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スタリーナの来生



 彩桜達は鳳凰の里に行ったラピスリを待っていた。

ただ待つのは心配が募るだけなので、円座して話しながらだ。

【金錦兄♪ リュニロゥ様から何か聞き出せた?】


【術に関しては多くを得た。

 既にリュニロゥ様は隠し社での解呪を担当しておられる。

 神世の歴史、悪王に関しては青生と彩桜が拾知し考察した内容の裏付けを得たというものであった。

 ただ、気になったのは神王殿の地下牢だ。

 黒瑯と紅火から聞いた階層では足りぬと感じたのだ。

 その点は拾知していないのか?】


【んとねぇ……】

【貴神殿の方も確かめてみますね】


すぐに彩桜が目を開け、サッと南の森を見た。

【アレぜ~んぶ果物の木だ~♪】


【ナニ拾ってるんだよ!】

【腹ペコ大魔王 炸裂だなっ♪】


【遠いから一緒に拾っちゃったんだもん。

 ちゃんと神王殿も見たんだもん】ぶぅ。


【【で?】】


【もぉ潰れちゃってるトコあるの。

 人神様 劣化してからの層と、古くて崩壊しちゃった層あるの。何層も。

 土に還っちゃったみたくなってるの。

 閉じ込められてた神様も まんま居るよ。

 でも……災厄の後で助け出してもらえるみたい。

 王都も瓦礫ばっかりなるの。

 神王殿だけ残るの。

 瑠璃姉が地下から神様 引っ張り出してたの~♪

 だから大丈夫♪】


【うん。副都も同じみたいだね。

 貴神殿の地下にも何層もの潰れた地下牢と地下室があるんだよ。

 今まで見えていなかったのが不思議なくらいにね。

 俺にも大勢の獣神様が人神様を救出しているのがチラリと見えたよ】


【何億年も地下で?】【マジで生きてるのか?】


【生きてるの~♪

 ちっちゃ球魂なってるけど神様タフなの~♪】


【そんならまぁいっか。

 そーいや他に姥捨山(うばすてやま)の森とか雲間とかねぇのか?】


【さっきも見たけど森なんてナイの~】

【雲間は残っていると思うけどね。

 残る悪神は1欠片だから、それが災厄源だと考えて、災厄の後で落ち着いてから探すべきだと思うよ】


【その1欠片(ラス1)が災厄源で決定なんだな?】

【居場所は? 探さなくていいのかぁ?】


【近寄れないんだよ】【妨害されちゃうのぉ】

【俺達を見ている超越者様にね】【うんうん】


【どーしても起こるってかぁ?】


【はい】【そぉなの~】


【そんなら瑠璃サンが戻ったら帰るかぁ】


【そうですね】【うんうん】

【戻ったのだが?】瞬移して来たらしい。


【瑠璃姉お帰りなさ――果物い~っぱい♪】


【称号奪還の礼にと貰ったものだ】


【腹ペコ大魔王に食わせてやってくれ♪】

【うんうん♪】


【保護珠にも込めている。

 先に彩桜だけは食べるだろうと持って来た】

彩桜には盛り盛り果物の籠を、黒瑯には保護珠を渡した。


【食~べる~んるん♪ 兄貴達も♪

 でも1コずつね♪ はいランちゃん♪】

【ありがとう♪ 大きなサクランボね♪】

【ランちゃんだからキラキラ虹色なの♪】


【1コずつって……やっぱ彩桜だよなっ♪】

【食いしん坊 彩桜ん坊だもんなっ♪】


【じゃあ あげにゃいもん】

サッサとランマーヤに乗った。


【彩桜の優しさです♪

 私は、その苺に似た紫のを食べてみたいです♪】


【うんっ♪ 藤慈兄だ~い好き♪ はい♪

 青生兄このツヤツヤ青い桃みたいなのでしょ♪】


【そうだね。いいの?】


【うんっ♪

 金錦兄は~、真っ赤っか……レモン?】


【その緋牡丹色は嬉しいな】【はい♪】


【おい彩桜?】【無視かよ?】


【紅火兄コレ……スターフルーツ?

 なんか赤と緑 縞々の~♪】【む。ありがとう】


【【おお~い】】


【黒瑯兄ご飯で大事だから~♪

 虹色姫林檎ねっ♪】


【ありがとなっ♪】【俺は?】


【あった~♪ 銀色蜜柑♪ アルミ製ぽい?

 アル蜜柑(アルミ缶)だ~♪ はい♪】投♪


【おう♪】ぱし。

【けどコレ美味いのかぁ?】剥く。

【中は蜜柑色だな……お♪ 甘酸っぱ美味いぞ♪

 ありがとなっ彩桜♪】【うんっ♪】


ラピスリもランマーヤも彩桜が食べ終える迄はと術移せずに飛んでいる。


【ねぇ青生兄、さっきの どれくらい見えたの?】

もちろん青生にだけ。


【殆ど見えなかったよ。

 でも助けているのは獣神様で、助け出してもらっているのは人神様だろうと思ったんだ。

 ただの勘だけどね】

当然、彩桜にだけ。


【だよねぇ。

 瑠璃姉かどぉかなんて見えなかったの。

 でも立ち姿が瑠璃姉だと思ったの。

 兄貴達に安心してもらいたかったのぉ】


【同じだよ。

 地星は崩壊なんかしない。

 それだけは確かなんだから、立ち直れると信じよう】


【うんうん。信じる心、大事なの~】


【そうだね】【彩桜、食べ終えたのか?】


【うんっ♪ どれも不思議色で美味しかったよ♪】


【ならば一気に人世に帰る】


【うんっ♪

 あ♪ 瑠璃姉やっぱり人世のヒト~♪

『帰る』て言った~♪】るんっ♪


【そうだ。私は人世で生きているのだからな】


【うんっ!♪】



――キツネの社。

「あっ、彩桜!」

「輝竜君、スタリーナ様は?」

瞑想していた竜騎と夕香が駆け寄った。


兄達は微笑んだだけで瞬移してしまった。

「んとねぇ、オトナなったスタリーナ様が今から頑張るより、赤ちゃん戻った方が早いて聞いて、戻っちゃったのぉ。

 完全無垢なの~」


「「え?」」


「でも生きてるよ♪ ちゃんと生きてる♪

 今度はドラグーナ様が親なったの~♪」


「それって結婚できないんじゃ……」


「神様、親子でも兄弟でも個と個なの。

 人世の生き物とはベツモノだから結婚できちゃうの~♪」


「それなら安心♪」「そうね♪」


「だから、もっかい受け入れてもらえる?」


「もちろん♪ 一緒に修行するわ♪」


「それじゃあ……はい♪」

白闇呼玉から保護珠に変えた玉を夕香に近付けると、光が移った。

「今日は落ち着ける瞑想してねっ♪ あ――」


「「どうしたの?」」


「なんでもっ!

 ちょっと用事 思い出しちゃった~」逃げた。




【彩桜? まだ何かあるの?】


【あ♪ 青生兄~♪】瞬移。――ぱふっ♪

【あのね あのねっ!

 スタリーナ様、陽野さんと繋がってなくて入ってるだけだから、コドモなって生まれちゃうの!】


【馬白君との子供に?】


【うんうん! おてんば星香(せいか)ちゃんなのぉ。

 乗られてたのキャンプー様だと思うのぉ】


【そう……ドラグーナ様、親なんですから子育てのお手伝いもお願いしますね】

【そっか~♪ ドラグーナ様 頑張ってね♪】


【俺に振るの? 困ったなぁ】【【彩桜――】】


【ほえ? お稲荷様と瑠璃姉だ~♪

 あれれ? 此処て……】【お稲荷様の部屋だよ】

【ね、どして? なんで俺?】


覚悟せよと言わんばかりに父娘が迫った。


【どしてなのっ!?】

逃げようとしたが青生に捕まっていた。

【ねえってば!】


【スタリーナから取り出した神力全てをドラグーナの魂核に込める。

 ドラグーナならば器として十分過ぎる程。

 災厄に備える為、今、急ぎ行う】


【込めていいから怖ぁいお顔ヤメテなのっ!

 お腹ペコペコなのっ! 帰らせてなのっ!】


【急ぐべきなのだ。青生、離すでないぞ】


【はい】絶賛 苦笑中。

【怖いってばぁ! ご~は~んん~!】


【込めれば満腹と成ろう。眠らせよ】


【彩桜、ごめんね】最強治癒眠。


「青生にぃ……鬼ヒトデお稲荷様だぁ~」


【鬼ヒトデだと?】【父様、急ぎませんと】

【ふむ】【連動双子ですから目覚めますよ】


「鬼ヒトデ瑠璃姉の言うとぉり~♪」


【なっ】【瑠璃も。早く込めてね】【ふむ】



―・―*―・―



【おお~い白久♪ 帰ったんなら演奏してくれ♪

 メンバーはまだ練習が必要なんだ】


【何人必要なんだよ?】


【シンスケしか居ないからなぁ。楽器分だ♪】


【ったく~。紅火 藤慈 行くぞ】【む】【はい♪】

【オレは?】【昼メシは?】【分身に作らせる♪】

【そんなら頼む♪】【おう♪】〖オレが作るぞ♪〗

【仕方ねぇなぁ。そんじゃあオレが分身だな♪

 スヴァット様、神世フルーツも頼みますよ♪】

〖おうよ♪ 任せやがれ♪〗


空腹兄弟はスタジオに向かった。



―・―*―・―



「ここに住んでるんです♪ あれが私の車♪」


「ここって……あのアパートみたいなヤツ?」


「違いますよぉ。あの家を借りてるんです♪」


「家!? 一軒家を!?

 しかもこんな近くに!?」


「はい♪ そっちが歴史学の輝竜教授の家で、教授の弟さんから借りてるんです♪

 アパートみたいなのは寮にしてて、生物学の助手先生が住んでるんです♪

 あと私の後輩な女の子達も♪」

話している間にソラが荷物を運んで来た。

「それじゃ中渡音に帰りましょ~♪」




 走り始めて暫く。

今日は急ぐべきだと高速国道に乗って少し。

「あの寮って空いてるの?」

真守(まもる)は後部座席から助手席のソラの肩をつついた。


「はい。まだ空いていますよ」


「家賃は?」


「響、2000円だっけ?」「うん♪」

「交渉すれば1000円でもいいとか……」

「言ってたよね~♪」

(ゆい)達の引っ越しの時に話していて、結局 女の子達は月1000円、朝食付きで暮らしている。


「頼む! バイトは続けてるんだけど、ずっと金欠で困ってたんだ。

 入れないか聞いてみてもらえない?」


「いいですよ♪」

スマホをごそごそして、画面が見えないように耳に当てたが掛けたわけではない。

「あ、白久お兄さん、東京の寮なんですけど――」

声に出しているまんまを心話でも話している。


【おう♪ ソラの紹介なら大歓迎だ♪

 俺としてはタダでもいいんだから家賃はテキトーに決めてくれ♪】


【また1000円でもいいんですか?】


【いいぞ♪ 朝食付き1000円な♪

 で、後で連絡がいくと思うが、月曜からウチのスタジオでレコーディングだからな♪

 俺達は勿論サポートするし、メーアも滞在するから頑張れよ♪

 そんじゃあ後でなっ♪】


「はい! ありがとうございます!」ピ。

「先輩、月1000円、朝食付きで どうですか?」


「朝食!? それで月1000円!?」


「美味しいですよ~♪

 あのノワールドラコのシェフが作る朝食ですから~♪」


「マジか!? なんでそんな、マジでマジ!?」


「マジですよ♪」「そうなのよね~♪」


順調に、軽快に赤い軽自動車は走っている。







原点回帰されてしまったスタリーナ様が星香ちゃんとして生まれるのは10年以上先です。

その頃には平和になっている筈と信じて災厄に立ち向かうつもりの輝竜兄弟なのでした。



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