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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第45章 魔女との戦い ~闇禍だらけ編~
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カッシアスとスヴァット



 輝竜兄弟と瑠璃は各々の活動に支障がないようにロシアから帰国し、青生の治癒と彩桜の浄化を浴びて動き始めた。


「彩桜――」


「どしたの瑠璃姉?」

居間に向かっていたが振り返る。


「学校に行きたいのだろうが、社に頼む。

 青生と共にアフェアン様の回復に――」


「ん。そのつもりだよ。

 お稲荷様とも話したいし、今日も狐儀師匠に分身お願いしてるから、もぉ心配しないでね♪」


「本当に大丈夫なのか?」


「だ~いじょ~ぶだからぁ。

 瑠璃姉は青生兄とシッカリお話ししてねっ♪

 俺さっきランちゃんとお話ししたよ♪」


「いつの間に!?」


「兄貴達 浄化しながら心話して~、ちょっと行ってた♪

 ちゃんと元通り見せなきゃでしょ。

 ランマーヤ様ともお話ししたよ♪ ほんのちょっとだけどね」


「そうか。ランマーヤも目覚めたのだったな。

 話さねばな」


「先に青生兄!」


「そうだな」


「お顔、赤くなったよ?」


「さっさと食べて社に行け!」


「うん♪」駆けて行った。



「瑠璃、朝食は貰ったから行こうね♪」

目の前に現れた青生が連れて瞬移した。



――動物病院の仮眠室。


【神様って心臓あるの?】

座卓を運んで置いた。


【何を言っている?】

朝食を並べ始めた。


【夜中に瑠璃が『心臓が止まるかと』とか言ったよね?】

マグカップを並べて浄化した。


【それか。この身体は人だ。

 私は魂の代わりに入っている。

 故に心臓も有るし、止まれば この身体を捨てるしかなくなる】

紅茶を注ぐ。


【そう。なら、そろそろ子供も、ね?】


ゴガタチャッ!


【気をつけてね。

 まぁ火傷くらいなら すぐに治せるけどね】

瑠璃の手から落ちたポットが座卓に弾んだのを受け止めて持ち直した。


【青生が急に!】


【ずっと前から考えていたよ。

 実は入籍する前から未来について考える中で既にね。

 だから公園で瑠璃に見つけてもらってマンションに行った夜からかな?】

続きを注ぐ。


【ったく……】


【食べようよ♪】


【ふむ】


【実は今も、たぶん安堵したせいだろうけど、食事よりも瑠璃が欲しいんだよ】


「っ!」()せて胸元トントンッ!


【気をつけてね】【青生がっ!】

【瑠璃みたいな可愛くて綺麗で素敵な女性が妻なんだから、夫として当然じゃないかな?

 でも今は……そういう幸せを掴みにはいけないんだ。

 近いうちに大きな事が起こるとだけは確定だから】


【まさかザブダクルが?】


【そうかもしれないし、オーロザウラやオーガンディオーネかもだし、闇禍なのかも。また新たなのが出るかもだしね。


 この神力が拾知だと知った後すぐに俺と彩桜は、お稲荷様とケイロン様 シヴァ様から拾知と探り・先読みに関して教えて頂いたんだ。

 探りは過去から現在の情報収集、先読みは その名の通りな未来予知、拾知は探りがメインで先読みも兼ねているんだって。

 予知は強い神力だけに消耗も激しいのは、瑠璃もお稲荷様から聞いているよね?

 特徴は それだけじゃなくて先読みでも拾知でも、見えた未来の確定度合いが高い程、暗くフォグって見えなくなるんだよ。

 たぶん回避できないように、なんだろうね。


 俺も彩桜も、魔女騒ぎの中でチラチラと天変地異とか、爆撃か何かの後だろうと思えるフォグの強い光景を見ていたんだ。

 崩れた建物の間を縫って人々が逃げているんじゃないかと、彩桜とだけ話したんだよ。

 それが近いとだけは感じるんだけど、明確に何日先とかは言えないんだ。

 ただ、人々が半袖とかの軽装だから、夏か暑い地域で起こるんだろうね】


【夏だとしても今年なのか来年なのかも分からないのだろう?】


【そうなんだよね。

 でも、この夏だと考えて動くべきだよね。

 可能な限り先回りして憂いを無くしておかないといけない。

 悪神と魔女、闇禍を封じるのも急がないといけないし、敵神の解呪も急がないといけない。


 その思いが焦りになっていたのかな?

 阻止も回避も出来ない事に対してなんだから、もっと慎重に進めないといけないのかもね。

 今回の事も、神様よりも上の超越者様に警告を受けたんじゃないかとドラグーナ様とも彩桜とも話したんだよ】


【ふむ……超越者様とはブルー様 チェリー様か?】


【確かにブルー様達も超越者だとは思うけど、超越者様にも神様と人みたいな存在が居ると思うんだよね。

 俺達と接触する存在なブルー様やチェリー様は『人』で、存在すらも感知できない『神様』が、もっとずっと高みから見ているんだと思う。

 闇禍も そうなると『人』なのかもね。

『創造神』側がブルー様達で、『破壊神』側が闇禍達、とか】


【そう話していると拾知は反応するのか?】


【微妙に反応しているよ。

 拾知も忖度するのかな?

 きっと創造神様がお与えくださった能力なんだろうからね♪】


【青生の話は、何処まで真剣に話しているのやらだな】


【全部 真剣なんだけどなぁ】


【そろそろ社に行ってくれ。彩桜が待っている】


【うん。じゃあ続きは後でね】

にこにこと食器を浄化してから瞬移した。


【まだ話が途中だったのか?】


【話もだけど、ね?♪】


【『ね』?】


【ハッキリ言わせたいのかな?】

【言わなくていい!】


【そう? じゃあ昼も一緒にね♪】



「ったく……」


頬が絶好調に熱いと感じながら片付ける瑠璃だった。



―・―*―・―



 彩桜は青生を待つ間に同じ予知の話をオフォクスにしていた。

アフェアンに治癒を当て、癒しの音色も届けようと神笛を奏でながらだ。


【儂も垣間見た。ソラも見たようだ】


【そぉなの!?】


【先読みの大神シヴァ様から欠片を頂いた時、父ガイアルフは自身にも込めて頂いたそうだ。

 ソラ程に修行しておれば見えて当然だ】


【そっか~。じゃあホントに確定?】


【なのだろうな】


 そこに青生が紅火も連れて来た。

【俺達から紅火に移った魂材様に残っていた記憶で紅火にも伝わりましたので一緒に。

 お稲荷様は、いつだと思いますか?】


【特定するのは かなり難しいが……ひと月前後、此れが最も強く出た】


【そうですか】【だからお疲れなの?】


【捨て置けぬ故な】


【じゃあ休んでね~】治癒を向けた。


【すまぬな。

 して、昨日の記憶は?】


【外界との記憶はありません。

 ですが呪の置き土産なら確かめましたよ。

 強い異物が入ったのは、瑠璃がカロリーナ姫様を掴んだ時なんです。

 俺達は直後に閉じ籠りましたから、一昨日からですけどね】

【アフェアン様が魂核に押し込んでくれたの~。

 ドラグーナ様いるトコだったの~。

 だから俺の記憶は魂核内でのだけなのぉ】


【ふむ。堅固を成したのもアフェアン様なのか?】


【ううん。結界してくれたけど堅固じゃなかったよ】

【だからドラグーナ様と一緒に紅火の真似事をして、その後でカッシアス様とバミリアス様の魂塊を見つけて本物の堅固を引き出したんです】


【ふむ。紅火、お目覚め頂けそうなのか?】


【はい。呼び掛けに反応してくださいました。

 青生が来た事で共鳴し、更に此方に来て彩桜とも共鳴しておりますので、意識が明瞭になりつつあると感じます】


【私も呼び掛けてみようか?

 全く知らぬでもないのでな】

それまでアフェアンに寄り添って治癒に専念していたサマルータが顔を上げた。

【敵として知っているだけで直接 話した事も無いが、神世一の工作兵長と讃えられていた有名神(ゆうめいじん)なのでな】


【工作兵長さんなんだ~♪ 紅火兄ピッタリ♪】


【私が知るカッシアス殿は若神だったのでな。

 私達が捕らえられた後の世では、将軍になったであろうな】


【早くお話ししたいにゃ~ん♪】〖んっ……〗


サマルータは話しながらカッシアスにも呼び掛けていたらしい。

紅火が頷き、内に向けて集中した。

【カッシアス様、お目覚めになられましたか?】


〖まだ……何も見えぬが……其方(そなた)は?〗


【魂材とされた貴方様に依り成されている人。

 紅火と申します】


〖ふむ。紅火は人なのか?

 龍神を感じるのだが?〗


【はい。龍神ドラグーナ様の器でもあります。

 獣神狩りにて堕神とされたドラグーナ様の1/7を内包しております】


〖そうか。その他の部分を内包する者が近くに居るのだな? 共鳴している〗


【はい。兄弟全てが内包しており、内2人が共に居ります】


〖先程の声……アントレア国のサマルータ大将軍様は?〗


【聞こえていたのだね。

 敵対していたのは、もう遥か昔。

 今は仲間だ。楽にしてもらいたい】


〖はい。お導き、ありがとうございます。

 お助け出来ず申し訳ございませんでした〗


【私は捕らえられて(のち)を全く知らなくてね。

 何しろ見えず聞こえずだったからね。

 その後を教えてもらいたい】


〖はい。あの日、私は南方に出ておりました。

 妻からの知らせで急ぎ帰城しますと、マルトニル様が黒い兵達に連行されておりましたので奪還し、お話を伺いました〗


【その黒い兵達は操られたソードン兵だ】


〖はい。マルトニル様も同じく仰いました。

 王も既に敵であると。

 城に残っていた工作部隊は妻が率いて西の城に避難しておりましたので、其処を拠点とし、周辺に出ていた部隊と操られていなかった者達を集めたのです。

 集めると同時にカストリニとも手を結び、カストリニからアントレアにも話を通してもらい、ソードン城を攻めました。

 妻が編み出した抗支配光を込めた砲弾で兵達を正気に戻し、城も奪還しましたが、王の姿はありませんでした。

 王族も居りませんでしたので、マルトニル様を王としてソードンはカストリニ、アントレアとも和平を結びました〗


【それがフローリアが話していた『戦況の好転』なのだろうな。

 その後、直ぐに新カリューに攻め込まれたのだね?】


〖はい。新カリュー女王が前ソードン王らしき黒い男神を伴い、多くの国を支配と禍にて滅亡させました。

 支配を受けた各国の兵達が禁忌を犯す事も(いと)わず、無差別で無慈悲な攻撃を繰り返し、カストリニもソードンもアントレアも……〗


【そうか……】

【でもアントレアは、ノーザントやディアストロと共にアノーディア国になったんですよね?】


〖そうなのですか。

 私は支配を跳ね返しましたが捕らえられ、新カリュー女王に投降せよと言われましたが、従う気は毛頭無いと跳ね除けた為に処刑されましたので〗

〖その後はオレから話させてもらおう。

 工作将軍、久し振りだな♪〗


〖スヴァットか?〗


〖おう♪ ほんのチョコッとだけカッシアスが同居してるらしくてな、声が聞こえるから目覚めちまったんだよ♪〗


【黒瑯兄、屋根じゃなくて入ったら?】


【おう】来た。

【仕込み真っ最中だったんだけどなぁ】苦笑。

〖ま、付き合えよなっ♪〗

【離れられねぇだろーがよ!】〖だなっ♪〗


【黒瑯兄が増えた~♪】







魂材神様達、次々と目覚めています。

それは良いのですが、予知した内容が気になりますよね。

ですが少し先になりそうなので、今は不安要素を潰していくしかなさそうです。





〈戦乱期〉現 王都付近



      ノーザント



    カ      ソ

    ス   ◎  丨

    ト      ド    アントレア

    リ      ン

    ニ


          ディアストロ




※ 国境は変動が激しいので省略。

※ 小国は多数存在した。

※ ソードンの王都は現在の副都。

 ノーザントの王都は現在の北小都。

 現在の王都は初代四獣神が守っていた。



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