第16話
“ ___ NoeL新曲 初登場 7位 ___ ”
(うー。新曲出るのは嬉しいし、前から5枚予約してたけどさ、熱愛宣言の後は流石に……。)
いや、今こそ、推さなければ!!
お昼にパンをかじりながらそんなことを考えていた。
残念な話だけどさ、初登場7位は久しぶり、最近は10位に入るのも稀だしさ。1位は流石に無理か?私が富豪なら100枚は買うのに!
とりあえず会社が終わったら、タワレコ行こう。
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あれ?いつも、ここのタワレコ、Noelの新曲は発売日でも数枚しか無いのに、特設コーナーがある!!
(あ!PVが流れてる!!!)
オリコン入りしたから?それとも……ルカと……。いや、そんなの関係ない!
目を閉じて深呼吸して、レジに並んだ。
タワレコの袋を抱えて帰路につく。
流石に重いな。
(2万飛んだしな。またしばらくお昼は菓子パン生活だなw)
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いつも通り、等身大ポスターのHYEIに一礼するつもりだったのに、見つめずには居られなくて……玄関に座り込んだ。
「HYEI、貴方は本当に綺麗。顔も声も曲も……きっと心も。私……貴方に出会って、色んなことを知ったよ。」
この、心の痛みもね。
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「ねえ?ちょっと聞いてる、HYEI?」
「……。」
「なーんか、心ここにあらずーって感じ?まぁ、いいけどさ。」
私は電子タバコをふかした。昔は紙タバコを吸ってたけど、女優は匂いが大事とかでさ、電子タバコにしてる。HYEIは相変わらずマルボロなんだねw
「で?話って何?」
うわー。この感じ変わってないw
まぁ、そこが好きだけどさ……今でも。
「いつまで?」
「え?」
「いつまで、この関係続けるの?」
「あー。もういいわ!付き合わせてごめんな。もう別れたって言っていい。ありがとう」
「え??」
(HYEIが、この人が、今、ありがとうって言った?)
「じゃあ、俺帰るわ。」
「あ!待って!」
私は思わず抱きしめて、キスをしていた。
つづく




