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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第一部 第1章 ショウと力丸
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輝竜家の力丸



 力丸が入院して10日後、週末なので青生と瑠璃は帰宅し、兄弟が寛いでいるだろう居間に行った。


「あ♪ 青生兄と瑠璃姉おっ帰り~♪

 そのコだぁれ? 狐儀のコドモ?♪」

早速、彩桜が駆け寄る。


「狐儀殿のお弟子さんの力丸だよ。

 崖から落ちてしまって入院しているんだ」


「俺にも抱っこさせて~♪」


「うん。はい」「ふさふさカワイイ~♪」


 お、おいっ、わしゃわしゃすんなっ!

 あ……でも……これもいいかも♪

 でもっ、捕まえてやる♪ よしっ♪


「元気だね~♪ 落ちないでねっ♪」


 腕を掴んでクルッと♪ 立てたぞ♪

 上って背中に♪

 背中から頭の上に♪ 俺がイチバンだ♪


「意外と元気だな。

 何か食べさせてみるか?」

瑠璃が力丸の鼻をツンツン。


「そうだね」「んじゃあナンか作ってやる♪」

「ありがとう黒瑯」「子犬と同じでいいか?」

「基本、そうだけど一緒に行くよ」「おう♪」

青生と黒瑯は台所に行った。


 あ~、行っちまった……けど戻って来た♪


「瑠璃姉様、今度の保護動物は狐ですか?」

帰宅し、自室に向かう途上の藤慈が覗き込む。


「そうだ。全身強打で内臓破裂していた。

 骨折は治したのだが、食事を初めて与えようとしているところだ」


「では薬草から胃腸薬を調合しますね」

笑顔で自室へ。


「ありがとう」


 ナンだ……? 違うヤツだったのか?

 同じに見えるんだけどな?

 あ♪ 今度こそ戻って来た♪


「お?♪ チビ狐♪ 遊んでやる♪

 俺なら噛みついても大丈夫だぞっ♪」

白久も帰宅した。


 うわわわっ!? イキナリ掴むなっ!!

 乱暴で無礼なヤツだなっ!!

 ワシワシすんなっ!!


「噛みついたなっ♪ 元気でいいぞ~♪」


「白久兄ってば乱暴にしちゃダメっ!」


「ちゃ~んと手加減してるってぇ♪」


 コイツ!

 ナンで噛んでも笑ってるんだよ!?

 うわっ!! 血だよなっ!?

 コレって血ってヤツだよなっ!!


「ヤったなコノッ♪

 ほらほらもっと力入れてみろよ♪」


 ナンで笑ってるんだよっ!?

 怖いじゃないかっ!!

 怒られるよりヨッポド怖いよ!!


「シッポ丸めたなっ♪ 俺の勝ちだっ♪

 んじゃあ俺が親分で、お前は子分だ♪

 よ~しよしイイコだ♪」


 コイツ怖いよぉっ!

 女神様、助けてくれないのかよぉ。

 あれ? でも……このサワサワ誰だ?


背を撫でる手を目で追っていく。


 ……コイツなのかっ!?

 ウソだろっ!

 さっきの乱暴な手、どこ行った!?

 あの手が化けたってのかっ!?

 それよか血!! 流れてるからっ!!

 やっぱコイツの手だ!

 噛んだ痕クッキリなんだもん!

 怖い怖い怖い怖い怖いからっ!!

 放してっ!!


「ジタバタすんなよぉ。

 ほらほら高い高~い♪」


 うわわわっ!? また落ち――って、え?

 懐かしい……飛んでる感じ……。


 早く……元に戻りたいよぉ……

 俺……神の王子なんだよぉ!


「もおっ! 白久兄おしまい!

 俺の友達なんだからっ!」


 え? 友達って言ったか?

 友達……さっき会ったばっかなのに?


「よしっ♪ 子分は彩桜のオモリ役だ♪」


「違うのっ! 友達なのっ!」


「彩桜の友達は物と動物ばっかだな」


「いいでしょっ。

 みんな、ちゃ~んとお話しできるもんっ」

「寝床は此れでよいか?」


 何人いるんだっ!?


「紅火兄ありがと♪ はい力丸♪

 ちょっと休憩ねっ♪ 金錦兄お帰り~♪」


 また増えたっ!?


「狐、なのか?」


「うん♪ 狐儀のお弟子さんの力丸♪

 落っこちて大怪我したんだって~」


「そうか。賑やかな家だが、安心して回復に努めて欲しい」


 あ……この手も とってもいい……ん?


耳ピン! くんくんくん。くんっ♪


「出来たぞ♪ ほら食ってみろ♪」


 うんっ♪


タタッ――はくっ♪


 うんまっ♪ こんなの初めてだ♪

 木の実よりぜんぜんうまっ♪


 あれ? でもぜんぜん足りないぞ?

 召使い、追加しろ♪


「旨かったか?

 でもな、欲しそうに見上げても今日はダメだ。

 食うの久しぶりなんだからな。

 明日はもっと食わせてやっからな♪

 お前、撫でられるの好きなんだな?

 んじゃあ腹の不足分は撫でてやるから許してくれよな」


 許すぞ、召使い♪


「おい黒瑯、俺の子分にナメられてっぞ」


「別にいいよ。あっ!

 食べてすぐなんだから乱暴にしたら吐いちまうだろっ!」

奪い返して膝に乗せ、撫でる。

「コイツ、狐の王子様なんだよ。

 しかも孤独さショッてやがる。

 甘やかす気は無ぇが今日くらい いいだろ」


 おい召使い!

 俺は狐の王子じゃなくて神の王子だ!

 でも……孤独は…………そうかも。


「シュンとしちまったなぁ。

 ま、狐儀が連れてるんならワケアリ確定だよな。孤独な王子様かぁ。

 ウチに居る間だけでもンなモン忘れさせてやっからなっ♪

 元気出せよ、子分♪」



―◦―



 そして真夜中――


〈あれ? 狐儀どぉしたの?

 力丸が心配?〉


〈いえ。彩桜様にお願いが御座いまして参りました〉


〈うん。なぁに?〉


〈力丸は修行中の身で御座います。

 故に今はショウとは会わさぬようお願い致します〉


〈ショウの友達なの?

 あ♪ 兄弟かなっ♪〉


〈はい。

 ですがショウには記憶が御座いません〉


〈そっか。

 力丸、もっと寂しくなっちゃうね。

 うん。会わせないよ。

 力丸にもショウにも言わない。

 約束するよ〉


〈ありがとうございます〉


〈力丸、いつもはお稲荷様トコ?〉


〈いいえ。奥ノ山の(やしろ)で御座います〉


〈お稲荷様トコと繋がってるよね?

 力丸が山に戻ったら行っていい?

 友達なったから♪〉


〈はい。お願い致します〉笑って消えた。



―・―*―・―・*・―・―*―・―



 そうして3ヶ月が経ち――


「みかん~、俺のネクタイ知らねぇかぁ?」


「さっきそこに置いたわよ?」


「ソコってドコだよ?」


「テーブルの――無いわね。あっ」


「ああっ! 待て子分!

 咥えて走るんじゃねぇっ!」


「他のでいいでしょ。時間無いんだから。

 はいコレ――あっ」


「待てコノッ! ネクタイ返せっ!

 おいっソコ入るなっ!

 うわっ! ネクタイ全部持ってくなっ!」


「もうノータイでクールビズなさいな」


「真冬だっ!」


「カッカしてるから丁度いいでしょ♪

 でも……じゃあ早いけどバレンタイン♡」

クローゼットから箱を取り出して開けた。


「お♪ ありがとなっ♪」



―◦―



「あれれ? 力丸ネクタイまみれだね~♪

 はいはいはいっと♪

 走り易くなったでしょ♪

 じゃあ俺も学校行くから紅火兄とお留守番しててねっ♪」


 あ~あ、修行かぁ。

 紅火兄ってキツネ様の手下なんだもん。

 厳しいったって!


 学校って面白いのかな?

 彩桜が行くんだから面白いんだろうな。


「面白いけど面白くないよ。

 それに、人しか行けないんだ。

 だから修行して人に化けられたら一緒に行こうねっ♪

 じゃ、行ってきま~す♪」



―◦―



「藤慈、あのね……」


「どうかしましたか?」


「私、動物の看護師かトリマーの勉強をしようかと思ってるの」


「それは良いですね。

 学校に通いたいのですね?」


「いいの?」


「リリスの望みは全て叶えたいのです。

 受験、頑張ってくださいね」


「ありがとう、藤慈♡

 いつかは……藤慈と一緒に青生お兄様の病院で働きたいの」


「その望みは……私は隠しているつもりだったのですが……」


「藤慈の望みは私の望みだから……」


「ありがとうございます、リリス――」


「藤慈――あっ」「えっ? あ、力丸」


戸口から覗き見していた力丸は逃げようとしたが藤慈に捕まってしまった。


「いつも皆が出た後はリリスが遊んであげていたのですか?」


「少しでも動物の扱いに……慣れたくて……」


「では、お願い致しますね。

 行って参ります」にっこり。


「お気をつけて、藤慈」ちゅ♡



 藤慈兄、真っ赤だったな。

 あ! アレすると、厳しい紅火兄も

 赤くなるよなっ♪


 でも……ナンか……み~んな

 ほわわ~んと あったかくなるよな?


 なんだろな? あれが幸せってヤツ?

 なでなでと どっちが幸せなんだろな?







山での本格的な修行は回復するまでお休みな力丸です。


輝竜家で楽しく暮らしている力丸ですが、輝竜兄弟が龍神ドラグーナだとは全く気づいていないようです。



輝竜兄弟は、小学生な彩桜を除いて、社会人で結婚もしています。


古いけれど広い家と庭には、三男の青生が連れて来る動物達も暮らしているようです。



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