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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第45章 魔女との戦い ~闇禍だらけ編~
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誰でも発動な闇呼玉



 高嶺は金 銀マーズと向かい合って腰掛けた。

すると、現れた黒と灰が紅茶と焼菓子を置いて去った。

【何やってるんだぁ? 追跡は?】


【【待ち伏せだ♪】】

隣の物置部屋に陣取った。


【待ち伏せったってお前ら……】


【術光矢封乱悪牢をサーロンから教えてもらったんだ♪】

【オレは彩桜から闇呼玉を貰ってるんだ♪】


【けど吸着は? 彩桜だけだろ】


【得意神力――オレ達なら供与だな♪――でアップさせりゃ起動するよ~に彩桜の神力タ~ップリ込めてもらってるよ♪】


【そういう手があったのかぁ】


【【全てはサーロンの知恵なんだがな♪】】


【喜ぶべき所かぁ?】


【【戦えるからどーでもだ♪】】


【後で教えろよな。

 高嶺サンが顔上げたからな】



「すみません。どう話せばよいのかと考え込んでしまって……」


「待ち時間なんですから気にしないでください」


「ありがとうございます。

 その……魔女が作った『私』をどうすれば私自身に戻せるのかと悩んでいまして……。

 引退も考えましたが、女優は ずっと憧れて目指していた職業ですから……」


「引退しなくても戻せると思いますよ。

 役者さんは役のイメージそのままだと思われがちです。

 実体験だとは言わずにドラマか映画にしてみては?」


「そう、うまくいくでしょうか?

 それにシナリオとしては、ありがちで……乗ってくださるとは……」


「マーズとキリュウ兄弟が関わるとすれば?」


「えっ……」


「マーズは顔は出しませんが、裏方やスタントマンとしてでしたら参加しますよ。

 キリュウ兄弟は主に演奏シーンですかねぇ」

【白久。主に、とは――】【大丈夫だって♪】


「スタントマンですか。魔女と戦うとか?」


「はい。例えば、こういうシーンです」

【ジョーヌ、突入していいぞ♪】【はいっ!】

【悟と竜騎は全力で浄破邪だ!】【【はい!】】


闇禍は高嶺には見えないが、噴き出している不穏禍煙は微かに見えているようだ。


天井から入った闇禍は真っ直ぐ高嶺に向かっていた。

室内なので、その距離は一瞬でしかない。


高嶺が声を上げる間も無く、淡い黒煙は光に搔き消され、針のような光線が飛び交い、黒い玉に入った。


黒煙を消した光を放った橙と白が降り立ち、乗せていた黄龍が黄マーズに。


黒マーズは黒玉を巾着袋に入れて口を厳重に閉じ、銀と灰は射手のポーズを解いた。

「こういうスタントですよ。

 悪魔は封じました。

 撮影ではCGを重ねるとか、技の名を叫ぶとか、分かり易くしますけどね」


「あ、あの、煙が悪魔?」


「悪魔が出していた毒ですよ。

 ですから浄化光で解毒したんです。

 本体は見えなかったでしょうが、極細の光の矢で射貫いて玉に封じたんです。

 実際は こんな地味で静かな戦いですが、撮影では派手にアクションしますので♪

 シナリオ本筋の心理描写や魔女役・女優役は、高嶺さんの魅せ処ですから お願いしますね」


「はい。どうかお願いいたします」

『スポンサーは任せてもらいますよ』


 マーズ達と高嶺が、声がした入口を見ると、いつの間にやら開いていて秋小路が笑っていた。

「次のCMの件で打ち合わせに来ていてね。

 見田井君と会って、マーズが来ていると聞いたのだよ」

すこぶる上機嫌だ。見ていたのだろう。


『あ! 居た居た! 秋小路様っ』

複数人の足音が走って来た。

『あと1点だけ確認したい事がありましてっ』


大礼(だいれ)君、スポンサーになるからマーズのドラマを頼むよ」


「マーズがドラマですかっ!?♪

 是非是非!♪

 早速 打ち合わせを!♪

 会議室の支度を!」「はい!」


「悪魔を追ってる真っ最中なんだがなぁ」

「金の(おさ)と銀の兄貴だけソッチな♪」

「悪魔はオレ達に任せてくれよなっ♪

 行くぞ(キィ) (トウ) 白♪」「「「はい!」」」

笑いながら消えた。


「ったくぅ~」【白久が蒔いた種ではないか】

【う……】【行こう】【ありがとな、兄貴♪】

こんな急展開は想定外だったようだ。


「金マーズさん、銀マーズさん。

 お願いいたしますね♪」

高嶺が両手にマーズで、大礼D他スタッフ達と秋小路を追った。



―・―*―・―



【兄様の言葉は全く理解していなかったらしいぞ。

 また闇禍を受け入れやがった】


【そうですか。母親は?】


【神眼を向けるのすら嫌なのかよ。

 変わらねぇよ。

 闇禍は分身か分裂かで増えるのか、元々複数 入っていたのかだな。

 上の子達を葬り去れば皇帝位に就けるとか話してやがる】


【闇禍達が話しているのなら まだしもなのですが……】


【だよなぁ。本心だったら――】

【またカロリーナ姫様なのぉ?】現れた。

【ああ。彩桜――だけかぁ?】


【うん♪ 瑠璃姉、狐儀師匠と藤慈兄トコ♪

 青生兄、金錦兄と白久兄トコ♪

 説明してくれてるの~♪

 俺、配りに行かなきゃなの~♪

 黒瑯兄から成功したって聞いたから♪

 理俱師匠にもコレあげる~♪】闇呼玉♪


【って、どーしろってんだよ!?】

両手に闇呼玉なのに もう1つ押し付けられた。


【黒瑯兄は供与でバッチリて言ってた~♪

 ()っき神力で発動ねっ♪

 闇て神力いっぱい吸い込むからねっ♪

 術の封乱悪牢、サーロンが得意だからねっ♪

 じゃねっ♪】

何やら作っている紅火にも渡して瞬移した。


【何処へ!?】


【闇禍い~っぱい呼んじゃったヒト居るトコ。

 まだまだ呼んでるから行かなきゃ闇禍 終わんにゃいのぉ。

 さっき第9伯爵さん家の地下で闇禍 見つけて拾っちゃったのぉ。

 闇呼玉いっぱい配ったから人世お願~い。

 紅火兄、強浄の魂納袋いっぱいお願いね~】


【ふむ。任せろ】【ん♪ 行ってきま~す♪】

緑 藤 空にも闇呼玉を配り、ミソとコミソを撫でて去った。


【ん? おい紅火!?】【む?】

消えたのは一瞬だけ。

戻った紅火は また何やら作り始めた。


【『む』じゃないだろ。何処 行ってたんだよ?】


【彩桜からの依頼品を渡しただけだ】


【依頼? いつの間に?】


【理俱に闇呼玉を渡していた間だ】【はあ?】

紅火はニヤリとしただけで作業の手は止めなかった。



―◦―



「父様……」

アリオールはマー(ミソ)から不安と心配が伝わるので、背を撫でながら父に視線を向けた。


皇帝は執務の手を止めて、ルイ(コミソ)を撫でている空マーズに視線で説明を求めた。

今は藤マーズも城内巡回に出ているので。


「現状に関して、お話しできる範囲で、でしたら。

 ですが危険を察知したら止めますね」


「それで頼む」


「はい。『魔』や『悪』が付く常識外のモノは確かに存在しますし、種類も1つではありません。

 そういうモノの多くは、人の負の感情を好みます。

 明らかな悪意だけでなく、嘆き悲しむ心にも寄りついて悪意へと転換したりもするのです。

 憑いたモノを祓っても、原因となった負の感情が消えない限り、何度でも憑きに来るのです。

 カロリーナ様とイザベレーネ様――」


「待て。イザベレーネも、なのか?」


「はい。寵愛を失ったと感じた悲哀に魔が入ったようです。

 陛下からの愛情を奪ったのは、イザベレーネ様のご懐妊発表直後に新たに妃となられたエレーニャ様だと思い込み、魔を伝染(うつ)し、操ったのです」

既に悪霊魔女が入っていたからこそ込め易かったのだが、その点は伏せた。


「ではエレーニャは……そうだったのか……」


「ですから最初は、愛情を取り戻したいという思いだけだったのでしょう。

 ですが魔女は世の全てを手中に収めたくて人に憑くのですから、次第に その方向に動かされ始め、今では すっかり魔女の意のままなのです。


 魔女の操り人形と化したエレーニャ様の陰に隠れ、密かに企てを進めていたのです。

 毒殺などもイザベレーネ様が企て、エレーニャ様に実行させたのです。

 自分だけでお城から逃げれば疑われますから、回避したお妃様にも今は離れるべきだと話して一緒に離婚なさったのです。


 誤算はカロリーナ様が活発過ぎた事でしょうか。

 どうしても目立つので、その先には進められなくなってしまったようです」


「その先とは? 何を企てていたのだ?」


「カロリーナ様より歳上の御子と、対等と考えられるアリオール様を葬り、立太子を済ませたならば陛下の御命を、と。


 疑われる要素を皆無とする為にも、静かに、密やかにと考えていたのにカロリーナ様は目立つ。

 しかも勉強嫌いで、誰しもが認める女帝候補には……現状どうにも難しいかと。

 それで足踏み状態に。

 ですから新たな悪魔を呼び、カロリーナ様を意のままに動かそうと憑けたのです。

 今も魔女はカロリーナ様のお部屋で操りの力を強めようとしています。

 悪魔を憑けて定着させても勝手に動き回りましたので」


「それを防いでくれようとしておるのだな?」


「はい。また悪魔が入りましたが、入っただけでは意のままにはなりません。

 魂に定着し、侵食していく間がボク達にとっては猶予となりますので、その間に阻止します」


「頼るばかりで申し訳なく思うが、宜しく頼む。

 褒美は――」「不要です♪」「――そうはゆかぬのだが?」


「では……これだけをお約束頂ければ。

 マーズもキリュウ兄弟も誰一人として強制的にロシア帝国民にはせず、婿養子にもしない。とだけお願い致します」


「約束しよう。

 強制的に専属楽団にもしない。とも付け加え、正式な書面としよう」


「ありがとうございます♪

 あっ、ボク達、決してロシアを嫌ってはいませんよ。

 ただ、生まれ育った場所が大好きで、地星が大好きなだけですから♪」


「世界中に平和を齎すのだったな。

 また演奏会には来てもらいたい」


「はい♪ それは喜んで♪」


「子供達が邦和に留学したがっているのだが、受け入れてもらえようか?」


「それはキリュウ兄弟に聞いてみます。

 ボクは漢中国人ですから♪」


「は? 忍者は皆、邦和人ではないのか?」


「灰も漢中国人ですし、黄はフランス人です♪

 でも忍者なんです♪」


「そうであったのか……」

「あのっ! 僕も忍者になれますか!?」


「え……」神眼凝視。「修行は厳しいですよ?」

【狐儀様、小さな欠片ですがスサノオ様ではありませんか?】


【……確かにスサノオ様の欠片ですね。

 ですが今は輝竜家が……】満員御礼状態です。


【東京か動物病院では?

 動物病院でしたらミソ コミソとも会えますし】


【そうですね。それで打診してみてください】


【はい♪】

「マー、ルイと一緒に居られる場所で学校にも通い、基礎修行からという形でしたら受け入れ可能だそうです」


「学校……行ってみたいです♪

 忍者になれるかどうかは基礎を学んでからなのですね?」


「そうなりますね。忍者は命懸けですから」


「命懸け……それでも目指してみたいです!

 父様、人知を超える魔と戦える力は、国を支える者にも必要だと思います。

 政には兄様達が居ます。

 僕はロシア初の忍者になりたいです!」


「ふむ。それも留学だな。

 留学は学力試験に合格した者からと考えていた。

 邦和で何を学ぶのかは自由だが、期間は試験の成績で考えるとしよう。

 先ずは好成績で合格しなさい」


「はい!♪

 ソラマーズさん、マーとルイが居る場所とは?」


「マーはミソ、ルイはコミソと呼ばれていて、動物病院のトリマー室スタッフをしています。

 寝泊まりできる部屋もありますし、食事は輝竜家から届きます。

 動物はお好きですよね?」


「はい♪ 早く行けるように頑張ります!

 あっ、水槽!」


「忍者移動で運びます♪」


「凄い! ありがとう!♪」







まだまだ改良中ですが強神力さえ発せられれば発動する闇呼玉が出来上がりました。

大量生産すると、また彩桜がお腹ペコペコ~になってしまいますけど。



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