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Fight 17. レイプ魔・ブラザーズ

※この作品はフィクションです。いかなる実在の個人・団体などとは一切関係ありません。

 田岸たぎし雄文よしふみとゲリュー・石橋いしばし。人呼んで『拳闘空手のレイプ魔・ブラザーズ』───。


 両者とも空手界では大手の団体である拳闘けんとう空手の師範代であり、表向きは人格者として振る舞っているがその本性は頭を獣欲に支配された卑劣で野蛮な暴漢。


 拳闘空手の創設メンバーだった親のコネで支部一つを任されておきながら、親の権力と腕っぷしを傘に気に入った女性会員に日常的な性的暴行を加え、プライベートでも弱者カモを見つけては暴力的手段で金品を強奪するまさにけだもの


 武道の精神など微塵も身につけず、頭の中を常に暴力と女と金の事で満たしたままこれまで生きてきた狐仮虎威(こかこい)の徒である。


「そんなの連れてきてどうするつもりなのよ……」


 慧秀から軽い説明を受けた涙霧は呆れた顔でツッコむ。


「念には念を、ってやつですよ」


 慧秀はそう言うと前に出てバトル・ファック部の実力者二人を前に提案する。


「大体察してるとは思いますが、俺らと闘る前にこの二人と立ち合ってもらいます。こっちはおたくの雑魚共の相手したせいで少し疲れたんでね、分かりやすく時間稼ぎさせて頂きますよ」


 嫌ならこのまま四人で多勢に無勢してやる、鹿島と大井川には慧秀がそう言っているように見えた。

 先に大勢で襲いかかったのはバトル・ファック部側である以上、それを卑怯だと糾弾する事はもう出来ない。してやられたのか、と二人は思う。


「は、橋爪さんホントにコイツらボコればワシらのしでかした事は黙っててくれるんですかい?」

「ええ、約束しますよ。警察にも拳闘空手上層部にも、アンタらが本部の会議をサボって路地裏に女子大生連れ込んで暴行しようとしていたクソゴミだとは言わないでおいてあげます」

「あ、有難い話ですぜブヘヘヘヘ」


 慧秀に平身低頭しながらへりくだる田岸とゲリュー。なぜ彼がこんな野蛮人二人を従えてるのか、会話から涙霧はおおよその察しがついた。


 慧秀はそのまま部室の壁際まで移動し、腕を組んで壁にもたれかかる。涙霧もそれに続き、彼の隣に立つ。


「……なるほど。そういう事ね」

「さすが涙霧先輩、理解が早い」


 さしずめ、性的暴行事件を起こそうとしているあの二人を慧秀が見つけてボコり、脅迫してバトル・ファック部との戦いに利用しているといったところか。


「あいつらを見つけたのは偶然? それともどこかで噂を聞いてわざわざ探した?」

「ノーコメントです」


 そんな会話をしている黎命流コンビの視線の先で、二人の下衆空手家は下卑た欲望丸出しの笑みを浮かべながら鹿島と大井川を見つめている。


「ゲリューよ、ワシはあっちのオッパイ大きい子にしちゃる……この前オ◯コしたメスブタが貧乳だったからバランスを取らないといかんのでな」

「ならワシは金髪の方をファックする事に決めたわっ」


 口々に呟く田岸とゲリュー。鹿島も大井川もそれを心底不愉快そうな目で見ている。


「時間稼ぎは建前で本当はバトル・ファックとやらの戦闘スタイルを見るのが目的、そうよね?」

「ええ。我々の唯一の懸念点は“バトル・ファック”なるものがどういう技術なのかよく知らない事にあります。だから始める前に一戦、生で見ておいた方がいいかと思いまして」


 無論、谷川や和田垣など元部員の被害者達から詳しい話を聞いてはいる。

 だが、彼らは部に所属していた期間が短く、バトル・ファックそのものも練習やスパーリングでしか経験していない。

 そんな彼らからの伝聞だけで未知の格闘技?とやり合うのは得策ではないと慧秀は判断していた。


「無論、俺らは初見の相手だろうと大半の奴には負けません。そう言い切れるくらいの鍛錬は積んできました。けど、今回の戦いは多くの人達の思いを背負っている。絶対に失敗できない戦いである以上、やれる限りの最善を尽くすべきです」

「違いないわね」


 そのためなら人面獣心の輩でも何でも利用する。


 涙霧がひたすら自分の心技体を磨いていた一方、慧秀はこのような盤外戦術まで考えていた。弟弟子の周到さと狡猾さ、そして勝利を掴む事への執念に涙霧は素直に感服せざるを得ない。


 強さはまだまだ涙霧の方がずっと先を行っているが、慧秀は彼女にない視点と発想を持っている。今回はそのおかげで目的達成の確率を上げられた。


(やっぱり、橋爪くんと一緒に決戦の日を迎えられて良かった)


 絶対に負けられない戦いに、頼もしい仲間が着いてきてくれる。それだけでどれほど心が楽になることか。


「しゃあっ」


 涙霧の弟弟子への感心をよそに、田岸が大井川へと仕掛けた。


 空手家らしい鋭く素早い拳撃がボッボッボッと空を裂く音を立てて大井川へと襲い掛かる。

 それをパンパンパンと音を立てながら両手で拳を弾く大井川。見れば彼女は険しい表情をしている。

 弾幕のような手数の多さ、加えて一撃一撃が乱打としては重たい事が彼女から余裕を奪っていた。腐り切ってるとはいえ田岸はキャリアの長い空手家なのだ。


「はっはーっ! 何時間も連続でオ◯コ突き続ける事の出来るワシのスタミナを舐めるなっ」


 対して田岸はもう目の前の女子高生を犯せる事を確信しているのか、醜悪な笑みを貼り付けたままさらにギアを上げていく。


(さて、あっちはどんなものか)


 慧秀がちらりと鹿島とゲリューの戦いに視線を向ける。



「ブヘヘヘヘどうしたそんなものかメスガキィっ」


 ゲリューが軽口を叩きながら鹿島のローキックをカットする。


「ちいっ」


 続いて繰り出された拳も避け、逆にカウンターの前蹴りを仕掛ける。鹿島は上手く反応して避けてみせたものの、どうやら有効打が与えられないらしい。


「ワシは必死に抵抗し泣き叫ぶメスブタを拳で捩じ伏せ黙らせ、その征服感に浸る事で初めて勃起出来るんや。もっともがいてくれないと困るでブヘヘヘヘ」


 田岸がオフェンス型だとすればゲリューはディフェンス、といったところか。


 親の威光を傘に来て跳梁跋扈する事しか考えて来なかった連中だと思っていたが、一応空手家としてそれなりに自分の長所を磨いてきたようではあるらしい。


「終わりじゃあっ」


 そう言いながらゲリューが繰り出したのは側頭部を狙ったハイキック。

 頭を強く打たせ、昏倒させ自由に動けない状態にしてから唾棄すべき所業を行うつもりなのだろう。


 一直線に鹿島の頭へと向かうゲリューの脚。

 しかし、それが届く事はなかった。



「はううっ」



 ゲリューが頭を蹴り飛ばす前に、鹿島のつま先が彼の股座に突き刺さっていたからだ。


「は、はがっ」


 じわじわと道着の股間部分が血に染まっていく。ゲリューはそれを呆然とした表情で見つめながら、口からぶくぶくと泡を吹き出し白目を剥く。

 そしてそのまま大の字に倒れ、意識を失った。


「なるほど。あれが“ローブロー・ブラスト”ってやつですか」


 慧秀がぽつりと呟く。


 谷川と和田垣から事前に聞かされていた“金的のカシマ”こと鹿島晴恵の必殺技。

 全神経を集中し、他の攻撃の選択肢を捨てひたすら金的のタイミングのみを狙い澄まして放たれる致命の一撃。

 それを喰らって倒れなかったバトル・ファッカーは一人たりともいないと言う。


 ゲリューの睾丸が完全破壊されたとほぼ同じタイミングで、もう一方の戦いも決着がついた。



「しゃあああっ」


 田岸の鋭い一撃が大井川を襲う。上体を反らしギリギリで顔面へのヒットを回避するも彼女の服は裂け、規格外の大きさのバストが露わになる。


(ノーブラか? 本当に淫売のようだなっ)


 一瞬、田岸が気を取られそう考えた次の瞬間だった。


 大井川は突き出された彼の腕を掴み、さらに空いてる方の手をその後頭部に回して自らの方に引き寄せた。


「な、なんだあっ!?」


 田岸の頭はそのまま吸い込まれるように大井川の胸の谷間に挟まれる。

 大井川はそのタイミングで田岸の手と頭から手を離し───。



破面はめん乳爆殺にゅうばくさつッ!」



 流れるように、両サイドから自らの両乳を思い切り強く押した。


 バァン、と大きな音が鳴る。


 それは凄まじい衝撃が田岸の頭に左右から襲い掛かった音に他ならない。

 ちょうど三秒を数えてから大井川は自らの乳から手を離し、田岸を解放した。


「ご、ぷぇ……」


 自由になった彼の頭は酷い有様だった。目、鼻、口から血を滴らせている。眼球はあらぬ方向をぐるんぐるんと行ったり来たりしており、どう見ても焦点があっていない。


 やがて田岸の身体は糸が切れたように停止し、その場に崩れ落ちた。


「“破面乳爆殺”……。本当に谷川くん達から聞いた通りの技だったね」


 涙霧が口を開く。

 自慢の爆乳で相手を挟み込み、圧倒的な乳圧で一撃で葬る大井川湘子の必殺技。

 頭を挟まれれば今の田岸のようになり、ペニスを挟まれれば一瞬で金玉が空になるまで搾り取られ一週間は全く勃たない状態が続くという。


「でも……問題はなさそうね」

「ええ、これなら普通に勝てます」


 意味不明な技を見せられた直後でも、黎命流殺人術の遣い手は揺らがない。萎縮するどころかより一層自らの勝利を確信した。


「くだらない前座は終わりだ」


 大井川はそんな彼らを見ながら言う。


「リングに上がりな。お前らもそこのゴミ二匹と同じ目に遭わせてやる」


 互いに自らの力を見せつけた両陣営。いよいよオカルト殺人術と格闘性技がぶつかろうとしていた───。

ふざけてるようで強い───。

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