タイガルル救出
翌朝、夜明け前にキツネの社に戻った青生 瑠璃 彩桜は、探していた雲間を丸ごと保護珠に込めて連れていた。
【兄貴達~♪ 出すから来て来て~♪】
隠し社に居た者達が瞬移して来た。
【庭に仮社を成した。その中で】
オフォクスが先導する。
【うん♪】るんるんる~ん♪
皆が入ると、瑠璃が保護珠を解いた。
【雲の塊かぁ?】【空洞になっていますよ♪】
【雲地の雲なの~♪ 見せたかったの~♪】
意外と固いのだとポンポン♪
【陽神雲散霧消♪】【氷結。出すね】
雲が消えて小さな水溜まりが出来、氷にしたのを青生が外に出した。
【ちょっと足りなかったかにゃ?】
【彩桜は紗ちゃんのを使っているんだからね。
俺も瑠璃のを使うと弱まってしまうんだ】
【一緒に修行しよ~♪】【そうだね♪】
――と、青生と彩桜が話していた間に、兄弟はドラグーナの身体を囲んでおり、ドラグーナは上に浮かんで身体を確かめていた。
【うん。まだまだ身体には戻れそうにないね】
【我々に繋がっているからですか?】
【それもあるけど、それだけなら一時的になら戻れるよ。
状態が悪いんだ。
とてもじゃないけど保管とは言えないね。
本当に隠しただけみたいだよ】
緑光を纏った彩桜が触れると、
【再生【【治癒】】】
青生と瑠璃も加わった。
【これは凄いね♪ 繰り返せるの?】
【ランちゃんと修行するの~】
【ありがとう彩桜。無理はしないでね】
【備えるんだも~ん♪
トリノクス様もマリュース様も再生するんだも~ん♪】
【ありがとう……】ふわりと抱きしめた。
【彩桜、タイガルル様も頼む。
魂縛呪が人神の術だ】
【あっ、うんっ!】オフォクスの方へ。
青生も一緒に行って手を当て、魂内を探る。
【コレって……】【うん。独自アレンジだね】
しかも新旧様々に混ぜている。
【彩桜?】【青生、無理なのか?】
【無理だとは思わないよ。負けないからね】
【うん。俺達、アレンジも得意なんだもん】
【アフェアン、私達も】【当然だな】
兄サマライカの真核入りの保護珠を連れたサマルータとアフェアンも寄る。
〖ならば私も医師として加わらねばな〗
【そんじゃあ弟達の間に入りますね】
と、白久と魂材神フレブランも加わる。
【紅火、身体の内外ぴったりに保護堅固をお願い】【む】
【藤慈兄、最適お薬お願いなの~】【はい!】
【そんじゃあ煌輝領域供与!】
【昇華煌輝、領域昇華】
揃えば最強だと見せつけるかのように協力し合う輝竜兄弟は、各々がドラグーナの鱗色光を纏っていた。
囲む大勢の大神が兄弟を支え、助言もして解呪を進めていく。
唱えるのは青生と彩桜。
人神の術なので瑠璃は補助的に加わる。
術に長けた人神達からの助言を拾知の天秤に乗せて反応を窺っては術を組み立て、丁寧に呪を解いていった。
【彩桜、この引っ掛かりを解けば終わるよ】
【うんうん♪ 頑張る~んるん♪】
〖では先に治癒に切り換えておこう〗
〖そうだな〗【【はい】】
王妃達は無言だが、フレブランの言葉で兄弟への回復治癒に切り換えた。
〖感謝致します〗
フレブラン達はタイガルルに浄治癒を当てている。
【紅火兄、鎖 見えたら引き出して~】【む】
青生と瑠璃の詠唱が終わると同時に魂核に浮き上がった呪鎖端を紅火が掌握で引き抜いた。
【悪いの ぜ~んぶ闇呼吸着!】
呪鎖を抜き出した箇所から噴き出した不穏禍を吸着しつつ纏う光を薄紅から緑へ。
【蘇生再生の極み!
ソラ兄、俺の代わりに浄化――あれれ?】
【サーロンは彩桜の代わりに犬の散歩に行きましたよ♪
体内浄化は私が聖水でしていますからね♪】
周りからも浄化光と治癒光だらけ。
【うんっ♪】蘇生再生全力キープ♪
―・―*―・―
「紗? お寝坊なんて珍しいわね。
あら、顔が赤くて……」額に手を当てる。
「風邪かしら? 病院に行きましょうね。
学校に電話するから待っていてね」
澪が部屋から出ると、飛鳥が瞬移して来た。
【お姉ちゃん、神力不足だから補充ね。
治癒もするからね】
手を繋いで光を纏う。
澪の足音が部屋の前に止まるまで続けて去った。
「あら? さっきは赤かったのに……」
また額に手を当てる。
「平熱?」
持って来ていた体温計の光を耳に。
「平熱ね……でも……瑠璃に相談しましょう」
―・―*―・―
瑠璃のスマホが鳴る。
【行っていいよ】【あ~俺のせいだぁ】
【ふむ】瞬移。
5分後、紗を抱いた瑠璃が戻った。
飛鳥も付いて来ていた。
【お姉ちゃんの治癒は任せて♪
サクラお兄ちゃん頑張ってね♪】
【ありがと飛鳥♪】
姉弟から離れた瑠璃が消え、戻るとショウの背を紗の枕にして飛翔だけを目覚めさせた。
そして魂尾アーマル(と意思塊ウンディ)入りの保護珠を飛鳥に渡した。
【パパ~♪】
【飛鳥?】〖サファーナ?〗
【あ♪ コッチ父様だ~♪ 父様、半分こ?】
保護珠を覗き込んだ。
〖そうだね。
僕は尾なんだけど……近くに居る?〗
【うん♪】
【はい。僕の内にアーマル様がいらっしゃいます】
〖眠っているのかな?〗
【はい。前のショウの時はお話しできていましたが今は……】
〖見てもいいかな?〗
【はい、お願いします】〖お~いサファーナ♪〗
【あれぇ? オニーサン?
それともウンディおじさん?】
〖ウンディの記憶コミコミな意思だ。
アーマルが念の為だと塊にして尾に込めてくれてたんだよ。
で、本体の方は人のユーレイしててなぁ。
ちーっとも思い出しやがらねぇんだよ〗
【オニーサン、人だと信じてるもんねぇ】
〖なんだよなぁ。そうか、サファーナも知ってるんだな?
そんなら、今どーしてる?〗
【隣街の祓い屋ユーレイさんの弟子してるよ♪
復活……できるのかなぁ?】
〖やっぱ そんな感じかぁ。
我ながら呆れちまうなぁ〗
〖今すぐに目覚めさせるのは無理だが、暫く近くに居させてもらえたら大丈夫だ〗
【そうですか。安心しました】
【じゃあパパと父様いっしょに修行ね♪】
【そうですね】〖そうしよう〗
〖よーし! 俺も頑張るぞ♪〗【動いた~♪】
【〖〖ん?〗〗】
【今ね、ランマーヤ姉様の再生神力でマヌルヌヌ様の弟神様を目覚めさせようとしてるの♪ 動いたなら大丈夫♪】
【ランちゃん!】彩桜が飛んで来た。
【治癒眠してるから――って、サクラお兄ちゃんも眠るべきだよぉ】治癒眠♪
ポテッと彩桜も眠った。
神達の囲みから瑠璃が抜けて来た。
【ありがとうサファーナ】
彩桜もショウの背枕に並べ、二人に柔らかい布を掛けた。
「ふわふわ~ん……サーロンと学校……」うにゅん。
「行きたいのだろうが、せめて午前中は休んでくれ」
「ほえ~い……ヒトデの学校、瑠璃姉先生……」
「どんな夢だ?」「おもしろ~い♪」
―◦―
【青生――ナンだソレ? 何してるんだぁ?】
白久が来た。
棚に水晶玉を並べていた青生が振り返る。
【タイガルル様が体内に保管していた封珠の中身を保護珠に移したんです。
どうやらダグラナタンは、この神力を使って四獣神様の身体を滅しようと雲間に行ったようですね】
【で、鉢合わせかぁ?】
【はい。タイガルル様は行方不明になった四獣神様の身体を捜していたんですけど、あの雲間を見つけたのは偶然だったんです。
そこに来たダグラナタンと戦闘になり、封珠を奪って体内に込めたんですよ。
その込めていた一瞬の隙に神力封じの縄と禍が飛んできて、あんな事に……】
【ソレなんだがな、どういう状態だったんだ?
フレブラン様、治癒してる間は無言で、また眠っちまったんだよ】
【そうですか……】
【また話せないってヤツなら話さなくていいからな】
【そうではなくて、どう説明すればいいのかと考えていただけです。
そもそも神様の身体は人とは違います。
物質的にも違いますので風化的に崩れて消えてしまう可能性はありますが、腐敗するという事はありません。
それなのに呪で腐敗に近くしていたんです。
タイガルル様は魂を縛られていましたが、生きていて意識も僅かでしたがありました。
ですから物凄い苦痛を50年近くも耐えていたんです】
【ったく酷い事しやがるなぁ】
【ダグラナタンはタイガルル様を滅すれば封珠も取り返せなくなるから、そうやって身体だけを溶かして取り出そうとしたんですよ。
偶然なのかもしれませんが、俺達が見つけるのが半日遅れていればタイガルル様の身体は溶け消えていたと思います。
とても薄い皮だけになっていましたから。
半日差で助けられたなんてギリギリさも解呪の途中で、ようやく気づいたんですけど】
【ソイツも拾知の成せる業かぁ?】
【どうなんでしょう……あ……『時流』という言葉が俺の意識を掠めました。
ブルー様かチェリー様が俺達の話を聞いていらっしゃるようです。
時の流れには意志があるようです。
つまりギリギリで俺達が助けるのは必然なのか、時流の気紛れなのかは分かりませんが決まっていたようですね】
【ナンだかなぁ。釈然としねぇよなぁ】
【そうですね。
ですが神様より上の存在も居ると考えれば、そんなものなのかもですよね】
【ま、ナンにせよ俺達は全力で対処、だよな】
【はい。そうですね】
【ああそうだ。
コッチのが俺にとっちゃあ大事だった。
フレブラン様が神様の医者なら、俺も治癒が使えるのか?】
【使えますよ。俺と彩桜がアフェアン様の拾知を使っているのと同じです】
【そっか♪ コレも修行あるのみなんだろ?
ガッツリ頑張るからなっ♪】
【はい♪】
【で、昨日みたく時々医者してくれるんだろ?】
【はい?】
【医師免許、持ってるんだってな♪】
【持っていますが研修もしていませんし、初心者マークでもない仮免許練習中ですよ?】
【完璧オペしといて仮免も若葉もねぇだろ♪
頼んだぞ♪】ポンポン♪ 瞬移♪
【白久兄さん!?】
【仕事しねぇとな~♪】オフ♪
「ったく……」
【青生は人助けが趣味なのだから医師もすればよい】
【瑠璃までぇ】
【助手ならば昨日のようにしてやろう。
我等の城の状況次第では彩桜に助手をさせるのも良いのでは?】
【そうか、彩桜なら俺に偽装で……】
瑠璃が現れた。
【考えるのは後にして青生も寝ろ】治癒眠。
【ありがとう……瑠璃……大好きだよ……】
【縁起でもない。死に際の如くに言うな】
苦笑して、凭れ掛かってきた青生を部屋に運んで膝枕で横たえた。
【たまには ゆっくり休んでくれ】
四獣神3/4の身体とタイガルル様を見つけたところで、この章は終わりです。
雲間はまだ残っていますけどね。




