第6話
「あ、マユちゃん。こんにちは、いつもありがとう。」
「板倉さん、こんにちは、今日もよろしくおねがいします。」
そう言いながら、パーカーを脱いで、作業の準備をした。
そう、私は定期的にHYEITシャツを着て、ボランティアに参加している。
(笑っちゃう?何で?何なの?だよね。)
私も。最初は近所の掃き掃除を手伝っていただけだった。勿論、HYEITシャツでさ。
もう3年目だな。なんて思いながら、今日は食事を作る手伝いをしていた。
きっかけは“あれ”だったけど、今では割と楽しくやっている。
あ、あれ?気になるよね。
ーーー3年前ーーー
『NoeLのVo.HYEI(年齢29歳 他非公表)元マネージャーに暴力事件』そんな見出しがあちこちで踊っていた。
ファンにも衝撃が走り、去って行った人も沢山みた。
後に、不起訴処分(嫌疑なし)となったのだが、その頃には、皆その事件のことなど微塵も覚えていなかった。
不起訴処分?嫌疑なし?難しい言葉が並んでいたけど、兎に角調べた。
被疑者(HYEI)が犯人でないことが明白……?何かで揉めたのは事実らしいけど……。
それからかな、HYEITシャツを着て、近所の掃除を始めたのは……私に出来ることはそのくらいな気がしてさ。
あ?HYEITシャツ?わざとだよw
だって、HYEIのファンだって知っててもらわないとさ、私だってボランティアでやってる訳じゃないし、ボランティアをさ。ん?なんかおかしい?
HYEIの信頼回復?ちょっとでも貢献しないと、推しに申し訳ないじゃない?
「マユちゃん、集合写真撮ろう。」
「え?集合写真?」
「そう、板倉さんが、今日はこの子供食堂のSNSに集合写真載せたいんだって!」
「あ、はい。OKです。」
まさか……この一枚の写真が、その後の人生を左右するなんて、その時の私は知る由もなかった。
つづく。
※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。




