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白の双剣士  作者: ultimate!!
第二章 青の氷の哀しみを
30/45

第二十八色 その少年の『色』は


 ルミアが近づきながら言葉を紡ぐ。


 「久しぶり、ジューク。一緒に踊りましょう?」


 …辛い。


 「ちょっと、戦う前に提案なんだけど。」


 …


 「変に抵抗するのはやめて、素直にこっちに来ない?」


 …そうすれば、楽なんだろうな。


 「入学前、私達三人でS級冒険者になるって言ったじゃない。」


 …言ってたな。目標にしてたな。


 「今ならまだ間に合うよ?まだ、目指せるんだよ?」


 …そうだな。目指せるんだな。


 パキ。


 「ねえ、今からでも、一緒に戻って目指さない?先生たちなら説得するからさ。」


 パキパキ。


 体を冷気が包んでいく。この温度に身を委ねれば楽になれる。正しい道へと戻れる。あの時へ戻れる。




 「…聞いてくれたんだ。これでまたずっと一緒にいられる…!もう放さない。私が、私達が…!」




 バシャリ。




 「…なんで?」




 「なあ。一つだけ聞かせてくれよ。」


 かつてのジュークなら、身を委ねていたかもしれない。


 「…なあに?」


 ワイドが、レブがいなければ。


 「…僕が学園に戻って、『白壁』の外には行けるのか?」


 「え?」


 そして何より、『色』が使えなければ。いや違う。


 『白』でなければ。


 「僕は今、S級冒険者になりたいわけでも、みんなと過ごしたいわけでもない。」


 揺らいでいただろう。


 「僕の〈今〉の目的は、『白壁』の外に出て、真実を知ること。」


 だがその男は。


 「それを邪魔するなら、ただ振り払うだけだよ。」


 既に、どうしようもなく、『白』に、染まっている。


 「『白洗』」


 道は決まった。あとは進むのみ。


 さあ、『黒』の世界で、自分は『白』だと、証明しろ。








 「じゃあ、仕方ないね…」

 「あぁ。仕方ないんだよ。」


 再度距離を取った僕達は最後に言葉を交わす。


 「『白斬』」

 「『青氷・槍』」


 手に持った『白剣』に『白斬』を纏わせる。すぐさまそれで飛来した『氷』を叩き切る。

 すると触れたところからただの『水』に変わりバシャッと地面に落ちる。


 「まずは数から。」


 そう呟くと数が一気に増える。片っ端から叩き切っているが一向に収まるどころか少しも減った様子がない。

 それよりこれは…雪?いや、雹!?


 「ばあ!」

 「ぐっ!?」


 視界が狭まるところで顔面を殴られた…!


 「『白磑』ッ!」


 剣で迎撃はできない。だから『鎧』で…!


 「回数制限があるのは知ってるよ?ちなみに、この『雹』も私の『青』だよ。『青氷・雹』。」


 一瞬で『鎧』が消える。次の対処を考える時間すらなく『氷槍』が突き刺さる。


 「グゥッ…!『白洗』、『白粉』!」


 突き刺さった『氷槍』を『白洗』で水に戻し、『雹』を『白粉』で自分の周りだけでも消す。


 「どうしてあの『刀身拡張』、だっけ?あれを使わないの?」


 …理由は単純。防御が足りなくなるからだ。今双剣で『氷槍』を対処してそれでも攻撃を喰らうというのにここで片手剣にすると一方的にやられるに決まっている。


 「まあ、私はいいけどね?」


 そう言ってルミアの後ろに『氷槍』が出現する。


 「このまま勝っちゃうだけだし。」




 このままだと勝てない。それはわかっている。

 ならどうすればいい?


 思い出せ。これまでの出来事を。


 形にしろ。その記憶を。


 今いるのは〈攻撃〉ではなく〈防御〉。


 僕は、それに最適な物を、既に知っているはずだ。


 実物は遠目でしか見たことがない。


 だが性質はよく知っている。


 その曖昧な知識()()()いい。


 曖昧だからこそ、今欲しい形にイメージできる。


 『色』を阻む。いや、『攻撃』を阻む。


 違う。『全て』を阻む『白』の『壁』。


 『氷』も、『弾』も、『毒』も、『炎』も、『僕』自身でさえも。


 全てを阻む『壁』を。






 「『白壁』」


 『氷槍』が迫る。だが、それが僕に届くことはない。


 「なっ…」


 僕とルミアの間に出来た薄く、『白』い板のような『壁』。


 「『刀身拡張・直剣』」


 それは、


 「勝負は、まだまだこれからだ。」


 僕と幼馴染(ルミア)との関係の『壁』かもしれない。

今更感はありますが『血染』は〈双剣〉状態では使用不可です。

ちなみに『刀身拡張』は『直剣』以外にもあります。ただ〈前〉の使用者の記憶がそこまで無いので使用できていない…というのもあるんですがジュークの発想力不足、という面もあります。

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