ハムスターな龍神
ミルキィとチェリーが瞬移した先は利幸の家の庭だった。
【こっち!】【早く!】
猫達は隣の敷地の藪へ。
瑠璃が渋々入ると、白い大蛇が緩く丸まっていた。
【リグーリ……?】
【ウンディに……ヤられた……】
【何があった?】
治癒を当てつつミルキィ、チェリーに。
【ウンディったら、ショウが死んだ日から】
【ず~っと飲んだくれて暴れてたたの】
【仕事には行くんだけど】【帰ったらずっと!】
【ショウが死んだ夜】【死神 呼んだのよね】
【ショウを生き返らせろ!】
【早く俺を殺せ! ってね】
【死神は、下位だからムリって】
【逃げちゃって、それっきり】
【今夜の暴れっぷりったらヒドくて~】
【酔ったまま車で出掛けそうになったから】
【【一番近いリグーリ呼んだの】】
【リグーリ、死神のままだと】
【庭に入れなくて~】
【ほら、昨日 強化したでしょ?】
【だから普通に人姿で声かけたんだけど~】
【ウンディったら死神だと思って】
【ボッコボコにしちゃったのよぉ】
【夜中のジョギングおじさん】
【ホントに殴ってたら犯罪よぉ】
【ウンディは何か言っていたか?】
【俺このまま死にに行くんだ! とか~】
【飛翔とショウ捜したら殺す! とか~】
【【あ♪ そうそう♪】】あはっ♪×2。
【何を笑っている?】
【瑠璃の眼中にも入れねぇ俺なんざぁ】
【死んで丁度いいんだよ!! って♪】
【ったく……】額に手を当てた。
【瑠璃としては】【利幸ってどうなの?】
外方向いて溜め息……【知らぬ】弟でしかない。
【【青生さん大好きだものね~♪】】
【煩い】横目で睨む。
【【あら~♪】】きゃあ♪ あははっ♪×2。
リグーリがモソッと動き、狐の姿になった。
【ありがとう、ラピスリ。
どうにか動けそうだ。
ミルキィとチェリーは大丈夫なのか?】
【【まぁね~】】
【ん? 怪我をしているではないか】
【【猫的にはカスリ傷よぉ】】
【飛びついたら叩きつけられたらしい】
【見境ないにも程があるな】治癒を妹達に。
【ラピスリの治癒って~♪】
【強いのに気持ちいい~♪】
【なぁミルキィ チェリー、ウンディの拳って神力 纏ってると思わないか?】
【言われてみれば……】【確かに そうね……】
【ずっと見てきた瑠璃としては、どう思う?】
【利幸の拳なんぞ受けた覚えが無い】
【だろうな。
聞いた俺が悪かったよ】
【【瑠璃だもんね~♪】】
【しかし、そうか……ふむ。
ランマーヤも神力は封じられていなかった。
無自覚な儘に禁忌に触れさせようとしているのだと考えたアーマル兄様が封じたのだが……ウンディも、であったか。
だが……そうであれば、既に神力を使って人神を殴っているにも拘らず、軍にも捕らえられないのは何故だ?】
【それな、死神達に恐れられてるからだよ。
軍になんか報告しやしないだろうな。
今、死司はナターダグラルを頂として、エーデラーク、ルロザムールと続いている。
その次がディルムだと殆どが思っている。
が、エーデラークが現れる迄、最高司の補佐をしていた奴等が、その下から虎視眈々と返り咲きを狙ってるんだよ。
ウンディに宣告した奴の上司もその集団の中にいる。
喉から手を何本も出したい程に手柄が欲しいんだが、ウンディが怖過ぎて動けないでいるんだよ。
ルロザムールが此処を襲撃した時に漁夫の利を得ようとしてショウに捕まり、オフォクス様に封じられている同じ穴の狢達を知っているからな】
【そういう訳か。
そうであれば、いずれ誰かが手柄欲しさに動くだろう。
そうなる前に手を打たねばならぬな。
そういえば利幸は?】
【玄関近くで寝てるわ♪】
【眠らせたんだけどね♪】
【総掛かりで、ようやくな】
【各々、もう大丈夫か?】
【【治ったわ♪】】
【大丈夫だよ。ありがとう】
【そうか。
リグーリ、今夜はミルキィとチェリーを頼む。
ゆっくり休ませてやってくれ】
【それはいいがウンディは?】
【借りて行く。
神力の現状を確かめ、開けるものならば開いて頂く】
【何処へ?】【誰に?】【無茶するなよ?】
【大丈夫だ】ふふっ。【任せてくれ】
龍に戻り、利幸を掴んで昇って行った。
【【上に?】】【ラピスリが珍しいよなぁ】
猫猫狐、並んで見上げる。
【あ! 青生さん!】【放ったらかし!】
【やっと気づいたかぁ】【【オニキス♪】】
【青生父様ならオレが見てるよ。
それと、ソコの話はラピスリが流してくれてたんだ。
封じられてる死神達は出られもせずに おとなしくしてるよ】
【フェネギも聞いてたのか!?】
【いいや。自分の社で力丸と遊んでるよ。
オレだけオフォクス様の社に呼ばれたんだ。
だいたいアイツにラピスリがリグーリ治してるとか言えるワケねぇだろ】
【【ラピスリったらモテモテ~♪】】
【言ってる場合かよ。自分のコトは?】
【【オニキスもでしょ!】】【っせーよ!】
【私達、ちゃんと好きな男神様いるもん!】
【ウンディが神に戻ったら行くんだもん!】
【へぇ~♪】【そうだったのか?】
【【同代とは大違いなスッゴい神様なの!】】
【ナンかヒドくねぇか?】【だよな】
【で、行くって何処に?】
【【月♡】】【【へ?】】
【悪くても弟子にしてもらうの♪】
【だから一緒に行くの♪【ね~♪】】
【まさか月の四獣神様か?】
【既に奥様がいらしたら?】
【【だから弟子♪】】ね~♪×2。
【一緒に居られたらいいの♪】
【そもそも私達まとめて結婚ムリでしょ】
【ま、頑張れよ】【そうだな】
【【もっちろ~ん♪】】
―・―*―・―
ミルキィとチェリーが行きたがっている月では――
《シルバーンでもコバルディでも同じなんだねぇ》
【【うっ……】】
《甥っ子がハムスターのままじゃないかぁ》
【【……すみません】】
《鍛え直す!!》グワッ!!
【【はははははいっ!!】】
解こうとしたがハムスターなままのドラグーナの子を残して、青龍は双子龍を連れて離れた。
「クッキー、もひとつあるけど食べる?」
〈はい♪〉両手で受け取ってカリカリリ♪
「お稲荷様ぁ、俺、何しに来たの?
俺の神様、何もできないの?」
「まさか彼の双子龍が使えぬとは……」
「お稲荷様でも誤算?」
「然うだな……すまぬな」
「ハムちゃん、お名前 思い出せたらいいのにねぇ」
「然うだな。名さえ思い出せれば解けるやも知れぬのだがな」
【オフォクス様、月では瞬移が使えぬと伺ったのですが――】
【ラピスリ、如何した? 月に来たのか?】
【はい】
【迎えに行く】術移。
――オフォクスが行った月の裏側では、オフォクスの弟達と夫婦龍が各々、禍と戦っていた。
「オフォクス~♪」ぴょんぴょん♪
「イーリスタ様は戦う為に戻ったのではなかったのですか?」
「省エネモードお試し中なんだよ♪
僕が手出ししちゃ試せないでしょ♪」
「ふむ……」
「オフォクス様、お呼び立て致しまして申し訳御座いません」
「其の手の者はウンディか? 如何した?」
「神力が封じられておらぬ様子。
お確かめ頂きたいのです。
叶うならば少しでも解いて頂きたいのです」
「然うか。儂の毛に隠しておけ。
では表に――」
「ねぇねぇこの子、解くの難しいと思うよ?」
「イーリスタ様?」「それはどういう?」
「こ~ゆ~縛りと呪は似てるんだ~。
無自覚に受け入れてると魂の深くまで入り込んじゃって解ききれなくなるんだよ。
この子、人だと信じ過ぎ~。
さっきの子やドラグーナと違って、人世生物の魂に封じられてないのにね~。
それにナンか混ざってる?
僕なんかじゃ言い切れないんだけど~。
人だと信じてるのに、漏れてる神力が使えても不思議だとも感じてないし~、矛盾も絡んじゃって と~っても厄介だよ。
でも~、やってみる?」
「はい。お願い致します」
「ん♪
青龍様のお説教 終わった?
そ♪ 早かったね♪
だったら、もっかい行くねっ♪」
ぴょん♪ オフォクスの背に乗った。
「はいはい♪ 乗ってね~♪」
「失礼致します」
ラピスリは苦笑してオフォクスに触れた。
「龍が乗っても大丈夫だよ~♪」
象が乗っても潰れないアレか?×2。
「ほらほら早く~♪」
苦笑しつつオフォクスは術移した。
――月の表側、神殿前。
【青龍様~♪ 青い龍 来ましたよ~♪】
ソッコー現れた。《来てくれたんだぁ♪》
《では、もう一度――》〖シアンスタ兄様?〗
驚き声が一斉。
【ラピスラズリ兄様?】また?
「あれ? 瑠璃姉の声した?」キョロキョロ。
〈僕の名……?〉ハムスターもキョロキョロ。
「ナンか~ややこし~♪」あはっ♪
キツネが住む『キツネの社』は稲荷山の山頂に、狐儀が住む『山の社』は、その北の奥ノ山の七合目に在ります。
山の社は、人世に降りたばかりのオフォクスを連れてサイオンジが逃げ込んだ古い稲荷神社に神世の物質を重ねています。
回復したオフォクスが結界守として稲荷山の山頂に建てたのがキツネの社なんです。
ちなみに、奥ノ山の山頂に在る結界守な社、『奥ノ社』には、今はバステートが居ます。
奥ノ山中腹の小社にはオニキスが居ます。
キツネの社、奥ノ社、小社は普通の人には全く見えません。
山の社は朽ちそうなくらい古~い稲荷神社にしか見えません。
△奥ノ山(奥ノ社)
・山の社
・小社
△稲荷山(キツネの社)
北の街(中渡音市 北渡音地区)




