第3色 灰の足枷
「ぐっ…」
剣での受けや体を反らしての回避などでなんとか耐えるが、相手の攻撃が速すぎて少しづつ体にかすり始める。だが、おかげで仕組みがわかってきた。攻撃の瞬間に後ろに『色』で風を送り出すことで突きを加速させ、引き抜く時も風で戻すことで連続で突きを行っているのだろう。ここから削り切られる前に決着をつけないと…
「その程度かァ!?」
今までの中でも一際速い突きが繰り出される。だが、突きが速いということはその分『色』の風の出力が大きく、向かい風への切り替えに空きが生じるはずだ。ならここで決める!
「シェアァ!!」
「なッ」
突きが脇腹の当たりを掠めたが、気にせず左の剣を切り上げる。
「ぐっ」
咄嗟に後ろに飛ばれたぶんダメージは少ないが怯ませることができた。そのまま槍を構えさせる前に距離を詰め、切り上げ、突き、横薙ぎと、剣がモロに入らなかったとしてもそのまま切り続けていく。
「そこ!」
どんどんと追い詰めていき、相手が槍で防いだところに当てて体制を崩し、そこに踏み込みながら双剣を振り下ろす。
「終、わり、だ!!!」
その一撃が直撃し、そこが丁度リングの端だったらしくそのまま相手が押し出される。
「試合終了!勝者、ジューク・アイル!」
一試合目が終わった。だが、本番はここからだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「おっ、ジュークのやつは勝ったみたいだな。」
何なんだこいつは…明らかに強さの次元が違う!こちらが茶の『色』で地面を操ってもそれを上回る速さで炎と打撃が飛んでくる!しかも相手はほぼ消耗無しでだ!普通『色』を使うには
『色』で出すものをイメージする→イメージしたものをどこに出すか、どう動かすかを考える→発動
この手順が必ず必要なはずだ!なのに、この構築が南区最速と呼ばれた僕が何もできない?そんなこと、そんなことぉぉ!
「ありえないぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「んじゃ、こっちも終わらせるか。」
「赤炎」
これまでの炎より、一際『赤』い?どういうこt
「試合終了!勝者、ジューク・アイル!」
「ふぅ、まだ行けるな…」
二戦目の相手は武器を「硬く」する相手だった。おそらく『色』は灰色だろう。相手の木剣が石になっていたところからもほぼ確定と見ていいだろう。だが何か違和感がある。この戦いの最後の方から少し調子が悪くなってきた気がする。だがそれ以上に相手の攻撃からキレが無くなってきたため、すぐに押し出せた。(硬すぎて気絶まで持っていけなかった。)だがまだ二戦終わっただけだ。まだ気は抜けない。
「試合終了!勝者、ジューク・アイル!」
「ハァッ、ハァッ!」
明らかにおかしい。二戦目の終わりから時間が立つに連れて体が重くなっている。なんとか相手の『色』の溜めの間に双剣の一撃を合わせることで気絶させる事ができたが、一試合目二試合目に比べて足に疲れではない重さが乗ってきている。一体何なんだ…これ以上勝つのは厳しいか?いや、勝たなくてはならない。全員で冒険者の頂点に立つためにも!
「試合終了!勝者、ジューク・アイル!」
もう歩く度に重くなっている…あの試合で何かをされたとしか思えない…相手の色の効果は何だった?確か『灰』で…物を「重く」する?まさか試合の終わり際にそれを僕の体に付与したのか!?
「君の最後、立候補してもいいかな?」
「あぁ、いいけど…」
「ところで…」
「そろそろ、重さが限界になってきたか?ジューク・アイル。」
「お前は…?」
「ビク…『灰』の男の、親友サダだよ。ついでに言うと、お前に『色』をつけるように指示したのも僕だよ。」
「お前か…!」
「そんなに怒らないでほしいな。これは試験だけど立派な勝負、なんだから。」
「チッ…」
「それと君さぁ」
「?」
「その状態でも勝てることは驚いたし、実際強い。」
「その強さに気を取られて周りは気づいてないかもしれないけど、君、『色』、使えないんだろ?」
とうとうバレたか。しかもこちらには重さという足枷がある。だがここは最終戦。なんとしてでも勝たなければ…
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