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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第44章 魔女との戦い ~狙われた彩桜編~
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進行性女化の呪?



【ピュアリラ様、可哀想……】

【アミュラ様もだよ。届かない想いをずっと(いだ)いていたんだね】


【おい。何を感傷に浸っている?

 その鏡は誰が作り、誰が割ったのだ?】


【作ったのは鏡作るお仕事してた神様。

 普通の鏡だったの】

【最初にブルー様がいらした時、この鏡から出たみたいだね】

【帰るのも鏡からだったみたい~】

【後で細工したのはピュアリラ様だよ】

【会いたくて会いたくて~なのぉ】


【割ったのもピュアリラ様だよ。

 月にも持って行けないし、誰かに託すなんて無理だから割って隠したんだ】

【でもアミュラ様が見つけたの。

 アミュラ様、復元したけど割って隠したの。

 泣いてたのぉ】

【暫くは持っていて毎晩ブルー様を見ていたようだけどね】

【うんうん。

 復興するのの心の支えだったの。

 だから終わってアミュラ様も割ったの。

 ずっと後の今ピュアリラ様が見つけて、ピュアリラ様を強く感じる鏡だから守りのリーダーさん達に配ったの】

【その後、信奉禁止が厳しくなって里長様へ、という流れだね】

【持ってて見つかったら大変だからなのぉ】


【ふむ。

 会いたいが、闇禍に憑かれた者も護りたい。

 故にブルー様には会えない。

 心が強いのだな】

青生(るり)も雲の向こうの三日月を仰いだ。

そして目の前の青生に神眼を向けた。

何があろうが、世を護る為であろうが、青生と決別なんぞ出来ないと想いを込めて。


【瑠璃? 伝わるけど、同じだからね。

 心配しないでね】



 微笑む青生の姿が神眼でも女化した姿な事に泣きたい思いだったが、チャリルの方を向くと話の続きを促した。


【午前中に会議があってマディアに会ったの。

 個神(こじん)的な話はできなかったけれど、敵神が『次はいつだ?』と1日に何度も言っていて、首を長くしているそうよ。

 ラピスリ、連絡板を見ていないのでしょ?】


【それも考えねばならぬな】展開して確かめた。


【お忙しいのでしょうと話しておいたわ。

 それで今度は敵神に何をしているの?】


【術に長けた人神様方に解呪して頂いている。

 少しずつでなければ無理も甚だしい状態であるが故に何度も行かねばならぬのだが……】


【俺達? 瑠璃だけで行けるよね?】


【言葉巧みな青生も、発想が飛び抜けている彩桜も必要だ】


【このまま行く?】

【理由、考えにゃいとねぇ】

【女神様は術が得意なんだよね?】

【だったら~解呪に加わる?】

【そうしよう】


【ふむ。術を理由としたならば、あの疑心暗鬼の塊でも納得するだろうな】


【じゃあソレで♪】


【だが緋月煌への転換も急いでくれ】


【ソレねぇ……あ♪ 拾知、正解すると震えるよね♪ 1語1語やってく?】


【それしかなさそうだね。

 長いけど頑張ろう】【ん♪】


【全てが少しずつだな】


【少しずつでも前進だよ】【ね~♪】ぴょん――♪


【ぴょんぴょんするな!

 だいたい何故ミニスカートなのだ!?

 しかもヒラヒラの!】


【かわいいから~♪】くるん♪


【だから裾がっ!】


【あらら~】やん。


【その下着……】


【若菜姉ちゃんに作ってもらったの~♪

 だってぇ、いつもの履いてたら変でしょ?】


【確かにな。ん? まさか青生もか?】


【うん。あ、俺も紅火を通じて新品を貰ったから心配しないでね。

 そうそうない体験だからと話したら納得してもらえたよ】

【あ! 青生姉、紅火兄ので呼び来たの!

 お手伝いお願い!】連れて瞬移!


【あ……】

【すっかり女性しているのね♪】くすくす♪


【彩桜ならば楽しみそうだが青生までもとは……】


【まぁ悲嘆するよりは良いのではないかしら?】


【確かにな。それで、話の方は?】


【その解呪の神様用なのでしょうね。

 死司衣を預かって来たのよ。はい】


【ふむ。また上位か……ま、借りるとしよう】


【今日のところは、これだけね。

 調査は諦めずに続けるわ。

 別件になるとは思うのだけれど、ロークスが神王殿の地下も調べてみてはどうかと言っていたわ。

 ソードンの王都は今の副都だけれど、カソーディアの王都はアノーディアの進攻で今の王都に移ったのだから】


【そうか。確かにな。

 神王殿の地下にも隠された牢が在る可能性は高いな】


【貴神殿のもカソーディアが隠して逃げた可能性が高いのではないかしら。

 だとしたら最終的にアノーディアが統一したのだから、カソーディアは、ね?】


【ふむ。最後の最後に隠しただろうな。

 今夜、夜中にでも調べに行くとしよう】


【いろいろと大変でしょうけど……頑張ってね】


【青生は生きている。それだけで十分だ。

 だが、ありがとう】


【それじゃあ、またね】瞬移。



―・―*―・―



 青生と彩桜が動物病院に戻ったのは夜になってからだった。

【瑠璃、診察とか、ごめんね】


【謝らずともよいのだが、紅火殿の方は?】


【なかなかに難しくて。

 呼び掛けても全然なんだよ】

【もしかしたら紅火兄みたくガッチリ堅固してるのかも~♪】

【ああ、そうかもね】


【ふむ。可能性は有るな。

 堅固は稀な神力だが人神・獣神共通だからな】


【なら明日は踏まえて頑張ろうね】【うん♪】


【それはそうと緋月煌の方は?】


【進んでいないよ】

【ずっと紅火兄のだったんだもん】


【そうか】已むを得ぬ、か。


【帰ってご飯食べよ~♪】

【そうだね。瑠璃も帰ろうよ】


【先に帰ってくれ。

 入院動物の世話が残っている】


【じゃあ一緒に♪ 彩桜は先にね】

【ん。お部屋で待ってるね♪】瞬移♪



【青生、心話の声までもを姿に合わせようとしているのか?】


【え? 特に何もしていないよ。

 何か変かな?】


【いや……特には何も……】

声が高くなったような気がするとは言い辛くて、言葉を濁して入院室に向かった。



―◦―



 1時間程後、輝竜家。


『お~い彩桜。帰ってるんだろ?

 晩メシ持って来たぞ~』

両手に持っているらしく襖を軽く蹴っている。


「リーロン入っていいよ~♪」


足で襖を開けた。

「ほらよ。あ~、馬ぬい作ってたのか」


「うん♪ かわいくしてみた~♪」女の子♪


「って、メンバー男ばっかなのに?」


「青マーズと桜マーズの♪

 だって暫く このままなんだもん」


「戻る気あるんだよな?」


「ん~~~、どっちでもいいかな~」


「はあ? ってオイ。マジで言ってんのか?

 戦うのも青生と彩桜が主役だろーがよ」


「術だと女の子(コッチ)のが強いよね?」


「引き寄せる力とか、放つ力とかはダンゼン男なんだよ!」


「そぉなの?」


「餡こ吸着が弱まったら困るんだよ!」


「だったら~サクラ戦わない♪」女の子だもん♪


「ナニ言ってるんだよ!

 父様! 起きてくれ! 父様!!」


「ドラグーナ様、寝てるみたい~。

 ん~~とぉ、朝から声聞いてない、かな?」


「アフェアン様!! 返事してください!!」


「そぉいえば~アフェアン様もお昼から寝てるのかな? お話ししてないの~」


「ったくノンキなっ!」【黒瑯! 来てくれ!】


すぐに来た。「リーロンど~した?」


「彩桜が変なんだよ!

 父様もアフェアン様も返事しないらしい!」


「神眼で魂の中 確かめよーぜ!」「だなっ!」

黒ドラグーナが浮かんだ。

【今 初めてチラリと見えただけなんだけど、青生と彩桜の中の俺は何かに蝕まれているみたいだ。

 そうとしか分からないけど、普通の呪ではない何かに取り憑かれているみたいだね】

黒瑯とリーロンにだけ伝えた。


【【ソレって……?】】


【獣神にも人神様にも見えない何か……。

 魔女に蒼月煌を教えたのは闇禍……だとすれば、異界の呪かもしれない】


【どーすりゃ】【解けるんだよ……】


【ラピスリ、青生は?

 青生の俺が返事をしないんだ】【は?】

【彩桜の俺もなんだよ。

 どうやら見えない呪、たぶん異界の呪に蝕まれているみたいなんだ。

 青生を連れて社に行ってもらえるかな?】【はい!】


【オフォクス、青生と彩桜を眠らせたいんだ。

 この二人だから大変だろうから応援も集めておいてね。

 まずは彩桜なんだけど】

【ふむ。ガネーシャ様と向かう】


【金錦、兄弟を集めてもらえるかな?

 今は彩桜の部屋だけど、後で社に行くから社に集めてね】

【はい】


【黒瑯とオニキスも、オフォクスが来たら社に行こうね】

【【はい!】】



―◦―



【青生、さっきから、その……】


【ん?】事務処理の手を止めて小首傾げ。


【いや……】小指を立てるな。と心の中だけで。


【お腹空いたよね? あと少しだから待ってね】


 瑠璃は入院動物を診ている間に青生の内面の女性化が加速しているように感じてはいたが、認めたくなかった為に何も言えず、出来ずに今に至ってしまった。


もう明らかに心話声も仕草も女性になっていた。

言葉遣いも時折 女性らしくなっている。

事務処理を始めて半時間程になるが、会話の中に一人称が出ていないと気付いた。


【青生……】

後ろから抱きしめた。

【早く元に戻って……】


【それね……もう、このまま逆転しない?

 夫婦であることには変わりないし、私は……このままでいい】


【『私』……だと?】


【うん。お昼に着替える前から『俺』が言い難くなっていたの。

 話し方も頑張っていたの。でも、もう……。

 この穏やかな心のまま、瑠璃の妻として生きたいの。瑠璃は瑠璃のままでいいから】


【青生……】【ラピスリ、青生を眠らせよ】

〖ラピちゃん、ボクが神力封じるからね!〗

ガネーシャが現れ即、青生の神力と動きを封じた。

〖ラピちゃん早く! 眠りを重ねて!

 助ける為だから! 早く!〗


【青生……必ず助ける!

 昇華光明煌輝、重装夢幻爆眠連射!!】

青生を抱き締めたままだったので、当然ながら全てが魂に命中した。


【青生……】【そのまま社へ】【……はい】


瑠璃は流れる涙もそのままに瞬移した。







なんだか変だと思ったら~でした。

あまりに強い神の集まりな魂を蝕んで滅し、呪が乗っ取る策略だったようです。

それだけなら女化しなくてもよくない?

たぶん彩桜の身体に入りたい魔女にとっては譲れない条件だったんでしょうね。

そうなるとカロリーナ姫の結婚は?

まぁ無視でしょう。



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