで溢れかえっていたのに……。


咲夜さん、一瞬、こっちを見た?気のせい?


あかりちゃんは気づいていないようだし、気のせいか。自意識過剰w


『キャーーーーーー!!!』


その絶叫に振り返ると、その先には……HYEI……。


目深に被った帽子にサングラス。パーカにディーゼルのジーンズ、ドクターマーチンらしきシューズ。


「……降臨……。」


その言葉しか出なかった。息をするのも忘れて、ただ立ち尽くしてた。絶対的に美しいものを見たとき、人はこうなるのだろう……なんて、ぼんやりとした頭で、これが現実でありますようにと願いながら、ただ見つめていた。


「マユ?はい、ハンカチね。」


え?あかりちゃんにハンカチを渡されるまで、自分の頬が濡れていることにさえ気づかなかったし、HYEIが過ぎ去ったことさえも……。

ーーー


「アイツ?」


HYEIは着替えながら、俺に聞いた。多分あのSNSの子のことだろう。俺もチラ見したから今日参戦していることは知っていた。でも、ちょっとさ、意地悪しちゃったりする俺。


「え?誰の事?」


とかさ。とぼけてみたり。


「いや、なんでもねぇ。」


「そう?」


だってさ、俺の視線完全に無視して、HYEI見て泣いてたからな……。マユちゃん。なんで、俺が名前まで知ってるかって?まぁそれは、おいおいな。



ーーー


「お前ら、俺のミサで浄化してやるよ!」


『キャーーー!HYEIーーー!』


はぁ。今日は観える。しっかり浄化されてます!


曲が始まった。


拳を振り上げ、バンバン飛び上がって、もう、全てをぶつける。ぶちまける。爆音の中!ぎゅうぎゅうな中、ひたすら目で追う、声を聴く。

熱い曲。綺麗な声。綺麗な姿。この世のものとは思えない。


HYEIのギターにはトレードマークの髑髏が描かれている。


瞬きするのも躊躇われる。


「お前ら飛べー!もっと高く!もっと羽ばたけ!!」


羽ばたきたい。羽ばたきたいよ、私も。


どこまでも、連れてって!


つづく。


※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ